岸本周平 Blog

和歌山 民主党 衆議院議員
岸本周平 汗と涙の日々!

和歌山の児童養護施設の実態

2006年06月26日 14時01分50秒 | Weblog
 先週末の新聞記事の中に、「和歌山市にある児童養護施設旭学園で、20年間にわたって職員が入所児童に体罰を加えていたり、子供どうしのいじめがあったとして、和歌山弁護士会が旭学園を運営する社会福祉法人に警告書を出した。」というものがありました。同弁護士会は、監督機関である和歌山県や設置者の和歌山市にも指導監督を強化するよう勧告書を出しています。地方紙の記事はさらに詳しく、警告を受けた社会福祉法人「和歌山社会事業協会」が一族支配で理事長職や園長職を固め、ずさんな管理体制をしいていたことが報じられています。
 旭学園などの児童養護施設を実際見たことのない市民が、この記事を読んで、本件の深刻さを理解することは難しいと思います。まず、「児童養護」施設の意味が分かりません。恥ずかしながら、私も和歌山に帰ってきて、旭学園だけではなく、虎伏学園、こばと学園などの施設を見学して初めて知りました。
 児童養護施設は、戦後の戦災孤児を収容する施設としてスタートしました。その後、孤児たちが巣立つ一方で、親に捨てられた子供や、どうしても親と一緒に生活できない子供たちが預けられるようになります。今では、施設にもよりますが、育児放棄(ネグレクト)、虐待などで親と一緒に住まわせられない子供たちがかなり増えてきています。
 施設に見学に行くと、大人の愛情に飢えている子供たちがそれこそ「まつわりつく」といった感じで離れてくれません。一方で、虐待を受けた子供は大人に対して不信感を持ちます。育児放棄を受けた子供は実際の年齢の半分くらいの体格です。ある意味、普通の市民にとっては「非日常」の世界なのです。それだけに、この記事を読んで胸が詰まりました。
 しかし、新聞記事に書いていないことがあります。おそらく記者さんが現地で取材をしていなからでしょう。戦後の設置基準が変更されていないせいか、21世紀の今でも、20畳の畳の部屋に定員が8人。自分の学習机すらなく、私物はプラスチックの箱2箱に収納されているだけです。何とか男女の区別はなされていますが、2歳から18歳までの子供がそのような環境で育てられているのです。このような生活環境も体罰同様、今すぐに見直されるべきだと私は思います。
 旭学園では、昨年、体罰問題が発覚して園長が変わりました。後任の中村通雄園長は立派な方で、園内で職員への指導力を発揮するとともに、徐々に、2,3人で1室、二段ベッドと自分の学習机のある部屋に改築しておられます。幸い、こばと学園は昨年、建物の改築が完成し、既にすべての子供たちが3、4人で1室、二段ベッドと自分の学習机のある部屋で生活しています。虎伏学園は施設の子供たちのために小中学校の分校が併設されているところですが、生活環境は昔のままです。この事件をきっかけに、何とか児童養護施設の生活環境を改善していきたいものです。
 
 

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当のところ (菅原です。)
2006-06-26 19:01:48
このブログを通して、本当のところを知る力、正しく物事を見る目を育てたいと思います。
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子供は幸せでなくっちゃ! (西村(妻))
2006-06-27 00:21:02
こういう問題ってホントすごく難しいけど(行政のあり方・施設の運営・人間としての資質・・・等々)そういうのぜぇんぶ横においての発言ですが、子供は幸せになる権利があると思うのです。子供の頃の記憶ってその人の人生の方向を決めてしまうでしょう?だから子供は絶対幸せでなくっちゃ!

横におっぽりだした問題についての意見はまたの機会に・・・
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子供受難 (茶むりえ敏ちゃん)
2006-06-27 01:20:57
 最近の世相を反映してか、子供を取り巻く事件や事故があまりに多いように思います。思えば私たちが子供の頃は現在・21世紀は「輝く未来」だったように思います。

 今の子供たちは未来や将来にどんな夢を描いているのでしょうか?よく言われることですが、子供たちが輝く未来に夢を持てる世の中にすることが今の大人の責務でしょう。

 

 周平さんの活躍に期待しております。
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このままでは… (尾崎元昭)
2006-06-28 18:54:42
先進国中、かなり福祉行政面で遅れつつあるわが国を憂えます。このままではいけないという危惧感を、国民が強く覚えるべきです。今回のテーマは氷山の一角でしょう。
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先生は職業? (island K司)
2006-06-28 19:41:27
養護学校はもとより教育の現場において大切なのはハードよりも教師の質だと思います。本当に子供たちと向き合っていける教師がいれば、本当に立ち直れる子供はいっぱいいますよね。私の同級生で小学校の教師をしていた奴に聞いたことがあります。家庭の事情で家出をした児童を捜索するときに先生方に動員がかかった時のことです。休日の夜のことだったので「なんでこんな時に家出するんや。はよ終わって帰ろ」と言ったそうです。彼は本当にやるせない気持ちで一杯だったそうです。彼は本当に児童と向き合う教師でした。でも、志半ばに病に倒れ帰らぬ人となってしまったのです。お通夜、お葬式には本当に数え切れない生徒や御父兄が参列されました。本当にいい先生だったのだなぁと痛感した次第です。

でも、今の教育現場では彼のように真剣に子供と向きあっていっても報われない状況にあるのではないでしょうか。今の待遇が悪いとは言いません。しかし、志のない教師と比べてもっと評価されるべきではないかと思います。そうすれば、もっと教育の現場は良くなっていくのだと思いますが・・・。
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トラバのご報告 (レイ)
2006-07-17 06:40:34


 児童養護施設を出ました、レイと申します。養護施設出身者としての本音ブログを開設しています。勝手ながらトラバさせていただきました。
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ボランティアで養護施設へ (小谷)
2006-08-10 17:34:32
8月初旬、ニュース和歌山で、児童養護施設の「こばと学園」内の学習指導グループがボランティアで学習指導を手伝ってくれる人を募集しているのを見ました。我が家の二人の娘もようやく自立?して、さぁこれからまだ自分の体が思うように動くうちに何かしなければ、と意気込んでいた私。この機会を逃す手はないと、早速参加してきました!高校のとき、生徒会の活動か何かで「こばと学園」を訪問したような記憶があります。その頃のかすかな記憶では、施設はいかにも古い建物で、広い部屋に何人もの子供たちが生活していたように思います。しかし先日行ってみると、上記の岸本氏のブログにもあるように施設は新しくてきれいで、学習指導をする図書室もちゃんとエアコン設備があり、感激しました。学習指導グループのボランティアの方々は、土曜日の夕方に中学生と高校生を、日曜日の午前中に小学生をそれぞれ指導されています。図書館の机に向かってグループの方が用意してくれた問題集にそれぞれが取り組み、ボランティアはほぼ1対1で児童について指導しています。児童にとっては、それぞれ週に一時間だけの家庭教師といった感じなのですが、それなりに成果を挙げられているとのこと。私が参加したのはまだ二日間だけですが、中学生二人と小学生一人の指導のお手伝いをしてきました。ただ、施設の子供たちはやはり色々な問題をバックグラウンドに抱えているということなので、特に中学生に接する時は妙に緊張してしまいました。これからは学習指導を通して子供たちと心の交流ができればいいな、と思っています。



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ボランティア (岸本周平)
2006-08-10 18:13:38
小谷さん



児童養護施設でのボランティアをなさるのは素晴らしいことだと思います。いろいろなことに気付かれると思います。気のついたことを教えてください。



周平
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4回目の学習指導ボランティア (小谷)
2006-08-27 17:19:17
「こばと学園」の学習指導ボランティアに参加して今日が4回目。

接した子供たちの数はごく少ないのですが、今のところそれぞれの子供達が持つらしい特別な事情が及ぼす影響は、私が接した子供達の様子からはうかがえません。

本当にごく普通の小学生、中学生なんですよね。

指導グループの元代表の方からお話をお聞きすると、学習能力面で通常の子供達と比べればかなりの問題を抱えているようなのですが・・・・

まだまだ私には何も見えてこない、そんな状況です(^^;

ただ、今日接した小学5年生の女児の笑顔、その笑顔をまた見るために、今週末も頑張って学習指導ボランティアに参加します!
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