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ものづくり・工場改善 見える化 (6) 「続・可視経営」 石橋博史

2016年07月24日 | ものづくり・工場改善 見える化

第208回記事(2014年9月9日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定

「ものづくり・工場改善 見える化」 の本の紹介も今回が最後になります。
(リストに掲載した中で、石川秀人さんの「見える化の基本と実践がよーく分かる本」は掲載しません。また、以前紹介している小山昇さんの「経営の見える化」は次回コピーを掲載予定です。)

<データ>
本のタイトル:続・可視経営
 サブタイトル的なものとして、
  「意識・行動が変わる」と
  「業務プロセスの可視化法とツール」 という記載もあります。
著者:石橋博史(株式会社システム科学代表取締役社長)
出版社:日経BPコンサルティング
出版年:2011年
定価:本体1600円+税

<はじめに・・・・紹介の目的>
 工場の現場(=ブルーカラー)の見える化については多くの先生が色々な視点で本をお書きになっています。また、経営関係の見える化に関してはBSC(バランス・スコア・カード)があり見える化が行われています。そうすると、ホワイトカラーの仕事の生産性向上のための見える化の手法は無いのかという疑問がわいてきました。それで、いろいろ調査をしてみました。しかし、そのような本はなかなか見つかりませんでした。その中で、唯一見つけて掲載してみたいと思ったのがこの本です。

<著者の石橋博史さんについて>
 本を読ませていただくと、経営改善のためには、ホワイトカラーの生産性向上が必要ということを認識され、1986年から約25年間、ホワイトカラーの生産性向上の為の見える化の手法などを開発されてきました。約25年というのは途方もなく長い時間であり、長期間に渡り「見える化」の改善をされてきたことはたいへんすばらしいことだと思います。
 そして、2010年には「業務プロセスの可視化方法」及び「チャート作成システム」で特許の取得されたとの事です。

<なぜ今までホワイトカラーの生産性を上げる見える化ができていないのか>
 私の一番の疑問は「なぜ今までホワイトカラーの生産性を上げる見える化ができていないのか」なのです。これについては48pに
「仕事の原点を表す支援ツールがなく、あっても記号の種類が多すぎて難しい、あるいは仕事の流れが複雑でフローチャートを作成するのが難しいなどが挙げられよう。」
との記載があります。
 この記載が適切かどうかは私には判断できませんが、製造現場の工程は、加工(大○)・検査(大□)・停滞(▽)・運搬(小○)という4つの記号で表現しているので、外れてもいないだろうと考えます。
 基本記号として大○△大□の3種類を元になり、14種類の記号があるようです。(163p)
 また、事例としては212pが参考になると思います。

<著者の開発したHIT法>
 この本を「見える化」の本として紹介していますが、本自体の目的は「見える化」のその先にある改善・経営です。(ですので、ここからは「見える化」以上に「改善、経営改善」の話が中心になります。)改善・経営改善の手法がHIT法であり、HIT法(ヒューマンリソース・インテリジェンス・テクノロジーの頭文字をとったもの。日本語には知的生産性技法と訳す。)は著者が約25年掛けて開発されている生産性向上の技法です。全体像が分かりにくかったのですが、一番参考になりそうなのが24pの「HIT技法と支援ツールが目指す基本」です。業務を、
 ①把握し、
 ②気づきを得て、
 ③改める、
ということだそうです。また、いろいろなツールも開発されています。(ただし、詳細までは記載されていませんので。)

<業務の「ムダ」>・・・・ムダを見える化することで改善をする
 製造現場では、トヨタ自動車さんなどで言われている7つのムダがあり、どのようなムダがあるのか分かりやすくなっています。また、著名なコンサルタントの山田日登志先生なども停滞のムダと動作・運搬のムダに大別されており、製造現場のムダは分かりやすく分類されています。(そのムダを見える化して、ムダを無くす改善をすれば良いのですから。)
 一方、ホワイトカラーの業務のムダはと聞かれたら即答できないのですが、著者は26pに5つに分類した業務のムダを記載しています。
 原点のムダ
 3不のムダ
 3弱のムダ
 3無のムダ
 3悪のムダ
それぞれの詳細は本を読んでいただくとして、どのようなムダがあるかタイプ別に記載されていると、ムダをひとつひとつ見つけていくよりも、自分の職場ではどのようなムダが発生しやすいのかと認識でき、そして見つけたムダはあのタイプだねという風に、ムダが分類されているとたいへん分かりやすいように思います。また、対策案も出やすいように思います。

<なぜ改善が進むのか>
 著者が改善について言われていることを個人的にまとめてみると、3点に集約できるように思えました。
 ①小さなことから着手せよ
 ②気づきを大切に
 ③コミュニケーション
①の「小さなことから着手せよ」については、29pや40pに記載があります。(ただし、小さなではなく、細かなという言葉を使われていますので。)
②の「気づきを大切に」は、自分で自分の業務のフローチャートを書いてみると、多くの気づきが得られますよということです。
③の「コミュニケーション」は、共通の言語・ツールで作成した自己の業務のフローチャートを元に話・議論をするので、コミュニケーションが進み、改善も進むというイメージです。

<最後に・・・・著者の思い「強い日本の企業の復活」。>
 
 私も約15年前、いくつかの個人的な閉塞感から「もの造り」の勉強を始め(正しくは、再開しですが)、国家資格を2つ取得し、今このようなブログを書いていますが、さすがに15年は長いなあと思います。それを越える約25年間、「強い日本の企業の復活」の思いを抱かれて、努力を継続され、HIT法の改善をされてきた著者の石橋さんには頭が下がります。

▲一度皆さんも読んでみられたらいかがですか。▲

                                               井上三右衛門(記)

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ものづくり・工場改善 見える化 (5) 「見える経営」 五十嵐遼

2016年07月17日 | ものづくり・工場改善 見える化

第202回記事(2014年7月21日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定

「見える化」の本の紹介も4冊目になりました。
今回は、製造現場以外の「見える化」で気になる本を紹介します。関心のある方は購入されて一読されたらと考えます。

紹介内容
 本のタイトルは「見える経営」となっていますが、中身は社団法人中部産業連盟(略称 中産連)で実施されているVM(isual anagement)=(目で見る経営+目で見る管理)について記載されています。
 VMの範囲は、従来の「見える化」が製造現場に限定されていたのに対して、「見える化」の考え方を間接部門の仕事や経営に関しても拡大適用して、経営上の成果を得るように工夫されたものです。記載されているのは、下記の①~⑤ですが、特に①と③がポイントになります。
 ①経営マネジメントシステム・・・・・②生産システム・・・・・・・・・④物的システム
                    ・                ・
                    ・                ・・・⑤管理システム
                    ・・・③管理・事務システム

 VMの具体的な実施方法は、従来の製造現場の「見える化」がアンドンなどで現場情報を見えるようにすることが中心であったが、VMは会社の目標を系統的に各部署に具体的に落とし込み、その目標と進捗をVMボートという掲示板に張り出し、サイクル期間を決めてその掲示板の前で管理者・経営者がレビュー・コーチングをすることで、目標の達成率を向上し経営に寄与する方法です。
 仕事の成果を出す、経営に寄与するという点では、第5章に「VMによる目標管理と収益管理」という章があり、ここを読んでいただくのが良いのではと思います。私が会社でも感じることなのですが、目標管理は最初に目標を設定するだけで途中の経過状態には上司は無関心(もしくは、関心はあるが目標管理なので担当者に任せて口出しをしない)状態であり、最後になって目標未達成のままのことがかなりの割合で発生しています。また、改善活動などではこの活動でどれだけ業績が良くなるかが不明の為、担当者のモチベーションは上がらないし、管理者・経営者の関心も低いままの状態が多数見受けられるように思います。これらに対して、VMボードの前でサイクル期間を決めて打ち合わせを行い、管理者・経営者のレビュー・コーチングを行うことで、PDCAサイクルを回して目標の達成率を向上し、経営への貢献が可能になります。
 「見える化」を使い、改善の目標を達成する、経営で成果を出すという点でお勧めの本です。

データ
 発行:2006年12月
 著者:五十嵐瞭(社団法人中部産業連盟(中産連)常務理事・主幹コンサルタント(当時))
 ページ数:194p
 価格:1900円+税(当時)
 出版社:日刊工業新聞社
 目次:
  第1章 VMの重要性と真髄
  第2章 VM活動の具体的手順と方法
  第3章 生産システムの構築をめざしたVM活動の進め方
  第4章 事務・管理システムの構築を目指したVM活動の進め方
  第5章 VMによる目標管理と収益管理の進め方
  

外観
 
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記 井上三右衛門

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ものづくり・工場改善 見える化 (4) 「仕事の見える化」 長尾一洋

2016年07月10日 | ものづくり・工場改善 見える化

第193回記事(2014年5月19日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定

私事で恐縮ですが、ものづくり・工場改善の記事を書く場合は、既に読んでいる本を約1W前くらいから数回読み直すのですが、先週図書館で借りた「小さな会社の生きる道。」(著者:中川淳(中川政七商店十三代)、出版社:阪急コミュニケーションズ)があまりに面白くて、というよりたいへん共感して、ついついこちらの本ばかり読んでしまいました。本の中には、兵庫県豊岡市にある鞄メーカのバッグワークス株式会社(代表者:高島茂宏)も出ています。今後機会があれば紹介できればと考えています。

さて、今回は見える化の4回目で、本の紹介は3冊目になります。

●まず本のデータの紹介です。
 タイトル:仕事の見える化
 著者:長尾一洋((株)NIコンサルティング代表取締役)
     (一度講演をお聞きしたことがあります。)
 出版社:中経出版
 出版年:2009年
 価格:1300円+税
 ページ数:224p
 外観:
 Photo
 (白い帯の部分に、1.会社の未来2.社員の頭のなか3.顧客の頭のなか 本当に大切な「3つのこと」が見えれば「先の読めない大不況時代」も乗り越えられる!と書かれています)

●特徴
 この本の特徴を一言で言えば、
 「工場現場以外での仕事の見える化」
 もしくは「メールを使った見える化日報」でしょうか。

●以下で詳細を述べます。
1.「見える化」の中でのポジショニング(ジャンル)
 一冊目の越前行夫先生の本が、工場の現場の「見える化」、
 二冊目の遠藤功先生の本が、経営を含めた全体的な「見える化」、
 それに対し、この長尾一洋先生の本は仕事、特に営業活動の「見える化」といえるでしょう。
2.「見える化」の方法
 「見える化」の方法は、メールを使った「見える化日報」を作成する方法です。
 その点から、私たちが行っている工場の現場の「見える化」とは全く異なるものであり、
 工場現場の方からは想像もつかない方法だと思います。
 
 また、この方法は、既に2000社(2009年4月現在)が採用しているそうです。
3.工場の現場の「見える化」との比較
 工場の現場の「見える化」は、①事前にモニターする項目と判定基準を設定しておき、②モニター項目の実績値を常に見えるようにしておいて、③判断基準を越えた場合や下回った場合には、すぐに修正・改善の行動を起こすことと私は理解しています。
 それに対し、「見える化日報」では、②日報の中の【事実】の項目に現状を記載し(見えようにし)、①【推察】の項目に自己の判断基準的なものを記載し、③【予定】の項目に今後の行動予定を記載するようになっています。
 「見える化」といっても、工場の「見える化」とは全く違ったものであり、詳細は説明しきれるものではないので、詳細は実際に本で読んでいただくしかありません。
 
4.良いと思われる点
 主なものは以下の4点と考えます。
 ・メールの日報であり、紙の日報より効率化されている。
 ・メールの日報で報告・連絡がされており、上司や同僚や関係部門がすぐ支援できる。
 ・顧客の考えていることを【推察】することで、成功確率の高い行動を起こせる。従来の日報はただ事実を述べるだけで、この推察が抜けている。
 ・顧客情報がメールの日報で手間を掛けずに蓄積される。
5.疑問に思う点
 良い点も多数あるのですが、下記のような疑問に思う点もありました。
 ・30人ほどの会社では、すべての人にメールが配信されるが、全員から来ると負担では?
 私は関係ない部門からのメールは中身を見ずにさっさと消しています。
 ・日報の作成は15分程度で済むとのことだが、その程度の時間で済むだろうか?

とにかく、既に2000社以上での採用実績があるということなので、関心のある方は試しに(株)NIコンサルティングに問い合わせてみられたらと考えます。
(私は(株)NIコンサルティングの社員では決してありませんので。)

井上三右衛門@晴耕雨読

追加(2014年5月26日)
 目次が抜けていましたので、追加します。
  チャプター1 会社の未来を「見える化」する
  チャプター2 現場の仕事を「見える化」する
  チャプター3 「見える化日報」で仕事が変わる
  チャプター4 社員の頭のなかを「見える化」する
  チャプター5 顧客の頭のなかを「見える化」する

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ものづくり・工場改善 見える化 (3) 見える化 遠藤功

2016年07月03日 | ものづくり・工場改善 見える化

第186回記事(2014年3月17日(月)配信)(毎週月配信予定)

今回の記事は「見える化」の3回目で、本の紹介になります。
実は大変(気持ちが)「滅入る化」しています。
理由は簡単で、5Sと比較して見える化は、言葉の定義などが無く、「見える化」の対象範囲が不明確で、読む本ごとに独自の考え・世界があり、まとめ方が困難なためです。
その中で、今回の本は「見える化」のブームの火付け役となった本で、「見える化」の対象範囲(本の中ではカテゴリーという言葉が使われています)や「見える化」のバリエーションの説明が記載されており、他の本を読む前にぜひ一読しておきたい本です。

データ
 著者:遠藤功(株式会社ローランドベルガー会長。早稲田大学ビジネススクール教授)
         (2013年3月に講演を聞かせていただく機会がありました)
 出版社:東洋経済新報社
 ページ数:200p
 出版年:2005年
 定価:本体1600円+税
 表紙写真:
 Photo

目次
 序章  「見えない現場」と「見える現場」
 第1章 「見える化」とは何か
 第2章 「見える化」の体系と事例紹介
 第3章 「よい見える化」を実現するために

<ポイント>
個人的に強く認識したポイントを書き出してみますと、
●まえがきのⅰxページに「私の知る限り、「見える化」に関する経営的な観点からの研究や体系化はこれまでの前例がない。」と記載されており、「見える化」に関する初めての体系的研究の本と思われます。
●まえがきの中の項目別タイトルに
 「見える化」の本質がわかっていない
という言葉が出てきます。この言葉から著者は少し危機感的な思いを持たれているように思われます。よくよく今自分達がやっていることを振り返ってみて、表面的な活動になっていないか、経営的な成果が出せるものなのか、確認する必要があります。
●第2章では34例もの豊富な事例が紹介されており、今後の自社での「見える化」の活動の参考になると思われます。
●「見える化」の定義(75p)、「見える化」のカテゴリー(61p)、「見える化」のバリエーション(48p)など、「見える化」に関する整理をするためには大変有効と思います。
●また、182pからは効果的な「見える化」のための10のポイントが記載されており、今後の自社での「見える化」の活動の役に立つのではと思います。

<独り言>
●「見える化」は言葉は平易だが、実に奥の深いコンセプトだ(この言葉は本の中のどこかに記載されていましたが)と思います。「見える化」の活動を具体的に分解してみると、
 ①「見える化」したい(すべき)情報を明確にし、
 ②その情報を見つけた人が、情報が必要な人に「見える化」し、
 ③見える化した情報により、みんなで改善活動などを行う。
ということになりますが、それぞれのステップでいくつか問題点があることに気づかれると思います。
●終わりから遡って行きます。
まず、③のみんなで改善活動などを行う点では、ただ情報を掲示しただけで行動が起こされていない。具体的には、市場からの不具合件数は目標値をかなり上回っているがちっとも具体的な改善活動が始まらない。
さらに②の情報を発信する人と情報を受ける人と情報の発信方法では、不具合の情報を品質保証部門と事業部門でメールでやり取りをしていたが、掲示板での開示にしたがほとんど見られていなかった。これと同様の記載が本の中にありますが、個人的にも同じ経験をしています。また、先ほどの③の問題点で書いたように、改善が開始されないなら開示をする対象者は適切かどうかという疑問があります。
さらに①の見える化すべき情報が、「見える化」という言葉の基に何でもかんでもになってしまっている。たとえば掲示板に多くの指標の推移グラフが掲示されているが、これらは吟味されたものか。たな卸しした結果のものか。
●いくつも問題点が今の現場に、今の「見える化」にあるのは確かですが、問題を絞り込むと、
 「現場での問題解決が出来てこその見える化」
であると考えます。解決行動無き「見える化」は無意味です。目標値と実績値の乖離の度合いで行動をおこさないという判断もありますが。

三右衛門(記)

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