原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

現役生の方へ~こんな人は受からない

2011-07-06 | 勉強法全般
明日,公判期日がありまして,今日はその準備。接見に行って,被告人質問の最終打ち合わせがメインでした。「弁護人からはこういうことを聴きますよ」「検察官からはこんなことが聴かれると思いますよ」「それについてはこんなふうに答えましょう」と言った調子。接見室が暑いこと暑いこと。冷房入れてくれないもんかなぁ。

で,夜は同じ班の修習生とビアガーデンの予定だったのですが,雨天中止(涙)南九州はとんでもない豪雨のようで(お住まいの方,大丈夫でしょうか?),それほどではないにせよ,広島も結構降っています。ビアガーデンが流れたので,ゆっくりブログを。

さて,LS既卒の方(短答に通過した方,短答で涙をのんだ方,受け控えた方)に向けてはすでに書いたので,今日は現役のLS3年生の方へ。表題の通り。去年も似たようなことを書いたのですが,そこには書かなかったこと,現役生プロパーのことを徒然に列挙していきます。

(1)「何とか2000番以内に入れればいいな」と考えている人

目標以上の成果は出ないものです。金メダルを狙うからメダルが取れる,メダルを狙うから8位入賞ができる,そういうものです。2000番を狙って行ったら,3000番の実力を付けるのがやっと,という状況になります(なりやすいものです)。1000番以内の合格を目指して,模試や答練のスコアも常にそこを狙って勉強を進めていかなくては一発合格はないと考えるべきです。

(2)「1回目は受からなくても仕方ないか」と考えている人

上と同じ理屈です。一発で受かろうとするから遅くとも3回以内に受かるのです。「1回目は…」という思考を持っていると,3回やっても受からない可能性が高まってしまいます。

(3)LSの成績から安心してしまう人,悲観してしまう人

例えば,1学年100名が在籍し,前年の試験では30名の現役生が合格しているLSがあるとします。で,自分はそのLSで20番くらいの成績である。「だから大丈夫だ」と楽観してしまうのは危険です。前にも書いたことがありますが,LSの成績と司法試験の合否については,超上位と超下位は相関しやすいですが,それ以外の上位者・中位者・下位者はあまり相関しないように思います。平常点を含むかなどの判断方法も違えば,判断の視点も違いますので,LSの成績順に司法試験の合否が決まるということはないのです。安心していると足をすくわれますし,反対に,ダメだと決めつけていては,受かるものも受かりません。

(4)演習(アウトプット)をしない人,過去問の分析をしない人

アウトプットするまで時間がないのもよくわかるのですが,通常,インプットだけでできるようにはなりません。LS生に最も欠けるのはアウトプットであるとはよく言われるところですので,これは多言を要しないかと思います。現役生こそ,早い時期から答練に行くべきです。それから,過去問と合格答案の分析をしなくては,合格には何がどこまで必要なのかが見えてきません。時間がないからここらへんがおろそかになってしまう人も多いかもしれませんが,早い時期からアウトプット・過去問分析をしないと合格率はぐっと低くなります。

(5)LS生から受験生に脱皮ができない人

学術論文を読み込むこと,また,司法制度・司法政策について見識を深めることは重要です。ただ,対司法試験という意味では…。「あくまでも対司法試験という視点」からの話ですが,試験ではまぁ聞かれない高度な議論をする論文を読んでいる時間,必要以上に非司法試験科目の勉強をしている間は,勉強しないことと同じであります。その時間,全国の受験生の中には着々と来年5月の必勝を期して勉強している人がいるのです。注:LSで勉強することを批判する趣旨ではありませんので誤解なきよう。

(6)周りの友人のペースに合わせる人,周りの友人が気になる人

夕方,LSの自習室で調子よく勉強していると食事に誘われた。もう少し勉強したいが,食事に行った。帰ってきたら,どうも勉強に集中できず,その日は自習室を後にした。あるいは,周りがゼミをやろうと言うから自分も参加することになったが,非常に時間対効果の悪いゼミであった。脱退したいが,人間関係上の問題もあるので脱退を言い出せない。こういうタイプの人は合格しません。そういう無駄な時間の使い方をしても受かるほど司法試験は甘くありません。成績評価は,言わずもがなですが,当該受験生個人の評価です。

(7)司法試験は厳しく過酷なものであることが理解できていない人

現役生のうちは,「まさか自分が三振するわけない」「一発で受かるだろう」と思っている人が多いのではないかと思います。しかし,ほとんどの受験生が人生賭けて勝負をする司法試験,それも合格率20%(対出願者では10%台)でありながら3回以内に合格せねばならない,というのは,相当に厳しく過酷なものです。打率2割の打者が,第3打席までにヒットを打たなくてはいけないわけです。「これくらいで受かるだろう」で受かるものではありません。まずは,ここを理解する必要があります。先輩は,そんなに勉強せず飄々と受かっていったように見えるものです。しかし,実際は相当に必死に勉強している場合がほとんどです。合格すると辛い経験は忘れやすいもので,合格者は「受験期間中は死にそうなほど勉強した」とは言わないものです。「普通にやったら受かったよ」という言葉を真に受けないことが重要です。

相当,厳しい内容かなとも思いますが,このあたりを重々承知している人が,確実に一発で受かっていくのだと思います。

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