何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

「事務ミス」をナメるな!

2011-05-04 22:41:43 | Book Reviews
『「事務ミス」をナメるな!』 中田亨・著、光文社新書、2011年1月20日

p.25 思い込みは、それまでの仕事に慣れすぎたために起こり、しばしばミスの原因になります。既存の環境に適応しすぎてしまったがゆえに起こる問題と言えます。
 過剰適応によるミスを鎮圧するには、訓練を重ねても逆効果であり、一旦慣れたことをリセットして、初心に帰ることが必要です。

p.27-8 ①「能力がないからミスをする」ではなく、「むしろ能力の副作用でミスをする」へ
②「ミスの大半は素人がしでかす」から「玄人のミスも警戒すべき」へ
 ミスの原因を、作業者個人の能力不足に求めることは、あまり適切ではないのです。「まさか、あの熟練者がミスするとは」という事態も多く起こっていることを、軽視すべきではありません。

p.58 このように、「その仕事では何が正解であるか」について、顧客と意志疎通することが、ミスを防ぐ上で重要になります。自分の都合だけではなく、顧客の意図と都合にかなって、はじめて、正しい仕事と言えるのです。

p.64-5 事務ミスの件数が多ければ多いほど、その中に少しだけ不正を混じり込ませても、それが意図的な不正であるとは発覚しにくくなります。

p.71 業務が複雑化すると、ミスの余地が広がるので「確実性」を減らしますが、一方で、「便宜性」を向上させます。したがって、トレードオフをどう調整するかが論点になります。

p.90 リスクが高い問題に対しては、たとえコストがかかっても抜本的対策を選ぶべきです。

p.92 雨に降られてびしょ濡れになった原因は、雨が降ったからではなく、傘を用意していなかったからと考えるべきでしょう。

p.94 異常検知力が不足すると事故に直結します。それゆえ、異常検知力を最優先で整備するべきなのです。やり直しがきく範囲内で、異常に気づくチャンスを与えることが、ミス対策の最大の要点なのです。

p.98 薬を手配する時に、薬品名だけを指示するのでは危険です。薬品名の前に補強用の情報も付け加えて、「強心剤の○○」というように、伝達しなければなりません。
 補強用の情報を付け加えることを「情報の複線化」といいます。大切な事項を、複数のデータと照らし合わせて、多重にチェックすることです。

p.135 真の熟練者になるために必要な条件は、ミスの経験をすることです。例外的に注意すべきケースを言い当てる真の熟練者は、過去に何らかのミスや事故に遭遇しています。自分自身が痛い目に遭わない限りは、目の付け所が甘いと言えます。

p.135 事故経験に次いで教育効果があるのが、他人に仕事を教えることです。
 大きなミスの経験はないのに、極めて熟練できている人には、決まって人に仕事を教えた経験があります。他人の仕事のやり方、間違え方を客観的に見ることで、仕事の要点を理解できるのです。

p.195 注意力不足と周知徹底は、どんな報告でも使える便利な文言です。事故の詳細を描写して、対策に知恵を絞るよりも、この文言で報告書を埋めてしまえば楽、という安易な考えなのです。
 ですから報告書では、「注意不足」や「周知徹底」という言葉は、使用禁止にするべきでしょう。


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