山屋敷山荘日記

23年落ちで購入した中古ログハウス(山屋敷山荘)
の四季、山行記録、蝶や花の観察記録を紹介していきます。

津軽でも毛虫が大発生

2014-07-02 23:36:51 | 虫日記
6月最後の週末は、キタアカシジミを観察するため津軽半島まで出掛けることにした。昨年は時期が遅すぎたため擦れた個体しか見られなかったので6月中に行ってみることにした。

 東北道を北上するとともに曇天だった空が少しずつ明るくなり始め、青森県に入るころにはすっかり晴れて夏らしくなっていた。
 現地に着いて、海岸沿いの背丈の低いカシワ林に向かって歩き出すと、目につくすべてのカシワの枝は枯れたようになって全く緑がない。何かの幼虫に食べつくされた後である。最初はキタアカシジミの大発生でカシワが食べ尽くされたと思ったが、すぐにそうではないことが分かった。何の種類か分からないが今年も大量の毛虫スタイルのガの幼虫があちこちに群がっている。信州や妙高と同じであるが、ここが最も酷いかもしれない。
 途中、やや背丈のあるカシワ林を通過した際にはちらちら林間を飛ぶ赤っぽい蝶らしきものが飛んでいたので採って調べてみると実はすべてガであった。これは成虫のサイズからしてもすべてを食べ尽くしている毛虫が成虫になったものではない。
 さらに海岸に近づいてカシワ林の背丈が低くなると、道路近辺は全く緑がない。見渡す限りガの幼虫に食べ尽くされている。当然だが枝をたたいてもキタアカシジミは出てこない。枝をたたくだけでも毛虫がついて気持ちが悪い。確かに本来の活動時間にはまだ時間帯は早いが、たたけば出てくる筈なので確かに発生数が極端に少ないのだ。
 同行のH氏が漸く捕まえたキタアカシジミは恐ろしく小型であった。ヒメシジミくらいである。毛虫の大発生で如何に餌がなくなったかを想像させるほどの前代未聞のサイズである。確かに昨年も毛虫はいたが、これほどではなく、カシワの葉っぱの葉脈くらいは残っていた。しかし、今年はほとんど枯れた状態である。これではハヤシもウラジロも今後ろくに発生してこないだろう。




ほとんど枯れた状態のカシワの枝先。既に毛虫もいない。




見渡す限り褐色のカシワ林がひろがる。すべて毛虫にやられている。



残ったカシワの葉っぱにとりつく問題の毛虫。褐色のタイプもあるようだがガの種類は分からない。


このままでは写真どころではないので、まずはきちんと成虫の見られる場所を探さなくてはいけない。車で移動しながらカシワ林を探すがポツポツカシワはあるのだが、林を形成するほどのポイントは少ない。あるいはあったとしても相変わらず毛虫が集っている状態である。
 漸く何カ所目かで比較的毛虫が少ないポイントを発見してそこでたたき出しをやってみる。今度はちゃんと飛び出した。まだお昼前なので本来の活動時間の前だからやはりたたき出す以外はない。このポイントは樹の高さが最初のポイントに比べるとかなり高いので、採集はできても写真は難しい。
 そうこうしているうちにどんどん気温が上がって恐らく30度くらいまでに達している。この暑さは人間も参るが蝶も参っている筈だ。飛び出してもすぐ止まる。笹の葉の上に止まった個体が発見したので、ストロボをとりに車に戻り、先ほどの場所を探すともう1頭別の個体が止まっている。いずれもメスである。少なくとも時期的に早すぎることはない。どうやら、やはりこの暑さと時間帯の関係で、キタアカシジミも下草に降りて涼んでいるようである。




これは最初見つけた笹の上に止まったメス。サイズからみるとここでは餌不足はなさそうである。




その後、近くのカシワ林の林床に生えている下草の上を探してみると、葉っぱの上にちょこんと止まっている個体をいくつか発見。試行錯誤で分かったが、ある程度のカシワ林の間に空間がないと下草にも止まっていないようだ。



斑に光が差し込む状態で下草の上に止まっている。



鮮度もまずまずである。時期的には数日前が最盛か?

風の噂では西目屋村のアカシジミの大発生も数年続いていたが、今年はついに下火になって来たらしい。大発生もいずれは元に戻ると言うことである。とにかくどこに行っても毛虫の大発生は本当にこまったものだが、いずれはアカシジミの様に自然に元に戻ると言うことなのだろう。また数年後に訪れれば多くキタアカシジミの飛翔が観察できるようになるだろうと期待して、帰路についた。それにしても、これほどの毛虫の大発生は何かの原因があるはずで、それがなんだか分からないのが不安と言えば不安である。

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