マーサの昔話

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旧O病院の何か妖怪

2009年07月24日 | Un fenómeno sobrenatural
            

 旧O病院は1929~1934年に建てられたのです。
 この病院は戦前からの建物でしたので、今にもB29が攻めてきそうな雰囲気があり
実際、戦時中は防空壕としても使われていた地下通路があったようです。

 タイムスリップしたような不思議な雰囲気を味わえる病院は、当時日本中どこを
捜してもなかっただろうと思います。この建物の強烈な印象、オドロオドロしい・・・
怖い雰囲気のある病院でした。近所の病院の方がずっと近代的でした。

 この病院に、私は25歳の頃、扁桃腺手術で入院しました。外来でも古いなあと
思っていましたけど、8人部屋に案内された時は、まるで戦争映画を思い出した
ものです。当時、ナースの制服も古いデザインで、ベッドも古いし、思わず
一体、このベッドで何十人、亡くなったんだろう って雰囲気のあるベッドなんです。
 しかも、ベッドの位置が高いものだから、ガードがあっても安心できない。
 落下したら、死ぬかもって思うほどだ。

 扁桃腺の手術も今からすると、超原始的に感じました。その頃は、それが一般的な
方法だったので、諦めるしかなかったのですが、手術の前に口の中にスプレー式の
麻酔を2回ほどして、歩いて手術室へ行く。先生とナースの二人だけです。
 両手でホーロー製の丸い洗面器の様なものを顎の下に受けるのです。

 それで口を開けて先生が扁桃腺を取るのですが、私的にはメスで切られた感じが
なくて、引っこ抜かれたイメージをもっています。しかも、ほとんど、麻酔は
効いていない。。。洗面器を持ったまま、顔が、引っ張られた状態?時間にして
2,3分かな、ポコッと片方が取れたようだ。目隠ししているので、血は見えないが
味と臭いで解る。かなりの出血だ。手術前、先生に「手術の時、どれ位、血が
出ますか?」と聞くと「少量ではないが、万が一大量出血しても、輸血するから
大丈夫ですよ。」なんて言われても、不安は拭えなかったが。。。

 案の定、具合が悪くなり、「先生、気分が悪いので少し横になりたいです。」
ナースが血圧をはかり「血圧が下がっています。」先生は「少し休みましょう。」
と、、、でも未だもう一つ残っているので、早く終わらせる為に、頑張って起き
「先生、もう大丈夫ですから、もう一つ、取って下さい。」「大丈夫?じゃあ
もうひと頑張りだ。」「お願いします。」・・・ポコッと残りの一つも取れて
止血剤を塗って、部屋へ戻る。ナースが、首に氷嚢を巻いてくれた。

 点滴をしたまま、後は寝るだけ。 朝、手術してずっと寝たままだった。私の
部屋は、耳鼻科病棟で、半分以上が扁桃腺手術で、皆ひたすら眠っていた。
 夜、夕食が配膳されるが、食べれるわけがない。こんな情けない夜は初めてだった。
 血の混じったつばを何回も痰壷に吐き、イソジンで口の洗浄を繰り返す。夕方から
熱が出てきて、自分で歩いて詰め所まで行き、宿直のナースに「氷を下さ~い。」

 詰め所から病棟まで5分位あり、その通路が薄暗くてお化け屋敷のようだった。
 染みだらけのコンクリートの長~い廊下、しかも照明がほとんどないのだ。
 ナースコールは、緊急時だけと念をおされているので、氷の交換は自分で行くのです。
 熱が下がらないので、真夜中に、何度も何度も、詰め所に通いました。
 寝るにも痛くて、寝れないのです。どれだけ、涙で枕を濡らしたことか。

 夜中の3時頃、何回目かの氷をもらいに詰め所に行くと、顔中包帯を巻いた患者
さんが待っていたので、私は、その後ろにうなりながら、並んで待っていました。
 宿直のナースが、「まだ、熱下がらないの?」と、でも前の人は返事もせずに
そのまま、あの暗い廊下へ戻って行った。ナースは、私に「あなた、耳大丈夫?」
「耳は、いいですよ。熱が下がらないので、氷お願いします。」「だから、今
未だ、熱下がらないの?って聞きましたけど。」「あっ、私の前の人に言ってるのかと
思っていたので、すいません。」「前の人って・・・あなたしか、いないよ。」

「エッ!」絶句・・・もう、言い返す気力も恐怖もなし、氷をもらって暗い廊下を
歩いて病棟に戻る。ベッドにあがり、横になり、結局、一晩中熱が引かなかった。
 朝方、ナースが見回りに来て、「どう痛む?」「痛いし、熱は引かないし・・」
 「じゃあ、座薬入れるわね。」 「ええ~、薬あったんですか?」
もっと、早く出せよ。昨日から、何回も痛い、熱があると繰り返し言っているのに・・・

 その明くる日の夜は、お隣の部屋から聞こえてくる患者の激しい咳で眠れないし
いびきもうるさいし、ナースに睡眠薬をもらおうと、理由を言ったのです。
 「あなた、耳は確かかな?」 又、あのナースと同じ事を言っている。
 「隣は開き部屋、今は、誰も入っていないわ。」私の隣の高校生も「えっ本当に
私も、毎晩、壁から話し声が聞こえてくるので、うるさいなあと思っていたんです。
 という事は、ゴースト?」ナースはニコニコ笑いながら「妖怪でしょう。」・・・

 ※現O病院は2003年に新築されました。
          
       
 



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