昨日(2010年2月9日)の衆議院予算委員会で、高市早苗議員(奈良2区)が、外国人地方参政権の問題を中心に質問したのだが、なぜかNHKはこの日の予算委員会そのものを全く中継しなかった。
言いたい点は以下の三点。
1 「政治とカネだけじゃなくて、実質的な審議を!!」などと、ブログや新聞の投書などで騒いでいる、民主党支持者こそ、「この問題を議論している様子を中継しろ!!『実質的な審議』なのだから!!!」と騒ぐべきなのでは??
2 中継する/しないの基準を勝手に決めているばかりでなく、外国人参政権についての国会議論を必死に中継しまいと避け続けるNHKは、どう甘く評価しても「公共放送局」とは呼べない。(下に書いたが、この問題について議論された、昨年11月の衆議院予算委員会質疑もNHKは中継しなかった)
3 NHKがこんな恣意的な中継しかしない中で、「自民党って政治とカネの問題しか追及しないよね~」などと知ったかぶった発言をしている人は、メディアリテラシーが低いアホである。「あのNHKが、中継する議題と中継しない議題をより分けてるんだよ。知らないの?」と、適切に、メディアリテラシー教育を施してあげよう(苦笑)。
以下詳しく。「資料編」とでも思って頂ければいい。
まず、高市早苗議員による昨日の国会質疑の模様は、youtubeにアップされている。アップ主に感謝である。6つに分かれており、全体の時間は50分弱である。もちろん、衆議院TVでも見ることはできる。
一つ目
http://www.youtube.com/watch?v=N1bAqU0gc38
次に、NHKの国会中継方針について、「放送総局長」による会見を紹介。組織としてのNHKの公式見解である。
放送総局長会見 2008/11/19
その他
Q.前航空幕僚長が呼ばれた国会をNHKが中継しなかった判断について
A.(日向総局長)
BBCには国会チャンネルがあって、国会の中継を専門的に放送しているが、NHKにはない。どうしても選択するということになる。いくつかの原則を設けているが、今回もそうした原則やいくつかの要素を総合的に判断して、ニュースで伝えるという判断になった。
A.(今井副総局長)
国会中継はその時々の判断があるが、一定の原則はある。本会議での政府演説、代表質問はすべて放送している。衆参両院の予算委員会の基本的質疑のうち、各会派の第一質問者の質疑、党首討論や国民の関心が高い重要案件を扱う委員会の質疑などは適宜、総合的に判断する。今回もこうした原則に基づいて、中継しなかったということ。
Q.今回は国民の関心も高かったが、なぜ中継しなかったのか?
A.(今井副総局長)
国会の中継は、国会からの要請がある場合とない場合がある。それもやはりひとつの判断基準になる。今回の場合は要請がなかったということもある。議論になるところではあるが、特定の主張を持っている方の発言であるわけで、そうしたことも総合的に判断しなければならなかった。ニュースではかなり分厚く伝えているし、ニュースで扱うことが適当と判断した。
国会において、「特定の主張を持っていない方」を参考人として呼んだことなどなかろうに(あきれてアゴが外れる)。その点には仮に目をつぶるとしても、
外国人参政権の問題は、
・「国民の関心が高い重要案件」ではない
または
・「国会からの要請がなかった」←これって、国の干渉を思いっきり認めてるだろ(笑)。
問題なのだろうかね?
そして、最後に「総合的に判断」という文言をつけることで、
何を中継し、何を中継しないかの基準はありません。NHK内部が自由に決めます。
と言っているだけである。要するに「ブラックボックスですよ~」と宣言しているのと同じだ。こんな放送基準しか持っていないのが、「公共放送」をタテマエにしている日本放送協会(NHK)なのである。
さらに、放送法では以下の規定が。
第1章 総則
(国内放送の放送番組の編集等)
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
第2章 日本放送協会
(目的)
第7条 協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び委託協会国際放送業務を行うことを目的とする。
(放送番組の編集等)
第44条 協会は、国内放送の放送番組の編集及び放送又は受託国内放送の放送番組の編集及び放送の委託に当たつては、第3条の2第1項に定めるところによるほか、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.豊かで、かつ、良い放送番組を放送する放送し又は委託して放送させることによつて公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。
2.全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。
3.我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすること。
2 協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表 しなければならない。
あたかも外国人参政権の問題だけをピンポイントに中継しないようにすることは、
・論点をより分けて中継する/しないを決めているという点で、政治的に全く公平でもなければ、
・こういう議論がなされているという事実を隠すことで、事実を思い切り曲げているし、
・意見が対立しそうな問題だからこそ、まずは生の討論を中継することが、多くの角度から論点を明らかにする必要条件であるにも関わらず、その義務を完全に放棄している。
したがって、第7条の、日本放送協会の目的である「公共の福祉」なんぞは、何も守ろうとはしていないのである。
しかも、こういう問題についての中継をどれだけの人々が求めているかについての科学的な世論調査など受けたこともなければ、定期的など、なおさら聞かない。その結果の公表も見たことがない。
これで、どの面下げて「NHKは公共放送ですから」などと言い、受信料を徴収しているのだろうか。
この問題についてこれだけ怒りを感じるのも、この問題をスルーしたのは今回が初めてではないからだ。稲田朋美議員(福井1区)が外国人参政権について質問を行った、昨年11月5日の衆議院予算委員会も、NHKは中継しなかった。
2009年11月2日(月) 衆議院予算委員会 中継
2009年11月3日(火) 文化の日のため国会は開かれず
2009年11月4日(水) 衆議院予算委員会 中継
2009年11月5日(木) 衆議院予算委員会 なぜか中継されず
2009年11月6日(金) 参議院予算委員会 中継
月、水、木、金の国会質疑の中で、木曜日の質疑だけ中継しないことを決めた理由は何なのだろう。
しかも、驚くべきことに、こちらのページを見ても、11月5日の予算委員会の議事録だけが、なぜか未だに載っていない。前後の日については、詳細な議事録がすでに載せられているのにだ。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/173/0018/main.html
(国立国会図書館 国会会議録検索システム)
平成21年11月5日「第4号」の議事録だけがなぜか、3ヶ月も経っても掲載されていない。
こちらのページを見ると、「会議録は、現在作成中」とのこと。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/News/yosan17320091105004_f.htm
(衆議院予算委員会ニュース 平成21.11.5)
議事録に載せるべきかが議論になるような発言が、ちょうどこの日に乱発されたと考えるくらいしか、あれから3ヶ月経っても議事録が発行されない理由は考えられないのだが・・・国民の「知る権利」とやらは、一体どこに吹っ飛んでしまったのだろう。
この日の稲田議員の質疑はニコニコ動画にある。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8722393
また、一般ブロガーの方が苦労してその大筋を書き起こされている。その苦労に脱帽だ。
放送されなかった5日の衆議院予算委員会より稲田議員と下村議員(ぼやきくっくり 様)
内容については、また稿を改めて議論したい。
ひどすぎます。
これで「公共放送」って言うんだから・・・「・・・」しか出てきません。
次回以降もできるだけフォローしていきたいと思っています。