そらみみ

……

サテンドール

2020-10-22 | 小説
父と姉とわたし、ふたりの母たち。夜の霧とジャズが記憶の断片へ誘う

父は一度も結婚していない。けれど娘ふたりの三人家族。姉妹にはそれぞれに母がいる。
母たちは自由に出入りして、問題はなかった。わたしは大人になって、それが奇妙な構造だと思いはじめた。

一話完結。


「サテンドール」

カクヨム
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054895121570/episodes/1177354054895121577

note
https://note.com/yamadasayo/n/ne2917a04dcbc

2030辛亥騒動 1/7

2020-01-06 | 小説
https://note.com/yamadasayo/n/n9622d51c481c

2031辛亥(しんがい)騒動 1/7

 *古本屋「儘心(じんしん)堂」

 名古屋市中区大須にある古本屋、「儘心堂」は、第二次世界大戦後間もなく建てられた長屋の生き残りなので、「うなぎの寝床」といわれる奥へ深い縦長の家屋だ。
 儘心堂の外観は震度一でも崩れそうな古家だ。だが見た目より頑丈なのだろう。
 儘心堂周辺の家屋や店舗も意識的に古さを残している……

noteに「淵できみを待つ」を投稿しました。

2019-08-27 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n1c9a5aed79e9

#小説、#幻想、#怪奇、#龍宮異譚
「淵できみを待つ」
 対岸の岩が見えるだろ。
 あれは一枚岩だ。もろい岩だから雨風が削っていった。木の根が張って崩したところもある。川に浸っている部分は流れが削った。川底の流れは岩をえぐり、川底をも深く掘って淵を作ってしまった。

noteに「鉄板メシ」を投稿しました。

2019-04-24 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/ne9d9d84a24d9

#小説、#ショートストーリー
「鉄板めし」
十八日と二八日は大須観音で骨董市がある。
 その日が土日祝祭日なら、ぜひとも行きたいのだが、二の足を踏む。
骨董に興味があるとも思えない父がかなりの確率でうろうろしているからだ……

noteに「おばあちゃんs」を投稿しました

2019-04-02 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/nd67234ac9619

#小説、#ショートストーリー
「おばあちゃんs」
 夕方五時半から六時を回ったころには、十五分歩いて保育園へ孫をお迎えに行く。
 孫を受け取り、保育園から一〇分ほど歩いて孫の家、つまり息子の家へ寄り、孫とママかパパの帰りを待つ……

noteに「雛さまの船に乗る」を投稿しました

2019-03-16 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n387e48d308ee

#小説、#ショートストーリー
「雛さまの船に乗る」
昼時の八階ラウンジは食堂になる。
 いつものメンバー&係長の五人で窓際の席を確保する。
隣のビルの窓はブラインドが降りているし、亀のように首を伸ばさないと空は見えない。
弊社ビルが出来た当時はきっと世の中を睥睨できる眺めだっただろう……

noteに「猫の巣」を投稿しました

2019-02-02 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/nb49237cdeacd

#小説、#ショートストーリー、#幻想
「猫の巣」
 寒い。冷たい風に身体が震え上がる。そのせいだろう、通行人が少ない。客はタクシーで乗りつけて、降りたらすぐに目的の店へ潜ってしまうのだ。
 錦三(きんさん)、名古屋の夜の街、夜に煌めき活気づく。金曜の夜……

noteに「鴨居の上」を投稿しました

2019-01-15 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n25d3cb129952

#小説、#ショートストーリー
「鴨居の上」
 一月、最初の日曜日、夕暮れ。従兄弟の輝明が年賀と称して一升瓶をぶら下げてやってきた。輝明がひとりでわたしの住まいに来るなんて、初めてのことだ。
 ドアを開け、輝明を見た。迷ったが笑顔はやめて不機嫌な顔で出迎えた……

Noteに「みそかに降る雪」を投稿しました

2018-12-31 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n79aac68f94c9

#小説、#ショートストーリー、#幻想
「みそかに降る雪」
 昨日の朝は雪が積もっていた。
 今日は雲ひとつない。
 微風。気温二度、「夜明け前はマイナス一度でした」とお天気ニュースが言った

Noteに「就眠夜話」を投稿しました

2018-12-22 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n78e58e22f2b1

#小説、#ショートストーリー、#幻想、#幻覚
「就眠夜話」
 眠れない。
 確かに悩みを抱えストレスもある。でも人並み程度のものだと思う。
人並みに睡眠障害に陥った、ということになるのかもしれないけれど、しんどい……

Noteに「雨に惑う 餓鬼岳(後)」を投稿しました

2018-12-13 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/n324224a21065

#小説、#ショートストーリー、#餓鬼岳、#幻想
「雨に惑う 餓鬼岳(後)」

 山小屋の朝は早い。餓鬼岳小屋も同じく、早い。
 杏子は掛け布団を座布団代わりに胡座をかきスマホを見ている。
お天気アプリで雨雲の様子を確かめていた……

Note「おとりもち」投稿しました

2018-11-23 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/na77970229821

#小説、#掌編小説、#土葬
「おとりもち」

「あらあ、みのさん。お久しぶり」
 スマホを耳にあてたかあさんの楽しげな顔が曇る。
「土葬?……

Note 「地球へむかって歩け」投稿しました

2018-11-09 | 小説
https://note.mu/yamadasayo/n/nd0587d496e84

#小説、#SF、#ショートストーリー
「地球へむかって歩け」
 ナツミはコホンと咳をして唇を濡らした。かすかに香ったコーヒーの香りが、ふっと消える。
 テーブルに頬杖をついて……