読書備忘録

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麻生幾著「エスピオナージ 」

2009-09-30 | あ行
エスピオナージ =espionage諜報活動(仏語)スパイ。スパイ活動。スパイ組織 「諜報」の意味。背(はい)乗り=日本人に成りすますこと。
ロシア諜報機関の東京での諜報活動を摘発する警視庁公安部外事第1課第4係の、所謂「スパイハンター」の活躍を描いている。
ソ連崩壊に伴いスパイ組織KGBも消滅したが、その使命は後身であるSVRに引き継がれて今も日本に向けられている。
この第1課第4担当を率いる水越紀之警部は自らも潜入捜査の経験もあり、ロシアの諜報活動を阻止するための捜査に全身全霊を捧げていた。
ある日、水越は二年間追い続けたSVR機関員デミドフの検拳に成功する。
束の間の勝利に浸る水越だったが、その検拳は何年にもわたって外務省幹部に諜報接触を試みていた大物工作員“渡り鳥”につながる端緒を失うという間違いであることに気付く。
大失態を取り戻すべく懸命の捜査を行う水越たちがやっと掴んだ手がかりは、それはどう見ても普通の主婦にしか思えない小野寺美津江という女の存在だった。
だが美津江、そしてその夫である小野寺敦史の捜査は困難を極めたが、捜査を進めるうちに他人を騙る背乗りではないかという疑問を持つに至る。
現実の事件を元に、秘められてきた警察の“裏”捜査を描いたリアル諜報ミステリー。
国益に繋がる企業秘密や国家機密が流出しないように水際で活躍する外事警察の地道な取組みが、手に汗握るドラマとして描かれいる。
一般の我々が知りえない捜査の手口など面白く意外な展開が続き、後半韓国情報筋やCIAが登場してくるなど攻防戦に引き付けられた。
難点は、段落なく場面が飛ぶことと主人公含め登場人物像が書き込み不足、謎が最後まで全て明らかになるわけでなく後味が悪い。
ヒロインが不在で紅一点、女性の松浦七海巡査部長の存在をもっと膨らませてもらえたら好かったのにと思った。
2007年8月 幻冬舎刊

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