庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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20世紀の最大の負の遺産、核物質の危険性からの防御。

2010-04-15 | 核エネルギー・原子力問題
世界における最大の問題は、核兵器の拡散防止、核テロ攻撃の防御、であろう。
オバマ大統領が呼びかけて世界47カ国の週に用が一堂に会し、核保安サミットが開かれて、これからの4年間の方向を合意した。
政治のリーダーシップとは、まさに、このような行動を指している。
この問題が簡単に良い成果をもたらすとは言えないが、それに向けて努力をしていくことで、必ず成果への道筋が見えてくる。

先の米ロの核兵器削減交渉の結果も、核問題の難しさを表しているが、核物質の維持と管理に多大な負担がのしかかっていて、冷戦時代からの決別を急ぐ必要もあった。
そして、今回の核テロ攻撃からの防御と課題は、それに輪をかけて複雑な要素をもっている。
今、世界には、[プルトニウムと高濃縮ウラン]の総量は、核爆弾に換算して、23万発分の量が分散して保有されている。
トップはアメリカの11万発、2位はロシアの7万発であり、日本は核兵器ゼロとしても、核爆弾に換算すると世界7位の1145発分を保有している。

1発分(0.00043%)でもテロ組織にわたれば、核爆弾テロ攻撃が行われる可能性が生まれる。
どのような管理体制が出来るかは、今後の進展によるが、ホンのわずかな管理ミスでも、核テロ攻撃が起きる確率は高く、安心できる状況には程遠いことは確かである。
ところが、この不安をさらに広げようという動きがあることは、衆知である。
イランや北朝鮮の様な無法国家を筆頭に、疑惑だらけのパキスタンやイスラエルと言った、好戦的な国が、まだまだ活躍していて、これらの国は核保安サミットなど無縁の活動をしている。

そして、欺瞞的な先進国の存在もあり、その代表はフランスである。
この核保安サミットで、フランスの政府高官は「核の平和利用の権利を守ること」を主張した。
これは、フランスの原子力発電の技術を、開発途上国に売り込む権利を確保し、正当化する為の言い分である。
原発の途上国への売り込み拡大と、核保安の方向とは矛盾しないのか。
明らかに矛盾していて、原発が管理能力の不十分な途上国に広がれば、核テロ攻撃側からすれば、格好の標的になるであろう。
サルコジ大統領は、「原子力の無秩序な発展でなく、制御された発展を望んでいる。これまで無秩序な面がなかったわけではない」と苦しい弁明をしている。

さて、わが日本は核兵器廃絶に向けた世界の先頭に立つと宣言している。
国民も、その方向に向けて最大に努力をすることを政治家に期待しているし、信じている。
その代表の首相が、核保安サミットにおいては何をしてきたか?
会合の間に、開発途上国の首脳と会談した折りに、新幹線技術の採用を働きかけた。
それは世界にとっても重要であるが、驚くべきことに、核保安サミットの場であるにも拘わらず、原子力発電の建設を、日本企業のお先棒を担いで売り込んだ、と報じられた。
なんという恥さらしなことをしているのか。
オバマ大統領と比較して、リーダーシップの欠如は、いかんともしがたい状況である。

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