到着したのは、大会3日目の午前中。ヨハネスブルグ国際空港から車で南方向に約20分のところにあるBoksburgという街のシティスタジアムが今回の会場。少年野球に関して言えば、12月のサマーゲームと4月のユース・トーナメント(今大会)が二つの大きな柱となっており、男女を年齢別のカテゴリに分け、数チームごとにグループ分けを行なって総当り戦を行い、その勝者を決めるといったもの。サマーゲームのほうは基本的に各州の選抜チームによる大会で、ユーストーナメントは基本的にチーム構成に制限がないため単一チームによる参加も可能だが、実際は移動や宿泊費などの負担が大きいため、州や地方自治体などの支援が得られるようにそれぞれの地域で選抜チームをつくるという形が一般的である。今大会は、男女それぞれ14歳、16歳、18歳以下の計6のカテゴリで行なわれた。
会場となったグラウンドは日本やアメリカのような単一のボールパーク型ではなく、総合運動場の一角にあるバックネットと小さな観客席のついた野球場が3面と、多目的グラウンドに簡易型バックネットを運んで作った即席野球場が3面の計6面で、カテゴリごとに場所が振り分けられ、全面同時進行で行なわれる。野球の盛んなハウテン州、西ケープ州、クワズールー・ナタール州ではこのように野球を主目的としたフィールドがそれなりに用意されており、全面天然芝で見栄えもよく、一見するとベースボールを取り巻く環境も非常に整っているように見える。
プレーヤー達もそれぞれ小ぎれいなユニフォームに身を包み、特にトッププレーヤーの白人たちは身体も大きく、この中から毎年数人がプロの候補生としてアメリカへ海を渡っていくということも、素直に頷ける。観客はほとんどが関係者と父母で占められ、全国大会といえどもその数は少なく、やはりラグビーやサッカー、クリケットの3大スポーツが人気を誇る南アフリカではまだまだトップスポーツとしての認識は浸透していないことが伺い知れるが、コカ・コーラなどのスポンサー幕、テレビ局の取材なども見受けられ、衛星放送でのメジャーリーグ中継なども加わって、他のアフリカ諸国と比べれば野球に触れる環境としては格段に良いといえるだろう。王JAPANの活躍が記憶に新しい昨春のWBCでも、アメリカにはその実力の違いをまざまざと見せ付けられたものの、それに準ずるカナダやメキシコといった強豪に善戦するなど、いま野球界では新興勢力としてその注目を浴びている存在である。
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つい十数年前までアパルトヘイトの政権下にあったこの国のスポーツも、やはりその影響から目を離して見ること、語ることは出来ない。南アフリカ野球連盟は、アメリカ・メジャーリーグの底辺層拡大プログラムと連携してその事業を進めており、2007年の時点で全国およそ1100のプライマリー、180のセカンダリースクールに野球道具が配布されており、貧困地区の旧黒人学校などにも活動の基盤はあるが、道具はあっても指導・管理できる人物がいないため、実際には紛失や老朽化するうちに倉庫に眠ってしまい、有効活用されていないのが現状である。また日常の生活レベルの差も未だに大きく、一概に白人と黒人に分けることは出来ないものの、トップチームの選手達は身体も大きく、用具も非常に充実しており、その一方ではユニフォームさえ満足に着れないチームがいたりと、同じ年代のゲームでも試合前からすでに勝負あり、という印象を持たざるを得ない。トップレベルを構成するのは、前述した地域に展開するクラブチームの出身者がほとんどで、南アの春~夏にあたる10月~4月をシーズンとして各地域でリーグ戦などを行い、そのレベルアップに努めている。
(2に続く)
会場となったグラウンドは日本やアメリカのような単一のボールパーク型ではなく、総合運動場の一角にあるバックネットと小さな観客席のついた野球場が3面と、多目的グラウンドに簡易型バックネットを運んで作った即席野球場が3面の計6面で、カテゴリごとに場所が振り分けられ、全面同時進行で行なわれる。野球の盛んなハウテン州、西ケープ州、クワズールー・ナタール州ではこのように野球を主目的としたフィールドがそれなりに用意されており、全面天然芝で見栄えもよく、一見するとベースボールを取り巻く環境も非常に整っているように見える。
プレーヤー達もそれぞれ小ぎれいなユニフォームに身を包み、特にトッププレーヤーの白人たちは身体も大きく、この中から毎年数人がプロの候補生としてアメリカへ海を渡っていくということも、素直に頷ける。観客はほとんどが関係者と父母で占められ、全国大会といえどもその数は少なく、やはりラグビーやサッカー、クリケットの3大スポーツが人気を誇る南アフリカではまだまだトップスポーツとしての認識は浸透していないことが伺い知れるが、コカ・コーラなどのスポンサー幕、テレビ局の取材なども見受けられ、衛星放送でのメジャーリーグ中継なども加わって、他のアフリカ諸国と比べれば野球に触れる環境としては格段に良いといえるだろう。王JAPANの活躍が記憶に新しい昨春のWBCでも、アメリカにはその実力の違いをまざまざと見せ付けられたものの、それに準ずるカナダやメキシコといった強豪に善戦するなど、いま野球界では新興勢力としてその注目を浴びている存在である。
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つい十数年前までアパルトヘイトの政権下にあったこの国のスポーツも、やはりその影響から目を離して見ること、語ることは出来ない。南アフリカ野球連盟は、アメリカ・メジャーリーグの底辺層拡大プログラムと連携してその事業を進めており、2007年の時点で全国およそ1100のプライマリー、180のセカンダリースクールに野球道具が配布されており、貧困地区の旧黒人学校などにも活動の基盤はあるが、道具はあっても指導・管理できる人物がいないため、実際には紛失や老朽化するうちに倉庫に眠ってしまい、有効活用されていないのが現状である。また日常の生活レベルの差も未だに大きく、一概に白人と黒人に分けることは出来ないものの、トップチームの選手達は身体も大きく、用具も非常に充実しており、その一方ではユニフォームさえ満足に着れないチームがいたりと、同じ年代のゲームでも試合前からすでに勝負あり、という印象を持たざるを得ない。トップレベルを構成するのは、前述した地域に展開するクラブチームの出身者がほとんどで、南アの春~夏にあたる10月~4月をシーズンとして各地域でリーグ戦などを行い、そのレベルアップに努めている。
(2に続く)
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