安倍政権の経済戦略には、方向間違いの政策が混在しているために、日本の将来の姿が描けなくなっている。
その問題の根幹になる重要な懸念は、日本の長期にわたる少子化傾向が延々と続いている状況がある。
つまり経済の根幹の問題には、総需要不足の長期化があり、それに輪をかける人口の減少が積み重なっているのである。
ところが安倍政権の戦略では、人口減少に対する対策は、まったく中途半端で、何もしていない状況だ。
むしろ、少子化の傾向に拍車をかける様な政策目標が掲げられて、それをマスメディアの論調では、なんら問題と見ていないのが、それ以上に問題である。
例えば、女性の就労を促すことが、少子化対策の中に含まれると説明されるのは、理解に苦しむ論法である。
女性が働く機会を増やし、職につくかどうかの選択が広がるのは好ましいが、その前提となる、両親が働く家庭の子供の保護、教育の環境が低レベルである。
その様な社会環境のママに、女性が働くことだけを促進しようとするのは、かえって子育ての意欲を削いでしまうだろう。
子供を育てることは、一生の一大事であるが、今の日本の環境では大変な苦労が、親の負担になってくる。
一昔前の時代には、女性は家庭を守り、子育てに多大な時間と気使い、労力をかけてきた。
その世代の働き手には、年功制の給与制度で家庭生活が成り立つ収入を確保することが、社会的な常識とされて、民間企業はそれに応えてきた。
しかし年功賃金の仕組みは、旧時代の合理性のない労働賃金体系として、退けられてきたので、2人以上の子育て世代には大変な負担ばかりがかかる。
その影響が広まると、結婚しない世代、結婚しても子供を持たない世代、子供は一人だけの世代が増え続けてしまった。
この経済的負担の不合理を放置してきたので、日本の出生率は下がり続けて、慢性的な人口減少社会になってしまったのである。
安倍政権は、人口減少の状態に歯止めをかけると宣言し、1億人以上を維持する人口減少対策目標を掲げた。
遅ればせながらも、重要問題として掲げたが、対策の中身は見えない。(続)