読書の記録

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論理的にプレゼンする技術

2009年03月19日 | ビジネス本
論理的にプレゼンする技術 聴き手の記憶に残る話し方の極意・・・平林純

 著者にはほぼ同じテーマの「理系のためのプレゼンのアイディア」という本が技術評論社から出ており、重なっている部分もかなり多い。前者の本に比べると「理系のため」という要素が引っ込んで、文理問わないオールラウンドな内容になったとはいえるが、実は「理系のための・・」も。言うほど「理系」専門の内容というわけでもなかった。また、本書「論理的に・・」にも、あちこちに理系的な内容を持つプレゼンテーションへのテクニックが散りばめられており、要するにこの2書は本質的にはかなり同じところにある。

 じゃあ、「理系のための・・」と何が決定的に違うかというと、いっさいの下ネタが消えた、ということである。実は「理系のための・・」は事例やギャグに妙に下ネタが多く、これがこなれてセンスを感じるものであればよかったのだが、なんというか無理してサービスしてみましたという不自然感がバリバリ出ていて、察するに著者はもともとあまり下ネタが得意でない、というか艶咄に向いていないように思ったのである。肝心の「プレゼンのアイディア」に関する部分が優れていただけに、これは非常にもったいないのであった。

 たぶん、そこらへんの反響があって、改めて書かれたのが本書ではないか、と思うのである。実際、はるかに洗練されたと思う。確かに前書と重なっている部分は多いが、それらはハックめいた珍奇なテクニックの使いまわしなのではなく、色の使い方、情報の配列の仕方といった情報伝達における「基本」部分を繰り返し強調したいがためのものなのだと見てとれる。つまり、”焼き直し”というよりは、プレゼンテーションにおいて極めて重要な事柄であるからこその再三の紹介であり、著者の自信の表れでもあろう。

 もちろん、「理系のための・・」では触れられておらず、本書で初めて扱われた話や、その反対のものもある。個人的には「理系のための・・」で触れられていた、“パワーポイントのクリップアートがいかに使えないか”という話は是非残しておいて欲しかったとも思う。

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