
ジャマイカのマイケル・ジャクソンことジュニア・タッカーによる1983年のアルバム。こういう風な書き出しで始めると何となくラヴァーズロック作品と誤解を受けそうですが、本作についてはリリースがアメリカな上、どういう経緯かレイ・パーカーJr.が全面プロデュースを行っているため、わりと普通に80'sブラコンでジャマイカ色も希薄です。知っている人には既にお馴染みだと思いますが、本作と言えばまず話題に上がるのがB-2のMr. Telephone Man。この翌年New Editionが米R&Bチャート一位を獲得したあの曲の元曲です。このNew Editionらによるカバー、特にオープニングに電話のベル音が入ったプロモオンリーな6:30のロング・バージョンは、Diggin' Iceに収録されたこともありフリーソウル界隈でも大いにリバイバル・ヒットしましたが、あの頃より少し大人になった今では、このもう少し落ち着きのある元曲のアレンジの方が個人的には逆にツボ。テンポが遅くなった分だけ切なさ20%増しで、非常に良い雰囲気になっています。ただ個人的には、本作の本命はそのMr. Telephone Manではなく一つ前に収録されたB-1のIf It's Love You're After。これ、最高です。たまらなくアーベインなこみ上げ系ライトソウルで、ブラコンファンのみならずフリーソウル~AORファンにも幅広く受け入れられそうな好ナンバー。ブラックミュージックが本来持つポップでグルーヴィーなセンスと、この時代特有のクリスタルで洗練されたアレンジが程よくマッチした非常に秀逸な曲と言えるでしょう。別にそれほど高くも珍しくもないレコードではないので、はっきり言ってこの曲だけのために買う価値ありかと。ちなみに去年こっそりCD化されたようなので、CD派の人はそちらで探してみても良いかもしれません。別に高額でレアな盤ばかりに名曲が収録されているわけではなく、安い盤にも良い曲が入っているという好例。興味があれば探してみてください。CDは言わずもがなですがLPもそれほど労することなく見つけることが出来るはずです。
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