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「言論の自由を守れ」という声を上げることを「強制」する痛い人々-映画『靖国 YASUKUNI』問題

2008-04-11 03:52:58 | Weblog

 この問題についてはいつも以上に各関係者の発言が錯綜しており(まあ意図的に錯綜させている連中がいるわけだが)、しばらくは静観することが最も賢い態度にさえ思えるくらいだ。しかしそんなところにも、左巻きの人々は触手を伸ばしてくる。

 

「靖国」上映中止に抗議(デイリースポーツオンライン、日時不明だが記事内容より08/4/8か9)

(引用ここから)

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止が相次いだ問題で、日本シナリオ作家協会(東京都港区、西岡琢也理事長)は八日、「この状況を黙認・傍観するすべての人々を憎悪する」との抗議声明を発表した。

 「映画を公に発表する場を強圧的に奪うことはわれわれ表現者のみならず、国民一人一人の生活をも窒息、萎縮(いしゅく)させてしまう憂慮すべき事態を招くに違いない」と批判。「これからも、数年来この国を覆い続けるきな臭い不穏な時代の空気に抗(あらが)っていく」と結んでいる。

 新潟県弁護士会の高野泰夫会長も同日、映画関係者に対して「表現の自由に対する不当な圧力に屈することなく、毅然(きぜん)とした態度で臨むことを要請する」とする声明を出した。

 同弁護士会などによると、日弁連が会長談話を発表しているが、都道府県弁護士会としては初めてという。新潟県では、新潟市の映画館が六月以降の上映を決めている。

(引用ここまで)

日本シナリオ作家協会 HP 

(引用ここから)

〔 声 明 〕
映画「靖国 YASUKUNI 」の上映中止を煽動し、あるいは上映予定を撤回、逃避した全ての勢力に強く抗議すると同時に、この状況を黙認・傍観する全ての人々を憎悪する。

映画を公に発表する場を強圧的に奪うことは我々表現者のみならず、国民一人ひとりの生活をも窒息、萎縮させてしまう憂慮すべき事態を招くに違いない。

我々はこれからも、数年来この国を覆い続けるきな臭い不穏な時代の空気に抗って行く所存である。

二〇〇八年四月八日
協同組合 日本シナリオ作家協会
理事長 西 岡 琢 也

(引用ここまで)

 

 …全く、日本とは恐ろしい国だ。表現の「自由」を守るために抗議声明を発表している連中が、「この状況を黙認・傍観するすべての人々を憎悪する」 という抗議声明を発表することで、

表現の自由を守るために全国民が行動することは国民の「義務」だ

という価値観を、怒りにかまけて「強制」しているのだから。「内心の自由」を金科玉条のように掲げ、子どもたちに対し、「思想的に問題のある」日の丸や君が代を卒業式などで認めない自由もあるのだ!という「内心の自由」教育に日々いそしんでいる日教組教師などは、こういうイカれた声明に対し、即座に激怒して抗議行動を行わなければならないだろう(笑)。数年来、この国を覆い続けるきな臭い不穏な時代の空気を作ってるのは、まさにこいつら、日本シナリオ作家協会のことに他ならないではないか。こいつらは、そんなことにすら気づけない。こんな連中がご大層に映画のシナリオなんぞを作り続けているのだから、日本映画の質の凋落たるや、推して知るべしとしか言いようがない。

 このページでも、これはおかしいんじゃないの?という問題提起をしている。

 

「靖国」上映中止ニュースを傍観する人を「憎悪」するって…傍観は悪なのか?(gooニュース畑)

(引用ここから)

  どうやら私を含めた多くの人々は、日本シナリオ作家協会から憎悪されているようです。

> ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止が
> 相次いだ問題で、日本シナリオ作家協会は八日、「この状況を黙認・
> 傍観するすべての人々を憎悪する」との抗議声明を発表した。

「靖国」上映中止に抗議 (デイリースポーツ)
http://www.daily.co.jp/newsflash/2008/04/08/0000923779.shtml

 映画「 靖国 」に対してはいろんな意見がありますが、それらの意見は賛成・反対はともかく尊重されるべきでしょう。たとえばこのニュースで一緒に紹介されている新潟弁護士会の会長さんは、対象を映画関係者に絞った上で、毅然とした態度を要請しています。

 いっぽう「 靖国 」関連のニュースを見た人の多くは、「 ふ~ん、そんなことになっているんだ 」と思いはするものの、なんらかのアクションを取ることはマレでしょう。つまり、傍観するわけです。しかし日本シナリオ作家協会は、その傍観は許されないことであり、憎悪の対象にすると宣言しています。

 これって思想の押し付けであり、言い換えれば全体主義的な発想ではないでしょうか? おそらく同協会は日本社会の全体主義化を危惧してこういった声明を出したと思われますが、その声明自体が全体主義的なのは、マッチポンプと言わざるを得ません。

 個人的には同協会の声明は、「 憎悪する 」の一文を除けば概ね理解できます( 賛同するという意味ではないにせよ )。格調高い主張なのですが、それを自ら台無しにしているのが残念に思われます。

みなさんはどう思いますか? 

(引用ここまで)

 

 ちなみに私は、同協会の声明は、「憎悪する」の他の点に関しても理解できない点が多いので、このスレ主氏と完全に同意見ではない。しかしながら、「表現の自由」を標榜する連中が、ある思想を「強制」しているという指摘には完全に同意する。

 

 これに対してついたレスがこれである。

>2008-04-10 12:56:36 by ゲスト

>不作為は非難されるのでしょうね。消極的承認ですから。

>積極的賛成はできるんだから全体主義とは違うでしょ。これが全体主義の考えだというのは逆で、そういう不作為から徐々に全体主義になっていくというのは太平洋戦争前に起こったことだね。

 

 …何と、この意見に対し賛成レスまでついている…信じられないことである。少なくとも法的な意味では、不作為が問題にされるのは、何らかの「義務」を負っている者に対してであるが、この問題に関しては、どのような意味においても、全ての人々(これが日本国民なのか、日本に在住する全ての人なのか、全世界の人間なのかさえわからないのだが)が、この状況を黙認・傍観してはならないという義務はない。すなわち、

映画「靖国 YASUKUNI 」の上映中止に関して、「全ての人々」が「何らかの行動や声明を発する義務」はどこにもない

はずなのだが。

 首相の靖国参拝問題などで、困ったときにことさら「道義的」という言葉を持ち出してきた人々(笑)には特に聞いてみたい。「道義的」に、「全ての人々」が、映画「靖国 YASUKUNI 」の上映中止に関して、「何らかの行動や声明を発する義務」があるという主張は、どういう根拠があれば可能なのだろうか???

 

 答えられないというのなら、まさにその、答えられないという事実それ自体が、こいつら「日本シナリオ作家協会」の連中が、思想や行動の「強制」をしているということの証左になりますな(笑)。

 「たかだか一協会の発言に何ムキになってんの?」という発言で軽やかにスルーした気になってるこれまた痛い連中は、同じ発言を、なぜ今回、この映画を上映中止にした映画館にぶつけない/ぶつける気にならないのだろうか?「たかだかヘタレ右翼団体の圧力に何ムキ/萎縮した気になってんの?違法な行為なら警察に通報して、断固たる措置を取ればいいだけじゃない?」と言えない/言おうとしないのはなぜだろうか?いやはや、ずいぶんと不自然な思考回路をお持ちのようですなぁ。その脳みそ、メタミドホス入りの中国製ですか?

 

 また、「積極的賛成はできるんだから全体主義とは違う」という発言も全く理解できない。問題は、「彼らが、自分たちの発言に対し積極的に賛成すること以外の選択肢を、『憎悪する』という表現で圧力をかけることにより、奪い去ろうとしている」ことなのだから。これを、「強制」以外のどんな言葉で表現しろと言うのだろう?ある思想や行動を強制する、これを「全体主義」と言わずして何と言えばいいのだろう?

 

>これが全体主義の考えだというのは逆で、そういう不作為から徐々に全体主義になっていくというのは太平洋戦争前に起こったことだね。

 何でも戦前に結びつければ発言者がおののくと思っている点も、こういう連中が共通して持つ、きわめて痛い点である。太平洋戦争を支持しないことを「不作為」という罪に位置づけた戦前の憎むべき連中(←あくまでも彼らから見た目線で、ということであるが)と同レベルのことをしているのは、この日本シナリオ作家協会の方なのだが、これまたこういうヒトは、このことに関しては完全スルーである。

 これから、こういう脳みそのことを、「きな臭い時代フィルターつきメタミドホス中国製脳みそ」と呼んでいいだろうか?

 

 私は、声高らかに宣言しておこう。このアホどもの発言とは全く関係なく、この映画『靖国 YASUKUNI』の上映中止には反対である。上映を妨害する連中は、威力業務妨害などでバシバシ通報/逮捕/告訴/告発すれば良い。ただし、TBSやテレ朝などが繰り返しているような、「稲田朋美衆議院議員が、この映画の上映中止に圧力をかけた」という雰囲気作りには断固として反対する。これは、記事を改めて述べていきたい。

 参考までに、稲田朋美衆議院議員が、一連の騒動に関してコメントを発表している。以前からテレビなどでご意見を拝聴しており、その冷静な言葉運びについてはいつも勉強させていただいている。

映画「靖国」の助成金問題について産経新聞正論に書いたことについて(タイトルは私が編集、稲田議員HPより)

(直リンクが貼れないようなので、トップページから、タイトルすぐ下にある「お知らせ」をクリックしていただきたい) 

 

  この問題については、お笑いタレントのふかわりょうまで深夜ラジオで激昂したりと、各方面で物議を醸しているようだ。しかし残念ながら、特に稲田議員の扱いに関して、マスゴミがかなり偏向したフィルターをかけた上で「報道」しているので、前提となる情報/知識が間違っている。その意味で、この問題に関して少ししか知らない/調べていない人は、もう少し状況を静観するか、丁寧にさまざまなネタ元を調べてみることをお勧めしたい。

 

 美加さんのブログでもこの問題を扱ってらっしゃってたので、リンクを貼っておく。大いに参考にさせていただいた。

映画「靖国」騒動について

 


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