At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Plays Bossa Nova / Hideo Shiraki Quintet

2007-11-23 | Hard Bop & Modal
昨今何かと話題な和ジャズにおける台風の目。白木秀雄が62年に録音したプレイズ・ボッサ・ノバです。数ある白木作品の中で最も復刻が望まれていたのが本作なのではないでしょうか。かく言う僕自身も、昨年ジャズ批評誌にて組まれた和ジャズ特集で本作の存在を知って以来、再発を切に望んでいた人物の一人なのですが…。そんな和ジャズ最重要作品が、この度Think! Recordsより満を持して復刻。個人的には本年度リイシュー部門で1位に掲げたい作品です。とにかく全編通して内容が圧倒的。国内は言うに及ばずワールドワイドな視点で見ても、これほどのクォリティを持った作品はそれほどないと思います。そのスタイリッシュなジャケットもそのままに、本作がもしもブルーノートの4000番台からリリースされていたら、間違いなくジャズ史に残る一枚と呼ばれていたことでしょう。既に多くの方が指摘しているように、タイトルには「ボサノバ」とあるものの、その実態は非常に洗練されたアフロ・キューバン・ジャズ。パーカッシヴな高速ラテン・ビートで始まるM-1のTico Ticoから、いきなりギアがオーバートップに入ってます。途中3分間クッキングなメロディーを交えながらのプレイが非常に心地よいですね。続くM-2のBesame MuchoとM-4のGipsy Blueは、どこかアラブの砂漠を思わせる中近東的な曲調が印象的。また、松本英彦のペンによるM-7のGroovy Samba(セルメンとは同名異曲)は、ブレイキーらのSo Tiredを進化させたような一曲で、ハードなボサ・リズムに乗せたリリカルかつファンキーなソロが気持ちいいナンバーになっています。ヨーロッパのDJが好むのはこの辺りの音でしょうか。そして何と言っても抜群に素晴らしいのがM-3のDeux Step。冒頭のアフロ・キューバン・ビートから2ステップへの転調も見事なバピッシュなナンバーで、テーマ部のメロディー含め非常にオリジナリティ溢れる一曲となっています。各ソロとも素晴らしいですが、特に2番手を務める小俣尚也のトランペットが余りに美味し過ぎ。「日本人だからカッコいい」のでも「日本人だけどカッコいい」のでもなく、「カッコいいものはカッコいい」という曲の典型例。とにかく絶対にオススメな一枚なので、知らない人は是非一度聴いてみてください。

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