穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

実存を中国語で言うと

2017-01-10 19:44:46 | 哲学書評

ところでインターネットでexistenzの中国語訳というのが出ている。「存在主*」というそうだ。*は中共の略字で読めない。三画の文字だったが。ここに実を当てることはなさそうだ。これで九鬼周造君の独創的な訳語がさらに目立ってくるわけである。

*って体かな、存在主体だろうか、これならなんとか意味が通じそうだ。しかし気になったから本日物好きにも書店で中日辞典を立ち読みした。*は義の略字らしい。二本の斜め棒がバツ印のように交差して一番上の空間に点がうってある。実存を存在主義と訳しているのだろう。主義は主な意味ということか。これなら人間の本性というか本来有るべき姿という意味になるかな。

現代中国語でも日本で言う「正義」という使われ方が有るなら正しい人間のあり方という意味にもとれそうだ。いずれにせよ、説明的だが実存と訳すよりかましなことは間違いない。