■漱石忌ネット句会■

フェイスブック等の交流会
インターネット俳句コンテスト協会(会長 高橋信之)

第4回「漱石忌ネット句会」開催御礼について

2017-12-10 23:16:11 | 俳句

4回「漱石忌ネット句会」開催御礼について

この度、夏目漱石を偲び、その功績を讃える「漱石ネット句会」を催したいと思い、12月1日(金)にお呼び掛けをしたところ、投句は9日(土)、選句終了は10日(日)という、わずか一週間あまりにも関わらず、参加は35名を数え、一人3句の105句のご投稿があり、日本はもとより外国の方々にご参加していただきました。まさにオンライン時代の句会ということになりました。「座の文学」という俳句の特性である題詠「漱石忌」に賛同して集まり、取り組む点では地上の句会と少しも変わりがありませんでした。
 ここに、多くの方の参加を得て、選句の迷うほどの優れた作品をご投稿していただいたことに深く感謝を申し上げます。皆様のご理解とご協力なくしては成り立たなかったことは言うに及びません。
 また、お忙しい中に選句と選評をお引き受けいただいた各選者の方々には誠に恐縮の念を抱かざるを得ません。懇切丁寧な選と選評は宝となりました。
 さらには、事務の一切を取り仕切られた「インターネット俳句コンテスト協会」の方々、特に高橋信之様には大変お世話になりました。綿密な計画と緻密な作業に当たられ、成功に導いていただきました。
 最後に、私の急な提案に同意し、実行委員になっていただいた方々にはお礼の申し上げようもありません。滞りなく終えることができたのには実行委員の皆様のおかげです。
 「漱石忌ネット句会」は今回の成功と反省点を踏まえ、来年度も行う気持ちでいます。その節は今回と同様に、ご参加とご投稿をお願い申し上げます。
 
                  第4回「漱石忌ネット句会」実行委員長 永田満徳
                              平成29年10()


入賞発表/第4回漱石忌ネット句会

2017-12-10 21:52:58 | 俳句

■第4回漱石忌ネット句会■
■入賞発表/2017年12月10■

【金賞】
70.明け始む窓に粉雪漱石忌/藤田洋子
明け始めた窓を見ると、粉雪がかかっている。体の芯が冷えてくるこのような日に漱石は天に召されたのかと思う。漱石忌を自分に沿ってリアルに捉えようとした。(高橋正子)

【銀賞】
76.冬晴れの光の中の漱石全集/柳原美知子
今持って、人気の衰えぬ漱石先生。昨日は日本列島は寒い一日でした。雲の切れ間から見えた光に、漱石忌とふと感じた。 (亰子)

【銅賞/2句】
41.三津浜の醤油匂いし漱石忌/吉田春代
四国松山の三津浜には、母方の祖父の弟が住んでいて、愛媛大学に通っていた頃の私は、三津浜の隣の高浜で母と暮らしていたので、三津浜の醤油の匂いが懐かしい。(高橋信之)

59.濁り少し明治の玻璃戸漱石忌/歌代美遥
漱石の小説には、明治の市民生活が描かれているので、それが懐かしく思われ、いまだに読み継がれている。(高橋信之)

◆選者特選◆

【木暮陶句郎特選5句】
45.ポケットに青空文庫漱石忌/緒方順一
著作権のすでに切れている著書を電子書籍として一般に公開している青空文庫。スマホで手軽に名作を読むことができる。漱石の生きた時代とは隔の感のある一句として大いに評価したい。(木暮陶句郎)

27.倫敦の軋む廊下や漱石忌/江口秋子
77.漱石忌法事へ向かう予讃線/柳原美知子
61.月を見て月を言はざる漱石忌/辻村麻乃
69.俳句漢詩小説頭脳漱石忌/佐藤綉綉

【五島高資特選5句】
07.暗渠めくテムズの流れ漱石忌/隣安
漱石はイギリス留学中に精神を病んだという。漱石の無意識的な精神病理には、ビクトリア朝末期における資本主義の退廃という歴史的な暗い流れも影響していたのだろう。それは眼前のテムズ川とも重なり合って「暗渠めく」所以でもある。(五島高資)

01.山越えの蜜柑のたわみ漱石忌/向瀬美音
13.ピロリ箘どうしますかと漱石忌/古閑寛昭
17.正直に生きるとふ闇漱石忌/中村暢夫
55.我が欠伸猫にうつるや漱石忌/石井真波

【松野苑子特選5句】
55.我が欠伸猫にうつるや漱石忌/石井真波
楽しい句です。猫に自分の欠伸がうつるなんて、ゆったりした良い時間ですね。(松野苑子)

07.暗渠めくテムズの流れ漱石忌/隣安
36.日にゆがむ絵ガラスの窓漱石忌/亰子
38.野良猫に名前をつけて漱石忌/柳 風流
47.最後まで使ふ鉛筆漱石忌/すずき千恵

【辻村麻乃特選5句】
60.丁寧語で妻と諍ひ漱石忌/歌代美遥
明治時代の育ちの良い人は家庭内でも言葉が丁寧だった事は各文献から彷彿とさせられる。漱石の妻の鏡子は慣れない結婚生活にヒステリーを起こすことが多かったと云う。だが、元来明るい鏡子は夫の漱石にもきちんと対峙し言い返すことで挙句のような諍いもあったであろう。また連用形で軽く切れていることで、二物のような趣きもある句で、丁寧語で喧嘩をすると云う景は、橋田壽賀子のドラマも思い出させる。そんな面白さと、漱石の家庭の双方を感じさせる秀句である。(辻村麻乃)

09.漱石忌の寄席をはみ出す江戸言葉/隣安
83.爪立てて蒟蒻ちぎる漱石忌/山野邉茂
92.箸置を汚すことなし漱石忌/永田満徳
95.足元に雀の転ぶ漱石忌/高橋正子

【永田満徳)特選5句】
60.丁寧語で妻と諍ひ漱石忌/歌代美遥
漱石が恐妻家であったか、愛妻家であったかの論議は喧しいが、言い争う時に「丁寧語」を使う作者はさしずめ恐妻家であり、愛妻家であろう。掲句は色々と想像させるところが面白い。 (永田満徳)

09.漱石忌の寄席をはみ出す江戸言葉/隣安
22.吟行に交る混る髭面漱石忌/今村征一
62.足元に猫絡みたる漱石忌/辻村麻乃
55.我が欠伸猫にうつるや漱石忌/石井真波

【高橋信之特選5句】
41.三津浜の醤油匂いし漱石忌/吉田春代
四国松山の三津浜には、母方の祖父の弟が住んでいて、愛媛大学に通っていた頃の私は、三津浜の隣の高浜で母と暮らしていたので、三津浜の醤油の匂いが懐かしい。(高橋信之)

76.冬晴れの光の中の漱石全集/柳原美知子
懐かしくそして嬉しくなる。「漱石全集」は、多くの家庭での書棚にあった。中学の国語の教科書にも載せてあった。(高橋信之)

46.水匂ふ夜の窓辺や漱石忌/すずき千恵
写生句であろうと思うが、作者の主情を強く感じた。(高橋信之)

94.漱石忌帽子の青き画学生/高橋正子
東京上野公園での句か。東京生まれで東京育ちの漱石を思う。(高橋信之)

【高橋正子特選5句】
70.明け始む窓に粉雪漱石忌/藤田洋子
明け始めた窓を見ると、粉雪がかかっている。体の芯が冷えてくるこのような日に漱石は天に召されたのかと思う。漱石忌を自分に沿ってリアルに捉えようとした。(高橋正子)

41.三津浜の醤油匂いし漱石忌/吉田春代
三津浜と言えば、漱石が松山中学に赴任するために着いた港。三津浜には確か「ムラヨウ」と言ったと思うが、醤油屋がある。匂いは記憶と結びついて、様々思い出させてくれるものだ。(高橋正子)

59.濁り少し明治の玻璃戸漱石忌/歌代美遥
明治時代の玻璃戸は、いまのガラスと違い、表面が少し歪み、濁りがある。それが明治を忍ばせて、味わいがある。漱石の生きた明治への郷愁を誘う。『硝子戸の中』という小説も思い出す。(高橋正子)

78.朝日へと猫転がり出で漱石忌/柳原美知子
この飼い猫は、朝日が出ればすぐにでも外に出たくてたまらない猫なのだろう。外遊びの好きな子供のような、毬のような猫が元気で可愛い。漱石の猫も愛嬌があったではないか。(高橋正子)

101.街灯りはなやぐ夜の漱石忌/高橋句美子
漱石忌の12月9日は、街はクリスマスシーズンの華やかな灯りであふれている。漱石忌など忘れて街も人も動いている。作者は都心の金融テクノロジーの会社で、文学とは程遠い環境で働いていて、まだ若いが、華やかな灯りに沈んでしまいそうな漱石忌をよく浮き上がらせた。(高橋正子)

【高橋句美子特選5句】
36.日にゆがむ絵ガラスの窓漱石忌/亰子
ガラスを通る柔らかな日差しを眺めながら漱石を慈しむ作者の姿が想像できます。(高橋句美子)

47.最後まで使ふ鉛筆漱石忌/すずき千恵
59.濁り少し明治の玻璃戸漱石忌/歌代美遥
70.明け始む窓に粉雪漱石忌/藤田洋子
78.朝日へと猫転がり出で漱石忌/柳原美知子

【入選17句】
05.すれ違ふ巨匠二人や漱石忌/桑本栄太郎
12.ロボ犬に猫の座譲る漱石忌/北野和良
21.ホトトギス今も続きし漱石忌/茂木ひさを
23.隣家より猫踏んじやつた漱石忌/今村征一
30.漱石忌水湧く肥後の成趣園/大久保俊克 
33.青春のストレイシープ漱石忌/満天星
44.漱石の忌でありにけり猫の留守/緒方順一
49.道草を食ひて悔やまぬ漱石忌/廣田洋一
54.朝倉の水は大河へ漱石忌/原孝之
66.漱石忌薬手帳の余白かな/菊池洋勝
74.漱石忌子らと語らいおやつ食う/高橋秀之
80.ページには何のシミやら漱石忌/ひらいみつる
85.同窓会ハガキに思案漱石忌/祝恵子
89.漱石の再現書斎隙間風/野島正則
97.今日漱石忌書斎に籠り読み書きを/高橋信之
104.野良猫の飼ひ主となり漱石忌/Anikó Papp
107.漱石忌今にしあればくすり多々/河野啓一

【コメント集】

12.ロボ犬に猫の座譲る漱石忌/北野和良
猫の困ったような仕草が見えてきます。忌日だけでなく、これからもその関係が続くのでしょうか。 (祝恵子)

14.赤門に寄り添ふ猫や漱石忌/古閑寛昭
東大英文科卒業の夏目漱石は、英語教師として各地に赴任しました。現代とは違い、明治、大正の時代にあってはかなり畏敬の念で迎えられたものと思われます。その代表的作品の「吾輩は猫である」との主人公の猫に因み、東大の象徴である赤門との取り合わせがアカデミックな雰囲気を良く出している。尚、他の作品も当時にあっては「ハイカラ」な雰囲気のあるものを選んだ。 (桑本栄太郎)

23.隣家より猫踏んじやつた漱石忌/今村征一
隣家の子供が弾いているのか「猫踏んじゃった」のピアノの音が聞こえてくる。折しも漱石忌のこの日。楽し気に弾む音に明るい気持ちになり、ハミングでも出そう。隣近所との何気ない日常に詠者の優しい視線を感じます。(柳原美知子)

30.漱石忌水湧く肥後の成趣園/大久保俊克 
熊本に足跡を残す漱石を偲ぶ。成趣園は水前寺公園の別名である。漱石も何度となく訪れたであろう。(原孝之) 
地震から見事に復興した成趣園を吟行している作者であろう (今村征一)

33. 青春のストレイシープ漱石忌/満天星
青春とはまさに迷い子、漱石の青春も又、迷いの連続であったのではないかと思う。 (茂木ひさを)

35.お宝は初版のこころ漱石忌/亰子
漱石の「こころ」初版本はまさにお宝だ。 (北野和良)

44.漱石の忌でありにけり猫の留守/緒方順一
漱石の忌だろうが、そんなことはお構いなしに猫は出掛けて行く。そんな飄々とした猫を愛している作者。またそれを漱石の猫に投影しているところも好きです。 (江口秋子)

45.ポケットに青空文庫漱石忌/緒方順一
ポケットの中に、いつでも自由に楽しめる青空文庫。文豪漱石の愛読書もあるのでしょう。ポケットの親しさ、あたたかみを感じる漱石忌です。 (藤田洋子)

55.我が欠伸猫にうつるや漱石忌/石井真波
欠伸がうつることによって、人間と猫の距離が縮まりました。猫が人間であり、人間が猫であるような。漱石忌との取り合わせが非常によいです。(緒方順一)

57.夕飯の献立決まらず漱石忌/石井真波
流れるやうに読めること、この取り合はせを粋に感じました。 (佐藤綉綉)

58.白鳥の首のフラスコ漱石忌/歌代美遥
漱石忌の取合わせとして、新しいと思った。どこか突き放したような透明感は、フラスコからだろうか。漱石の少しの硬さと合っている。(すずき千恵)

60.丁寧語で妻と諍ひ漱石忌/歌代美遥
漱石と鏡子夫人との関係を想起させるとともに、一時代前の夫婦関係をうまく表現していて奥深い。(山野邉茂)

63.地球儀をゆつくり回す漱石忌/辻村麻乃
赴任でも旅行でもいいが、友人はいまココにいるんだ、と地球儀を回しながら、いろいろと想像をするのは愉しい。子規もロンドンにいる漱石に思いを馳せたであろうか。 (中村暢夫)

66.漱石忌薬手帳の余白かな/菊池洋勝
漱石は胃潰瘍の持病持だったという。薬手帳の処方薬の余白に漱石のことを偲ばれたのであろう。(満天星)

74.漱石忌子らと語らいおやつ食う/高橋秀之
先程までの遊びの話しなのか、次の遊びのことなのか…。  母親が持たせたおやつを頬張りながら  そんな光景が浮かび微笑ましい。漱石の生きた時代はこのような親子の語らう時間がゆったり流れていたのかと…。(吉田春代)

76.冬晴の光の中の漱石全集/柳原美知子  
今持って、人気の衰えぬ漱石先生。昨日は日本列島は寒い一日でした。雲の切れ間から見えた光に、漱石忌とふと感じた。 (亰)

78.朝日へと猫転がり出で漱石忌/柳原美知子
冬晴れの気持ちのいい朝に元気のいい猫の様子が見えてくるようです。漱石忌の朝であるがゆえに、より一層猫の様子が引き立ちます。(高橋秀之)

83.爪立てて蒟蒻ちぎる漱石忌/山野邉茂
激動の時代に新しい文学を立ち上げた漱石の生涯を、台所の下拵え作業に見出したのが新鮮。 (隣安)

92.箸置を汚すことなし漱石忌/永田満徳
普段から使い慣れた箸置きが汚れてないのだから箸には手をつけていないのだろう。作者の十二月九日の日記を読むように鑑賞させて頂いた。(菊池洋勝)
几帳面さが伝わって来ます。(古閑寛昭)

101.街灯りはなやぐ夜の漱石忌/高橋句美子
華やかさとは無縁の漱石ですが、漱石忌の夜は灯りが華やぐとした対比が上手い。 (廣田洋一)
漱石忌の12月9日は、近年では街はクリスマス商戦で賑わっている。季感があると感じました。(野島正則)

18.わがハイはニコで叱らる漱石忌/中村暢夫
【わがハイは二コで叱らる】という基底部の言葉続きは、ユーモラスもあり、読者を色々と考えさせると思います。平仮名と片仮名で書かれている「わがハイ」の意味は色々です。「吾輩は叱らる」の意味は、「私は叱らる」であり、「我俳は叱らる」の意味は、【私の俳句は叱らる」です。片仮名で書かれている「二コで叱らる」の意味も色々です。「ニコニコと叱らる」なら、「笑顔で叱らる」であり、「二コ」は【ニコチン」の意味なら、「煙草を吸って、叱らる」という意味になります。ですから、面白い俳句ですね
(Anikó Papp)

104.野良猫の飼ひ主となり漱石忌/Anikó Papp
漱石の我が輩は猫である、の小説が漱石を有名にした事を思えば、猫に対する想いの深さと、野良猫が人に懐くまでの時間の経過に含む、主と野良猫の情愛が、漱石忌の季語に、ぴったりと言い合えている。(歌代美遥)

■選句/第4回漱石忌ネット句会■

2017-12-07 11:46:46 | 俳句

■第4回漱石忌ネット句会
■清記(投句一覧表)/35名105句
2017年12月10日

※互選を開始してください。

01.山越えの蜜柑のたわみ漱石忌
02.故郷は阿蘇の麓や漱石忌
03.はじまりは那古井の宿や漱石忌
04.吾輩の猫家は根津に漱石忌
05.すれ違ふ巨匠二人や漱石忌
06.漱石忌猫の旅寝は阿蘇の宿
07.暗渠めくテムズの流れ漱石忌
08.人間は雑食であり漱石忌
09.漱石忌の寄席をはみ出す江戸言葉
10.漱石忌池に名残の三四郎

11.細君のさのさ唄うや漱石忌
12.ロボ犬に猫の座譲る漱石忌
13.ピロリ箘どうしますかと漱石忌
14.赤門に寄り添ふ猫や漱石忌
15.右脳妻左脳に猫や漱石忌
16.義父(ちち)ひとり母ひとり居り漱石忌
17.正直に生きるとふ闇漱石忌
18.わがハイは二コで叱らる漱石忌
19.季重なりやり込められし漱石忌
20.あの人もマドンナが好き漱石忌

21.ホトトギス今も続きし漱石忌
22.吟行に交る混る髭面漱石忌
23.隣家より猫踏んじやつた漱石忌
24.阿蘇日和熊本日和漱石忌
25.未(ま)だ我は迷える羊(ストレイシープ)漱石忌
26.「それから」のそれから想ふ漱石忌
27.倫敦の軋む廊下や漱石忌
28.漱石忌うつの診察眠る家 
29.馬を食べ新婚旅行漱石忌 
30.漱石忌水湧く肥後の成趣園 

31.漱石忌祖母と二人の幼き日
32.初恋の人まなうらに漱石忌
33.青春のストレイシープ漱石忌
34.どら声となり久し猫漱石忌
35.お宝は初版のこころ漱石忌
36.日にゆがむ絵ガラスの窓漱石忌
37.漱石忌タイムズ持てば紳士めき
38.野良猫に名前をつけて漱石忌
39.新聞の使ひ時増ゆ漱石忌
40.子規好む柿をほおばり漱石忌
 
41.三津浜の醤油匂いし漱石忌
42.赤シャツを洒落と着こんで漱石忌
43.吾を映す鏡なる子や漱石忌
44.漱石の忌でありにけり猫の留守
45.ポケットに青空文庫漱石忌
46.水匂ふ夜の窓辺や漱石忌
47.最後まで使ふ鉛筆漱石忌
48.眷族に二人の詩人漱石忌
49.道草を食ひて悔やまぬ漱石忌
50.マドンナの俤偲ぶ漱石忌

51.漱石忌三四郎池の佇まひ
52.ロボットにおかえりなさい漱石忌
53.漱石忌天より句碑と筑後川
54.朝倉の水は大河へ漱石忌
55.我が欠伸猫にうつるや漱石忌
56.英国のドラマ見入りし漱石忌
57.夕飯の献立決まらず漱石忌
58.白鳥の首のフラスコ漱石忌
59.濁り少し明治の玻璃戸漱石忌
60.丁寧語で妻と諍ひ漱石忌

61.月を見て月を言はざる漱石忌
62.足元に猫絡みたる漱石忌
63.地球儀をゆつくり回す漱石忌
64.やることは全て尽くせり漱石忌
65.絶食も十日目になり漱石忌
66.漱石忌薬手帳の余白かな
67.病から好かれ過ぎたる漱石忌
68.よき妻にめぐり逢ひたや漱石忌
69.俳句漢詩小説頭脳漱石忌
70.明け始む窓に粉雪漱石忌

71.窓にふれ小さき雪片消ゆ忌日
72.漱石の描きし墨竹小雪舞う
73.青空の下で散策漱石忌
74.漱石忌子らと語らいおやつ食う
75.駅前の句碑をじっと見る漱石忌
76.冬晴れの光の中の漱石全集
77.漱石忌法事へ向かう予讃線
78.朝日へと猫転がり出で漱石忌
79.すかっぱれベンチで文庫漱石忌
80.ページには何のシミやら漱石忌

81.漱石忌子規の隣に並びおり
82.漱石忌ターナー島に白兎飛ぶ
83.爪立てて蒟蒻ちぎる漱石忌
84.道具屋の見立ては抱一漱石忌
85.同窓会ハガキに思案漱石忌
86.電飾の達磨見あぐる漱石忌
87.湯気立てる薬缶に手かざし漱石忌
88.友情の証の書簡漱石忌
89.漱石の再現書斎隙間風
90.猫塚に擦り寄る落葉ありにけり

91.傘置けばぱたりと倒る漱石忌
92.箸置を汚すことなし漱石忌
93.マークして段取立てり漱石忌
94.漱石忌帽子の青き画学生
95.足元に雀の転ぶ漱石忌
96.漱石忌上弦の月の浮いており
97.今日漱石忌書斎に籠り読み書きを 
98.今日漱石忌書斎に籠る楽しさよ
99.今日漱石忌書斎に籠り一日を
100.朝起きて時間は早し漱石忌

101.街灯りはなやぐ夜の漱石忌
102.忙しい日日(にちにち)過ぎて漱石忌
103.猫ちやんと二人で思ふ漱石忌
104.野良猫の飼ひ主となり漱石忌
105.漱石忌野良猫と寝る草枕
106.雀さん私は小さき菫です
107.漱石忌今にしあればくすり多々
108.胃潰瘍不治にはあらず漱石忌

▼互選

①投句一覧表の中から3句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、12月10日(日)午前9時から始め、12月10日( 日)午後6時までに済ませてください。
③選句の投稿は、ブログのコメント欄にご投稿ください。
選者:木暮陶句郎・五島高資・松野苑子・辻村麻乃・永田満徳・高橋信之・高橋正子・髙橋句美子
※選者の方は5句選をし、1句にコメントをお願いします。選者の選は、選者特選として表彰されます。