「経営の原点を考える 商いの道」 伊藤雅俊・著、PHP研究所、1998年12月25日
p.3 では、「(企業成長の)秘訣は?」と問われますと、「お客さまとお取引先を大切にする」「嘘をつかない」「感謝の心を忘れない」といった、商いというより人間としての基本を、毎日毎日飽きずに繰り返してきただけと申し上げる以外にないのです。もちろん人間ですから、少しうまくいき始めると、慢心したり、驕りたくなる時もありました。それを注意され、また自ら振り返って反省し、基本に戻る、その繰り返しであったような気がします。
p.15 忘れてはならないのは、お客さまからの信用が小さいうちはまだしも、大きくなった時です。その時ほど、一旦、信用を失ってしまうと、瓦礫のように崩れてしまう危険性があるのです。信用が小さいうちは一生懸命反省して取り戻せても、大きくなってしまったらもう取り戻せないこともあるのです。
それとともに信用というものは、大きくなればなるほどさらに信用を高めようとすれば、それまで以上の精進が必要になるのです。
p.20 たった一つの笑顔にも心からの感謝が必要なんだよ、そのためには自分の感情なんて言ってられないよ――商いを成功させるということは、それほど凄まじい思いも必要なことを幼心に母から学んだような気がします。
p.26 ひがんだり、すねたりする人は、大成できないと、私は思っています。
p.28-9 だから「お客さまは来てくださらないもの」という気持ちで毎日の商いをしなければならないと母は私たちによく言っていました。
店が暇な時こそ、いつお客さまがいらして対応できる態勢を整えていなさいというのです。まだお見えにならないお客さまのことを考えておくのが、商人だというのです。来ていただくことの幸せを心から喜びなさいというのです。
p.33 お客さまが安心感と満足感を持って商品を買っていってくださる、私どもを信頼されて買っていってくださる、そのありがたさに、商いの本質があるように思います。
p.34 店の経営で壁に突き当ったら、迷わず初心に帰り、現場に立つことです。
p.36 「伊藤さん、腹を立てて新しいことをやれば、あんたは気持ちがいいだろうよ。でも、それでは全部駄目になるよ。人生ってのは、誰でも重荷を背負っているんだよ」
p.35 「商人は孤独を生甲斐にしなければならぬ」
そういう(企業のリスクを知らない)集団の中で、たった一人畏れをもって経営をするというのは、とても孤独なことです。経営者の決定に対して、誰も責任を持ってくれません。成功すれば褒めて持ち上げるけれど、失敗すればけんもほろろです。しかも一歩間違えれば社員やその家族を路頭に迷わせてしまうことにもなりかねません。
p.46 私は、何が売れるかわからなくなった時には、街に出て、そこに行き交う人を見ます。そしてどんなものに興味を示すか、どんなものを手にとるかを観察します。
p.47 時代に流行りとは関係なく、いつの世も変わらずお客さまが望んでおられるものがあります。それは、心からの気持ちのよいサービスを得られることです。
p.50 メーカーが製品の価格をつける場合、普通は原価計算に則って決めるわけですが、松下(幸之助)さんの場合は、価格が先に出てくるそうです。例えば、洗濯機がいくらだったらお客さまは買ってくれるだろうか、と考えるのだそうです。
p.58 私は、給与が“下されるもの”ではなく、社員が“決めるもの”である、と認識しています。
p.58 社員がやる気をなくす原因は、自分の努力が会社から正当に評価されていないと思い込んだ時です。給与面でも、待遇面でも、なぜ自分はこの立場にいるのか、という説明がなされなければ、疑心暗鬼になり、仕事への熱意もなくなります。公正にして誠実な対応が、ここでも必要になります。
p.67 目に見えないプラス・アルファーを供給するのに、企業規模の大きさは必要ありません。むしろ社員一人一人のクオリティーが勝負になるのです。
p.74 経済書や経営書などを必死に勉強し、頭の中で経営の理屈がわかったとしても、経営者にはなれません。お客さまや社員と日々接し、成功と失敗の織りなす中で得た知恵があってこそ、立派な経営者になれるのです。
p.76 売れる商品とは、お客さまが欲しいと思っている商品です。お客さまの心の奥底の、お客さま自身も気がつかない欲求を満足させてこそ、プロの商いだと私は考えています。そのためには、お客さまのことを、一番に考えることのできる仕組みを作り上げることが必要です。
p.90 「会社は自分の力で作っているのではなく、世間さまに作っていただいているのですよ」
p.96 ものが売れないのは、誰のせいでもない、自分の商いがお客さまのニーズに応えていないためと反省して精進しています。
p.103 お客さまの信頼を得られなければ、商いはうまくいかない、そのためには、人間一人一人を大切にし、誠実に接することによって、信頼を得なければならないということを、どんな場合でも(松下幸之助さんは)実践していらっしゃると感じたのです。
p.115 適正な競争とは、公正な精神のもとに秩序を重んじてなされ、お互い常に対立しながらも、同時にそれ以上に、調和、協調の気持ちを忘れてはならないものというのです。
p.123 商売好きな人は商売に滅ぶから、創業者は気をつけなさいよと。その実はついついのめるこんで視野が狭くなり、「気を見て森を見ず」になってしまうということなのです。
p.148 会社にとって、一番大切な財産は、資産ではなく、売上げでもなく、実は、人さまとの関係なのだ。
p.3 では、「(企業成長の)秘訣は?」と問われますと、「お客さまとお取引先を大切にする」「嘘をつかない」「感謝の心を忘れない」といった、商いというより人間としての基本を、毎日毎日飽きずに繰り返してきただけと申し上げる以外にないのです。もちろん人間ですから、少しうまくいき始めると、慢心したり、驕りたくなる時もありました。それを注意され、また自ら振り返って反省し、基本に戻る、その繰り返しであったような気がします。
p.15 忘れてはならないのは、お客さまからの信用が小さいうちはまだしも、大きくなった時です。その時ほど、一旦、信用を失ってしまうと、瓦礫のように崩れてしまう危険性があるのです。信用が小さいうちは一生懸命反省して取り戻せても、大きくなってしまったらもう取り戻せないこともあるのです。
それとともに信用というものは、大きくなればなるほどさらに信用を高めようとすれば、それまで以上の精進が必要になるのです。
p.20 たった一つの笑顔にも心からの感謝が必要なんだよ、そのためには自分の感情なんて言ってられないよ――商いを成功させるということは、それほど凄まじい思いも必要なことを幼心に母から学んだような気がします。
p.26 ひがんだり、すねたりする人は、大成できないと、私は思っています。
p.28-9 だから「お客さまは来てくださらないもの」という気持ちで毎日の商いをしなければならないと母は私たちによく言っていました。
店が暇な時こそ、いつお客さまがいらして対応できる態勢を整えていなさいというのです。まだお見えにならないお客さまのことを考えておくのが、商人だというのです。来ていただくことの幸せを心から喜びなさいというのです。
p.33 お客さまが安心感と満足感を持って商品を買っていってくださる、私どもを信頼されて買っていってくださる、そのありがたさに、商いの本質があるように思います。
p.34 店の経営で壁に突き当ったら、迷わず初心に帰り、現場に立つことです。
p.36 「伊藤さん、腹を立てて新しいことをやれば、あんたは気持ちがいいだろうよ。でも、それでは全部駄目になるよ。人生ってのは、誰でも重荷を背負っているんだよ」
p.35 「商人は孤独を生甲斐にしなければならぬ」
そういう(企業のリスクを知らない)集団の中で、たった一人畏れをもって経営をするというのは、とても孤独なことです。経営者の決定に対して、誰も責任を持ってくれません。成功すれば褒めて持ち上げるけれど、失敗すればけんもほろろです。しかも一歩間違えれば社員やその家族を路頭に迷わせてしまうことにもなりかねません。
p.46 私は、何が売れるかわからなくなった時には、街に出て、そこに行き交う人を見ます。そしてどんなものに興味を示すか、どんなものを手にとるかを観察します。
p.47 時代に流行りとは関係なく、いつの世も変わらずお客さまが望んでおられるものがあります。それは、心からの気持ちのよいサービスを得られることです。
p.50 メーカーが製品の価格をつける場合、普通は原価計算に則って決めるわけですが、松下(幸之助)さんの場合は、価格が先に出てくるそうです。例えば、洗濯機がいくらだったらお客さまは買ってくれるだろうか、と考えるのだそうです。
p.58 私は、給与が“下されるもの”ではなく、社員が“決めるもの”である、と認識しています。
p.58 社員がやる気をなくす原因は、自分の努力が会社から正当に評価されていないと思い込んだ時です。給与面でも、待遇面でも、なぜ自分はこの立場にいるのか、という説明がなされなければ、疑心暗鬼になり、仕事への熱意もなくなります。公正にして誠実な対応が、ここでも必要になります。
p.67 目に見えないプラス・アルファーを供給するのに、企業規模の大きさは必要ありません。むしろ社員一人一人のクオリティーが勝負になるのです。
p.74 経済書や経営書などを必死に勉強し、頭の中で経営の理屈がわかったとしても、経営者にはなれません。お客さまや社員と日々接し、成功と失敗の織りなす中で得た知恵があってこそ、立派な経営者になれるのです。
p.76 売れる商品とは、お客さまが欲しいと思っている商品です。お客さまの心の奥底の、お客さま自身も気がつかない欲求を満足させてこそ、プロの商いだと私は考えています。そのためには、お客さまのことを、一番に考えることのできる仕組みを作り上げることが必要です。
p.90 「会社は自分の力で作っているのではなく、世間さまに作っていただいているのですよ」
p.96 ものが売れないのは、誰のせいでもない、自分の商いがお客さまのニーズに応えていないためと反省して精進しています。
p.103 お客さまの信頼を得られなければ、商いはうまくいかない、そのためには、人間一人一人を大切にし、誠実に接することによって、信頼を得なければならないということを、どんな場合でも(松下幸之助さんは)実践していらっしゃると感じたのです。
p.115 適正な競争とは、公正な精神のもとに秩序を重んじてなされ、お互い常に対立しながらも、同時にそれ以上に、調和、協調の気持ちを忘れてはならないものというのです。
p.123 商売好きな人は商売に滅ぶから、創業者は気をつけなさいよと。その実はついついのめるこんで視野が狭くなり、「気を見て森を見ず」になってしまうということなのです。
p.148 会社にとって、一番大切な財産は、資産ではなく、売上げでもなく、実は、人さまとの関係なのだ。