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コリオレイナス

2007年02月06日 23時54分00秒 | 観劇

Dsc_4832 さいたま芸術劇場で、唐沢寿明、勝村政信の『コリオレイナス』を観てきました。
彩の国シェークスピア・シリーズと題され演じられているものの、16作品目にあたるものです。
驚いたのは、オープニング。
幕が上がりまず現れるのは、舞台に見入っている観客の姿。
舞台の天井から床までの大きさのハーフミラーが、効果的に使用されているのです。
照明のバランスを変えることにより、舞台と客席の距離を変えているのです。
古代ローマでありながら、オリエンタルテイストな演出が各所に織り込まれています。
唐沢寿明演じる『傲慢』と言われるほどの一途さで突き進む武将ケイオス・マーシアス・コリオレイナス。
男のように気性の強い母親から、武将として高い名誉を得ることを期待されながら育てられた16歳の初陣から功績を残していく。
重なる功績により執政官にまで昇り詰めていく。
しかし、民衆からは彼の『傲慢』さゆえに認められず、追放されてしまい・・・。
対して、勝村政信演じるタラス・オーフィディアスは、重ねた戦いでことごとくコリオレイナスに破れ、コリオレイナスを憎みながらもその存在を認めている一面も持つ男。
コリオレイナスとの戦いに敗れ、プライドを捨て家臣の前でコリオレイナスへの復習を誓う反面、国を追われ復習に燃えるコリオレイナスを受け入れてしまう一面も。
コリオレイナスを支援しながらも、彼の武将としての働きと『傲慢』にも見える一途さに対し、2人の関係には再び距離が。
決裂を決定図づけるのは、コリオレイナスの進軍を思いとどまらせるために訪れた母親の説得にコリオレイナスが非常さを捨てた瞬間。
妻や子供ではなく、母親の存在がこれほどまでに大きいことに、驚きさえ感じます。
純粋な圧倒的な力は、時として民衆の支持を受け、時として脅威としても映るもの。
そこに目的への一途さが加われば、尚のこと。
ラストシーンは判っていても、涙が出てしまいます。
1月末に観た『朧の森に棲む鬼』の市川染五郎演じるライの最期のシーンが、不思議と頭に浮かんできました。
この後、松たか子がジャンヌダルクを演じる『ひばり』を観る予定です。
この作品も、コリオレイナス同様に蜷川演出によるもの。
どんなジャンヌダルクが現れるのか、楽しみです。