新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
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ノカンゾウ:野萱草(需要は無限?)

2006-08-10 05:06:01 | 植物観察1日1題
“忘れ草 わが紐に着く時と無く 思い渡れば生けりとも無し”(万葉集巻12-3060)(忘れ草を着物の下紐につけてあなたのことをいっときでも忘れましょう。そうでもしないと恋に疲れて生きた心地がしませんもの)いまあちこちに咲いているノカンゾウ:野萱草(ユリ科ワスレグサ属)の別名は、属名にもなっているワスレグサ(忘れ草)です。
古く中国から渡来したもので、カンゾウは中国名の萱草から来ており、これを昔中国では忘憂草といい、この花を見ると世の中の憂き事を忘れるとして大切にされたといいます。
小川のほとりや野原などに普通に生える多年草で、高さは70~90cm、葉の長さ50~70cm、幅1~1.5cm、基部は互いに抱き合って2列に互生します。
花期は7~9月、花序は2つに枝分かれしてそれぞれに10個ほどのつぼみがつき、直径7cmほどの赤橙色~橙黄色の花を次々につけます。花の下部の筒状部分は長さ2~4あり仲間のヤブカンゾウより長くなっています。花は朝開いて夕方にはしぼみます。
万葉集に4首ある思い草の歌はいずれも恋の悩みを忘れたいと詠んでいるのですが、悩み事が複雑多岐になった現代人にこそワスレグサが必要かもしれません。