day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

笑顔の最終戦

2004-09-27 | Flash Back~bb2004
バファローズファンにとって、忘れられない伝説の日というのはやはりかの「10・19」だと思う。
でもそれは私がバファローズファンになる前の、歴史上の出来事だった。
私にとって一番忘れられない思い出の日は、「9・26」だ。
3年前のその日、あの代打逆転満塁サヨナラ優勝ホームランをこの目に焼き付けた。
それから「9・24」……3日前の大阪ドームの最終戦。

そして今日「9・27」、大阪近鉄バファローズはその55年の歴史の幕を引く。

18時、試合開始時刻がうちの会社の定時終業時間である。
赤シャツで会社に行った私は18時になると同時に更衣室に飛び込み、会社を飛び出した。
合併問題では色々意地悪を言ってくれてた阪神ファンの専務も「はよ行け、走って行け!」と送り出してくれた。
京橋から環状線に乗って梅田で阪急に乗り換え三ノ宮へ。そして地下鉄の駅へ駆け込む。今日は涼しい日だったけど、駅の合間で走ったものだからもう汗だく。
18:15の環状線に乗って、総合運動公園に到着したのがちょうど19:30ごろだった。

先発の岩隈は2点取られて松坂との防御率争いに敗れた形でもう降板していた。
鷹野の先制と北川の同点ホームランも見れなかった。
礒部が交代して今日何故かスタベンだった大村が3番に入り、なんだか妙な打順になっていた。
阿部健太は同点になるまで無失点で粘ったけどその後4点取られていた。もう6-2になっていて着いたとたんもう1点とられた。
5回が終わったところで花火が上がる。
前回ここまで来たのに台風の影響で中止になった日も、花火ナイトだった。最後に見れてほんとよかった。
レフトの外で上がっていたので私たちからはとても近くて、ほんとの頭上に広がる美しくて儚いその光をなんだかとても穏やかな気持ちで眺めていた。
藤崎、朝井、宮本と今年一軍での登板チャンスが殆どなかった若手投手陣があとを繋ぐ。
一方ブルーウェーブはもと近鉄の吉井、かつて日本シリーズでオマリーと12分10秒の行き詰る対決を見せた小林、そして球速日本記録を狙う山口(折角だから記録出してくれればよかったのにね)…と共に豪華?リレーが続く。
選手たちはなんだか楽しそうに野球をしていた。守備に入る前に外野手とキャッチボールしている相手は岩隈だったり的山だったりしてそれも遠目にもとても楽しそうに見えた。

バファローズとブルーウェーブの試合はいつも、嫌になるほど長い。
4時間当たり前と思えるほど日常茶飯事に長い。
けれど今日に限って試合展開は異様に速かった。19:40頃に球場に入った私は、ほぼ1時間程しか試合を見ることは出来なかったのだ。8回表ごろに誰かが言った。
「おかしい、このカードの試合がこんなに早く終わるわけない。この後絶対モツレて結局4時間近くなるに決まってる」
私もそう願っていた。
あちゅが車で来ていたので帰りの心配はない。だから遅れてきた私にもゆっくりこの最後の試合を見物させてよ。
でも、多分今期最短ペースで試合は終了した。

あ~あ、終わっちゃったねぇ…

そんな声があちこちで聞こえる。
ヒーローインタビューのあと、最終戦セレモニーをやる旨のアナウンスが流れたのだが、意表をついて流れてきたのはバファローズのラッキーセブン曲、「ドリーム&パワー」だった。沸き立つレフトスタンド。
バファローズの選手たちが、レフトに向かって歩いてきてくれた。
即席で作ってきた「ありがとうバファローズ 猛牛魂忘れない!」というダンマク(紙だけど)を広げて目一杯手をふる。
「ありがとうー!」
と叫んだら、この日初めて少しだけ涙がこみ上げた。
そして、梨田監督の胴上げ。吉井や大島やユウキ、かつてバファローズに在籍していた選手たちがその輪に加わる。ずっとグラウンド内外で戦い続けた礒部も胴上げ。
伊原監督も宙に舞った。「伊原は落としてもええで~」と楽しげなヤジがこちら側から飛ぶ。周辺を見回すと、9/24に比べて皆笑顔だった。
ブルーウェーブの選手たちの場内一周ボール投げ入れの時は、彼らはレフト側から回ってくれた。吉井コールや大島コールが起こっている。やがて一周を済ませたあと、三人の選手がこちらへ走ってきた。
吉井と、大島と、ユウキが歓声を浴びてこちらに手を振り、吉井とユウキは被っていたブルーウェーブの帽子をレフトスタンドへと投げ入れた。
あとで知ったことだがこの時の吉井の帽子には「BW」のマークの横に手書きで猛牛マークが書かれていたという。

セレモニーが終わった後は、先着で何名だかにグラウンドに下りて選手と記念撮影が出来るというイベントを続けていた。
バファローズのファンたちは場外へ出て、二次会。。9/24は深夜1時までやっていたそうだが、今日は終了時間が早かったのもあって10時半くらいには解散になったのかなぁ…。
あちゅの乗ってきた車にいろはあまねさん、ドーム仲間のM川君をのっけて大阪へと帰る。おなかが空いてたので2人を下ろしたあとロイホでごはん。この時も赤シャツにビジユニを誇らしげに着たまま店へ堂々入っていきました。
「涙の最終戦」というアカラサマなタイトルをつけた関西テレビの中継録画が1:30から始まったのだけど、流石に途中で寝てしまった。「涙の」と言うよりは………「笑顔の」最終戦だったかも、なんて思う。
映像で見ても、皆楽しそうだった。
本当に皆、野球が好きなんだなっていい顔をしてた。
これで本当に最後なんだけど………今まで心にこの問題を抱えながら試合を続けてきた選手たちにとっては、このチームで何も考えずに野球が出来る、その幸せを噛み締めているように見えた。
本当に、悲しくやりきれない一年で、最悪の結末を迎えてしまったけれど。

それでも、最後に笑顔で野球を楽しんでる姿を見せてくれてありがとう。
涙じゃなく、笑顔で終われたことが、せめてもの救いとなりました。

「バファローズというチームは無くなりますが、僕たちの近鉄に対する愛着や誇りは絶対に消えません」(礒部)

同じ言葉を、私から選手の皆さんへ贈りたいと思います。
たった55分の7年。でもこのチームを愛することが出来て幸せでした。
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6 Comments

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トラックバックありがとうございます (ackie)
2004-10-03 01:09:39
臨場感たっぷりの詳細な最終戦レポートですね

まるで一緒に行ったような錯覚に陥りそうです

最終戦行けたとはうらやましい限りです・・・



ドリーム&パワーは大好きだったから今後歌えなくなるのが寂しいです

まぁ最後がみんな笑顔だったのならとりあえずよかったのかな・・・・



ところで

> sinus_dbd

あれ?ひょ・・・ひょっとして?

き、気づくのが遅れました(笑)
返信する
はっ (さいん)
2004-10-03 23:11:53
そうか、入っただけじゃSINUSとかさいんとか

わかりませんねコレ(笑)失礼しました。



ほんとは会社早退して行きたかったんですけど

(専務も雨が止んだ時点で「行け行け」と言ってくれてたんですが仕事が片付かず…)

いつものペースで4時間ゲームだったらもっとたっぷり見れたのに残念です(笑)



あとで中継録画見たら、ノリとか北川とか笑いながら打ってましたからね~。

東西対抗か?と思うくらい楽しそうでした。

もちろん泣いてる人もいっぱいいたし、

こみあげるものはあったんだけど、

ドーム最終戦を見たあとだとやっぱり

「後夜祭」みたいな感じでした。

選手も「ドームで終わった」感覚の人が多かったかもしれませんね。

青波の選手は本拠地最終戦だったからまた感慨も違うでしょうけど。



来年、このチームの選手たちが別のユニフォームを

着てプレーしているのを見た時初めて

本当の実感がやってくるんだろうなぁと思います。

返信する
追記 (さいん)
2004-10-05 23:01:22
「涙の最終戦」をDVDに落とすべく編集してたら

やっぱり泣いてしまいました…



現場では笑っていられたのになぁ(苦笑)
返信する
あらあら・・・ (ackie)
2004-10-05 23:12:53
なんか酔っぱらって料理してて

指切ってもあまり痛みを感じないのに似てますね(全然違)



やっぱりこういうのっていうのはそういうもんなんでしょうね

大事な物を失った瞬間は心の準備ができてない分

事実として受け入れられないのでしょう

ちなみに私はやっぱりまだ諦められません(笑)



野球的社会復帰には時間がかかりそうやなぁ・・・
返信する
TBありがとうございました (bu_aaron)
2004-10-11 14:26:16
はじめましてTBどうもでした。

この最終戦も録画でみましたがレフトスタンドの様子が

よくわかるエントリですね。



学生の頃、近鉄百貨店吉祥寺でバイトして野茂を応援し野球に

10数年ぶりに復帰した今シーズンにこんなことになるとは

予想しなかった結末でした。



好きになったチームが近鉄で本当に良かったと思っています。
返信する
コメントありがとうございます (さいん)
2004-10-11 23:07:30
今シーズンからだったのですね…

行くぞ~!って盛り上がってるとこで

嫌なことばかりのシーズンでお気の毒でした



私はまだ優勝決定試合とか

いろんないい思いもさせてもらったので

暫くは思い出でも食べて生きていくかと(苦笑)



どんなアホな負け方をしても

またアホな勝ち方で楽しませてくれる

単純で豪快で楽しい思いをたっぷりさせてくれるチームでした。

「大阪近鉄バファローズのファン」であることは

これからもずっと私の誇りです。
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