on a morning
I vaguely want to die,
I grow cautious
On account of the augury
‘beware of bananas’
なんとなく死にたい朝に占ひの「バナナに注意」で慎重になる 宮崎大治『月林船団』
この歌は、海外でも共感されていた。観衆は笑いながら深く頷いていたのだが、こういう感慨は国をとわず共通のものであるようだ。
作者は占いが好きなのか、よくタロットカードを持ち歩いていた。そんなものがあたるのかどうか疑わしいとは思えたが、一度、彼に占ってもらった事がある。なにを占ってもらったのか覚えていないが、奇妙なカードの絵柄が印象的だった。
それにしても、「バナナに注意」とは、またどんな占いなのか。バナナで滑って転んだら死ぬのだろうか。作者は「なんとなく死にたい」という感じの歌をよく詠んでいた。彼は、自らを妖怪と称し、お墓で運動会をしたいと語っていたこともある。最近姿を見ないので皆とても心配している。非常に優れた才能を感じさせる人である。
執筆者略歴
田中教子(たなか・のりこ)、1967年生、「アララギ派」所属、現代歌人協会会員、日本歌人クラブ会員。
2008年第3回中城ふみ子賞受賞。英文対訳歌集『乳房雲』(短歌研究社 2010年)、随論集『ことのはしらべ』(文芸社 2012年)
I vaguely want to die,
I grow cautious
On account of the augury
‘beware of bananas’
Daichi Miyazaki(translation by Amelia Fielden)
なんとなく死にたい朝に占ひの「バナナに注意」で慎重になる 宮崎大治『月林船団』
この歌は、海外でも共感されていた。観衆は笑いながら深く頷いていたのだが、こういう感慨は国をとわず共通のものであるようだ。
作者は占いが好きなのか、よくタロットカードを持ち歩いていた。そんなものがあたるのかどうか疑わしいとは思えたが、一度、彼に占ってもらった事がある。なにを占ってもらったのか覚えていないが、奇妙なカードの絵柄が印象的だった。
それにしても、「バナナに注意」とは、またどんな占いなのか。バナナで滑って転んだら死ぬのだろうか。作者は「なんとなく死にたい」という感じの歌をよく詠んでいた。彼は、自らを妖怪と称し、お墓で運動会をしたいと語っていたこともある。最近姿を見ないので皆とても心配している。非常に優れた才能を感じさせる人である。
執筆者略歴
田中教子(たなか・のりこ)、1967年生、「アララギ派」所属、現代歌人協会会員、日本歌人クラブ会員。
2008年第3回中城ふみ子賞受賞。英文対訳歌集『乳房雲』(短歌研究社 2010年)、随論集『ことのはしらべ』(文芸社 2012年)