安倍政権の7年8ヶ月の政権運営では、日本の長期的な国作りの目標は曖昧のまま、経済再生の掛け声だけは継続していた。
日本国民の生活の様相は、2009年以降の世界経済の再生潮流に翻弄されて、国の根幹となる分野を疎かにして、当面の手当てばかりに終始していた。
安倍政権に交代した2012年からは、お金余りを意図的に画策したが、そのお金は既得権を持った企業群と富裕層の経済を潤しただけであった。
肝心の長期的な産業を育成する「イノベーション戦略」は、ほとんど空回りにおわり、8年経っても何も中核にできる産業はない。
唯一の新興産業としては、国内の豊富な観光資源を開発して、海外からの観光客の誘致を図り、成長の可能性を実証していた。
しかしこの観光産業も、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、しばらくは、停滞してしまう状況に置かれてしまう。
製造業もエネルギー関連産業も、旧時代の技術にしがみついた企業を支援する政策にとどまり、ずるずると世界から置いて行かれる状況である。
今回のコロナ対策では、国も民間もデジタル化のレベルが、遅れていることによって、非効率と低迷状態を実感させられてしまった。
菅内閣の新規政策では、このデジタル化の遅れを早急に取り戻すには、官庁が率先して取り組みを開始し、行政の非効率を改革する姿勢に転換した。
エネルギー産業でも、化石燃料依存の体質からの離脱を、世界レベルの長期的目標に近づける必要にせまられて、大転換が必須の情勢である。