荒木志水

Shizu Araki

「しんぽれん」ニュースレター

2008年12月29日 | webiog
 私は自主保育の出身です。本年9月に上演した『シンドウトオン』を、新しい保育を考える会「しんぽれん」の遠藤麻子さんが観に来て下さり、しんぽれん/ニュースレター「卒会生は今・・・」に、
・自主保育時代の思い出に残っているエピソード。
・自主保育で育ったことが、自分(仕事、ダンス、表現)に影響しているか?
・将来の夢(ギョッ★)   ・・・・・など、原稿依頼をいただきました。


 人と話している際、相手のことだけではなく、自分自身についても発見のあることがあります。文章も同じ。意外なことに気がつくことがあるので、文章を書くのが好きです。

今「満月がなりやまない」の稽古で、時間を(過去へ)さかのぼるというモチーフがあり、メンバーと稽古をしています。
また、制作をお願いした増山くん(まっすー)とも、「荒木志水が、ダンスとするモノとはなんなのか?」というやりとりがあり「なんなのでしょう?」と考えざる得ない。
で、ニュースレターの原稿を書いたところ、どうも私の身体感覚、指向は、暑い・冷たい・眩しい・暗い・広い・季節の匂いや、温度・湿度、明暗など、感情よりも皮膚感覚や情景の感覚が優勢であるような気がしています。



///////////////////////無題

 幼いころの体験ほど強烈で新鮮なものに出会うチャンスは、大人になるにつれ減っていくように感じます。現在、私はダンサーとして活動していますが、踊りを観ていただいた方に「君は自然と会話ができるでしょ」と、冗談を言われたことがあります。

 自主保育には3才から「駒沢おひさま会」に参加し、雨の日は児童館、晴れの日の多くは駒沢公園で過ごしました。夏には川に入り、秋には銀杏やドングリを拾い、焚き火で芋や枝の先につけたパンを焼く。一年中ビーチサンダルにTシャツの男の子が雪の日、ついに泣き出したときは「やっぱり寒いんだ」と、こっそり笑う。ザリガニを釣り、カエルやトカゲを飼い、エサであるハエの取り方を仕込んでもらいました。駒沢公園の他には羽根木公園や世田谷公園、その他、覚えきれないほど、近辺のあらゆる広場や公園にいきました。卒会後は区立の小学校に上がりましたが、自主保育時代のように自由で多様な体験を毎日のようにすることはありませんでした。

 ダンスは大学を卒業する間際、大人になってから始めました。私にはバレエリーナーのようなテクニックはありませんが「雰囲気がある」「つい目がいってしまう」と言っていただくことがあります。よく踊れたと思えるとき、舞台に居ながら別の場所に立っているような錯覚を覚えます。嵐の中であるとか、真夏の蝉の声がうるさい木漏れ陽の中、冷たい雪が皮膚に染み込んでくるような吹雪の日など。あとは人間関係の中で抱く感情を投射することもあります。人から教えていただく技術以外のオリジナリティは、自分自身の体験や探求の中からしか得られないものだと思います。また感性に至っては豊かなモノとのふれ合い以外に育むことはできないでしょう。劇場、美術館、展覧会に行き、よいものを見る。音楽を聞き、本を読み、映画を観る。たくさんの人に会う。一緒に作業して、楽しかったり、喧嘩をしたり。身をもって体験し、舞い上がるほど喜んだり、背筋が凍ったり、冷や汗をかいて反省したり、実感したことだから舞台でもその身体になることができる。

 自主保育では最低限、危険なことを叱られる以外は放任主義でした。全体での移動や日ごとのスケジュールに合わせることは必要ですが、皆が芋を焼いているときに、横で虫を追いかけていても、さほど問題はありません。幸せに生きるために大切なことの一つは、好きなこと、やりたいことがあることだと思います。親や先生が「やりなさい」と言ったからやるのではなく、自分でやりたいことを選ぶ。なにをしたいか自分で決める。失敗しても間違えても、焚き火の後、焼き芋が食べられなくても自分の責任。
 自主保育は、主体性と責任を持つ姿勢を育んでくれる場だと思います。まっさらな幼いころに、同年代の子どもたちと共に自然の中で夢中になって遊び、のびのびと過ごせたことは本当に幸せなことでした。

/////////(ビックミスな誤字脱字などなければ、2009年1月号に掲載予定)

WS

2008年12月21日 | webiog
12月20日 21日 ダンスWS終了いたしました。
参加下さった方々、お手伝いしてくれたマッスー、ありがとうございました!








接点

2008年12月18日 | 稽古
12月17日(水)雨、寒い

 安藤洋子さんのWSへ行く。新しくなったアーキタンツスタジオには初めての訪問。広くて、天上の高さにも感激。外国の建築みたい。

 週一で行なっている自分の稽古(満月出演ダンサーと)で、「足の裏を柔らかく」と言いながら理由を説明しきれずにいたのだが、洋子さんがバッチリ説明してくれる。

まずは踵を使えるようになるべきだそうだ。踵には踵骨という大きな一塊の骨があり、これを踵の端から土踏まずにかけて、のすように、飛ばすことなく使う。骨一つを床にロールダウン、ロールアップみたいなイメージで転がす感じ。

片足の踵を、目一杯フレックスにし角度を変えないまま、踵側から床につけていき上体を乗せていく。すると「お腹を引き上げる!」なんて考えなくても自然と上体は引き上がり、良い位置に乗るから不思議。そのままつま先立ちになっていっても信じられないぐらい楽。
洋子さん曰く「地面を押して」とよく聞くけれど、絶対に押してはいけないそうだ。

野口体操では、三千三さんが「足裏で地面に語りかける」「体重で話しかける」というニュアンスの言い方をしている。


 踵を使って歩いてみる。自分の稽古でも最近やっているのだが、移動するって本当に難しい。浮き足立ってバタバタしてしまうのだ。足を忘れて上体が動く。で、足はただついてくるだけにする。幽霊みたいになめらかになりたいな。「足を忘れろ」ってのに、幽霊はイメージとして最適じゃないか。次回は幽霊のイメージで稽古してみよ。

 一人で踊りるなら往々にして、世界との物質的な接点は、足の裏と地面が一番多いだろう。その接点から自分を床に伝える。床からの情報を足の裏から受け取り交感している。
押したら上も固まってしまう。流れが止まってしまう。固めて使っていたら、すぐに疲れてしまうそうだ。

全身の様々なことが、上手くいっているかチェックできるのが、足裏、掌なのだそうだ。硬かったらダメ。自分一人でがむしゃらに頑張ってもダメってことかな。



 二人一組に向き合って座り、互い両足裏をくっつける。一人がリーダーとなり、もう一人はついて行く。これは掌でもやる。
ただ触れているだけでは弱すぎる。押したら強過ぎる。相手に少し預けて、吸い付くように張りついている感じ。
上手くいくと、楽! 一人でこんなに足上げたら大変。という動きもスイスイ。汗はかくんだけど、息は切れない。で、上手くいってないと疲れる~。なんだか色んなことと共通する気がした。

 相手に掌で、身体の様々な部分に触れてもらう。触れられた部分で相手の掌に反応するよう練習する。これは難しい。すぐにその部位で相手の掌の動きについて行ける状態になるべきなのだが「居ないよ。居ないよ」と言われつづける。肘から下はわりと反応できるのだが、上の二の腕、肩、背中、腰・・・ いや、もう全身鈍感。

「柔らかくなったら上手くいくよ~。友達も増える」と冗談っぽく言う洋子さんは、大阪のおっかさんみたいに、ケタケタ笑う(洋子さんスミマセン)。イデビアンクルーに出演していたときも感じたが、居るだけで周囲と体の密度が違う。濃密。体中のセンサーが外に開いている感じだ。


 WSの最中、何度か「あなたダンスやっているでしょ。形は忘れて。どうでもいい。」と言われる。02年から6年。私もそんなことを言われるようになったのかぁ、嬉しいような悔しいような・・・。
最近のテーマは継続。ともかく毎日つづけられるメニューを。
ぜんぜん大したことない内容だが、以前やっていたものの中から気に入ってつづいていたものをピックアップして、回数は区切りよく10回づつ。ハードなものは5回。調子は良くても悪くて10回。
洋子さんのWSには2、3年前にも参加したことがある。今回参加して「数年前とほとんど何も変わらないことをしている」と思った。「そうなんだ」と、プチ衝撃。というか、目から鱗。
そういえば、12月4、5日のカッキー本番。初日は開始5分もせずにコンタクト両落ち。あれは焦った。年内にコンタクト買いに行こう。たしかモイストモイストとかいう良い新製品が出てたはず♪

ボディペイント

2008年12月15日 | webiog
12月14日(日)雨

 早起きしてフルメイク。雨が降っていたので、マスカラだけは着いてから駅で塗ることにする。6時に玄関のドアを開けると外はまだ暗かった。
今日は、画家の神田サオリさんの自宅兼アトリエにてボディペイント&撮影。カメラマンの木村文平さん、サオリさん、そして私は全員同い年。三人とも、どこかのんびりした雰囲気があり居心地がよい。しかし木村さんは、いざ撮影となると別人のように熱く変貌。サオリさんは、やさしくて一見おとなしそうだが、バリバリ、メキメキ活躍中。私は潔癖性で、一見清純そうに見える(ハズ、たぶん)らしいが、画家とカメラマンに乗せられて、かなりキワドいショットを撮られた。のでは・・・。どうぞ、無断で公開しないでね★ でも、サオリさん、写真を見るの、とっても楽しみですね!

 サオリさんの自宅は、引っ越したばかりで床暖房(お洒落で、家具とかもみんな素敵。椅子にマチルダって名前がついていたりする。写真をアップするときにまた詳しく書きたいな)。ペインティングのために肌を出している私のために、暖房をガンガンつけてくれ、ウルちゃんことオオカミ犬のウルカイが、我が家の犬に勝る可愛さで、和ませてくれる。
しかし、ペイントに取りかかったのは何時だっただろうか。終了は2時。かなりの長丁場だった。この華奢な体に、よくこんなに体力があるなってぐらい、もくもくとサオリさんは描きつづけてくれる。
ヘナアートや雪の結晶のイメージで、最近のマイテーマ経絡のツボの位置にエネルギーが湧き出ている感じで描いてもらう。絵柄は繊細で本当にキレイ。背中など自分ではよく見えないところが残念。
撮影後、サオリさんの旦那さんが出してくれた、塩豚がおいしかった。ごちそうさまです。ありがとうございました!

神田サオリさんHP&ブログ 現在渋谷の西武本店にて作品を展示中
http://www.saorian.com/cn9/top_index.html
http://saorian.blog52.fc2.com/

本番、踊り納め

2008年12月09日 | webiog

12月4日(木) 5日(金)  Dance Cafe Yダンスコンサート 
振付:垣内友香里 Benny Moss「ONE<ある>」終了。
カッキー、出演者のみんな、お世話になりました。ありがとう!
もう12月ですね。今年の本番踊り納めでした。


12月2日(水)
 カッキーリハ。今日の稽古場は砧総合運動場。以前住んでいた場所の近くで、なつかしい。よくここのプールに泳ぎにきたもんだ。
 夜は、千恵ちゃんの本番(2、3が他の本番で、4、5がカッキー本番、すごい)。他の出演者はみんな劇場に向かったが、わたしは体調がいまいちで、自分の稽古の進み具合も芳しくない。大事をとって一人稽古場に残らせてもらう。久しぶりのマイペースひとり稽古。経絡を一本づつ意識して、ふんわりと軽くなる練習をする。一時間半がすぎたころ、ようやく気持ちが入ってくる。最近、腰が入らない。気持ちも、かなりフワフワ。腰が入らないと上半身は硬くなるし、床も踏めないみたい。フワつくべきは、振りつけてもらった踊りの質感だけなのに。


12月4日(木)
 Benny Moss本番1日目。体調は良いのに、どうしても腰が抜ける。重心が下がらない。いつも見てもらっている人にも、カッキーにも「硬い」と言われてしまった。


12月5日(金)
 Benny Moss本番2日目。ふんわりするべく、ガッチリアップする。
ともかく激しく暴れる。本番前は、誰かが自分を崖の下まで突き落としてくれればよいのにと思う。いつもと同じ場所にいたのでは、ゆるすぎる。細かいことは、もうどうでもいいや。と思えたら踊れる。1日目よりは、ふんわり出来た。毎回、稽古のときでも、いつも崖の下にいくにはどうしたらいいんだろう。
「誰か突き落として」じゃなくて、毎回自分で落とせばいいんだな。と、書きながら思う。


12月7日(日)晴れ
 今日は自宅にひきこもり。
5日に暴れたわりには、重ちゃんに借りた「恐怖奇形人間」のDVDを観ても落ちついている。土方巽さんに見とれつつ、しかし、エンディングシーンは落ちついてはいられなかった。「お母さ~ん」&人体バラバラパーツの打ち上げ花火・・・・。
つけあわせは「月曜日のユカ」こちらも60年代の古い映画。加賀まりこが超キュート。

Information

2008年12月05日 | 今後の活動予定
2008年12月 20(土)21(日)荒木志水ダンスWS

踊っている身体とは、少々トランスした状態だと思います。
自分の体と動きを楽しめば、見るほうも楽しい。
人に魅せることに耐えうる身体の在りかたを探ります。


内容:身体基礎訓練 イメージを使ったインプロビゼーションダンス
経験不問 身体を使った表現に興味のある方
場所:都内稽古場(小田急線下北沢駅より徒歩可)
料金:二日間通し1000円 単発600円
20 21 両日13:30~16:30(二日間の連続受講をお薦めします)
お申し込み・お問い合せ:shizuaraki@hotmail.co.jp
TEL/FAX 042-723-9607(荒木)



2009年1月31日(土)
METRONOME ORCHESTRA

『時』をテーマとしたメトロノームとダンスのフリーインプロヴィゼーション

主催: Studio LETOH
ゲスト:舞踏 吉本大輔 コンテンポラリーダンス 荒木志水
会場:コア石響(カノンホール)
住所:東京都新宿区若葉1丁目22-16
開場:19時  開演19時半
チケット: 2500円(前売り/当日) 定員50名





荒木志水ダンス公演「満月がなりやまない」

振付・構成:荒木志水
出演:重森一 根岸由季 中村理 荒木志水 他(出演ダンサー募集中)