正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

憶持不忘の人は希である

2005-11-20 | 手引書⑫

 日蓮大聖人は「憶持不忘」について『四条金吾殿御返事』に、
 「法華経の文に『難信難解(なんしんなんげ)』と説き玉ふは是なり。此の経をき(聞)ヽう(受)くる人は多し。まことに聞き受くる如くに大難来たれども『憶持不忘(おくじふもう)』の人は希(まれ)なるなり。受くるはやす(易)く、持つはかた(難)し。さる間成仏は持つにあり。此の経を持たん人は難に値(あ)ふべしと心得て持つなり」(御書775)
と仰せであります。
 「憶持不忘」とは、如何なる時も三大秘法の御本尊様や下種三宝尊を心に銘記して忘れないこと、正法受持の義を心に銘記し、如何なる難にもたじろがない信心の姿勢をいいます。
 「憶持不忘」の原点は、釈尊が説かれる『法華経』の「結経」である「仏説観普賢菩薩行法経」に、
  「聞普賢説深法。解其義趣。憶持不忘(普賢の深法を説くことを聞いて、其の義趣を解し、憶持して忘れじ)」(法華経619)
と説かれています。
 「憶持不忘」を毎日の生活に心がけることで、快適な生活を送ることが出来ます。つい仕事や家事の忙しさに心が奪われて、大事なことを忘れてしまうことがあります。信心では勤行唱題において、仕事や生活のなかで忘れてはいけないことを、心の中にしっかりと明記すれば、忘れないでいくことができます。毎日勤行唱題を欠かさないところに、忘れかけていた大事なことが、ある時に思い出すことがあります。これが正しく御本尊様の有り難い加護であり、諸天善神の働きがあることを物語ります。これが「冥益」ということになります。
 「憶持不忘」は、人間関係の絆を深め、信心に於ける異体同心に大切な事であります。「憶持不忘」は、世間に蔓延する謗法の悪縁によって紛動されます。信心では、謗法に通じる悪縁に目を光らせ、「防非止悪」を心得、「憶持不忘」を持続させていきます。
 人との繋がりとなる信頼関係も「憶持不忘」が必要です。仕事に於ける約束事や契約を交わす時にも、日蓮大聖人が仰せになる「憶持不忘」という教訓が関係してきます。「憶持不忘」という心がけが失われれば、お互いの関係に気まずさを生み、終いには信頼関係を損ねることになります。
 人生には、忘れてはいけない事と、忘れなければいけない事があります。「憶持不忘」は、決して忘れてはいけない事になります。その反対に、忘れなければいけない事とは、トラウマ的存在となる、生きる希望を失わせる心的作用を忘れることが大事です。忘れるという、私達に本能的に具わる働きを、迷いや悩みを心の中からなくすために活用することで、忘れるという心の働きを正しく活かし、人生を有意義にすることが出来るのです。
 信心で「憶持不忘」と「忘れる」という利用方法を、御本尊様から智慧を頂き私生活に繁栄させることで「我此土安穏」が現実のものになるのであります。