できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

今年のセンター試験の目玉は、「英語リスニングてんやわんや事件」

2006-01-23 07:23:07 | Weblog

 今年のセンター試験は、現時点では問題の漏洩などは聞いていない。ニュースでしつこく流されるのは、「リスニング試験初導入 ICプレイヤーの不具合続発」と銘打った一連の騒動についてだ。例えばこういうニュースに、多くのブロガーからのリンクが貼られてある。

 

 「性善説に立っている」 センター部長、謝罪なし(ヤフーニュース、 (共同通信) - 1月22日)

 

(引用ここから)

 

  大学入試センター試験のリスニングでトラブルが相次いだ21日夜、東京都目黒区の入試センターで記者会見した松浦功事業部長は「(トラブルがあったと)手を挙げた受験生は、すべて再テストにすることを決めていた。性善説に立っている」と語った。

 センターに対する批判をかわすように、身ぶり手ぶりを交えながら「性善説」を繰り返す松浦部長。「不備があったのは残念だ」としながらも「再テストで手当てし無事終えた」と強調、謝罪の言葉はなかった。

 「試行テストでは、これほどの割合でトラブルは起きなかった。こんな数は想定していなかった」と、次々に寄せられた不具合の報告に驚いた様子も。「試験前の確認時に問題がなかったのに、なぜ試験途中で動かなくなったのか」と首をひねった。

 

(引用ここまで)

 

 リンクを貼ってあるブログのほとんどが、単なる話のネタとして引用したり、「性善説って言葉を使うなんて、すごいね」という「ひとこと感想」ばかりであった。受験生と直接関係していない人がうらやましい限りだ。それと同時に、私も含めて、自分と関わりのないことに関しては、いかに想像力が衰えやすくなるかを、いくつかのブログを見て感じた。

 

 例えば、「そもそもなぜリスニングをICプレイヤーでやるのか?スピーカーで十分じゃないか」という問題提起。

 

 部屋の中で、座る場所によって、音の聞こえやすさ/聞こえにくさを生徒が訴えてきた場合、「我慢しろ!」と無視できるのであれば、センター試験の英語リスニング試験をスピーカーで流すのも良かろう。実際に、英検やTOEICなどではスピーカーでリスニング(ヒアリング)試験を行っている。

 

 しかし、センター試験が英検などと違うのは、以下の2点である。

 

センター試験は、

 

① 受験生にとって年に一度しかないチャンスである。

 

② 50万人以上の受験生を、同じモノサシで計測/比較できる「公平性」を保証できなければならない。

 

 したがって、同じ部屋の中で聞こえる/聞こえないに差が出ることに関しては、何度も受験チャンスがある英検やTOEIC以上に配慮しなければならないと私は考える。その意味で、イヤホンを使った試験にしたことには私は賛成だ。

 

 私の考える、大学入試センターを批判すべき点は以下の3点である。

 

① 50万個以上もの同じプレーヤーに対して、どの程度の「不良品」が生じると考えていたのか。その見込みは甘くなかったか。

 

② 同様に、導入初年度として、「運営上の不手際」がどの程度生じると考えていたのか。さらに、その不手際に対する対処法は、上記の2点、特に「公平性」をできるだけ保証しうるものであったのか。

 

③ 今回のセンター側の対応に関して、「性善説に立つ」と取材に答えた、大学入試センターの松浦部長の発言は、単なる準備不足のいいわけに過ぎないのではないのか。

 

 という点である。それぞれについてコメントする。

 

①に関して… 品質管理についてはほとんど知らないが、導入初年度であることを考え、かなり多めに不良品が出てくる可能性を考えておくべきだっただろう。そして、「かなりの不良品が出てきたとしたら」という前提で、「次の一手」を用意しておくべきだっただろう。

 

②に関して… ①とも関連する。すなわち、「もう一度始めからリスニング試験を受け直す生徒が、かなりの多数生じる」ことを想定し、その場ですぐに実施できる、「再試験用の新しいリスニング問題」を用意しておくべきだっただろう。このことが、「よく聞きとれなかったから、IC機器が壊れたことにする」という、想定される、かつ想定すべき性悪説的な受験生(笑)に対して牽制となる。

 

③に関して… 「性善説に立つ」という抗弁は、上記の対策をとることにより、実際には全く不要になるものだったはずなのだから、私にとっては、責任が自分に及ばずにすむような、「必死のいいわけ」にしか聞こえない。

 

 以上をまとめると、来年度に向けての私からの提案は、

 

『ICプレーヤーが壊れた(と申告する)生徒に対して、「別の問題」を用意しろ』である。

 

  「公平性が守れるのか」という反論に対しては、「同じ問題でもう一度やらせるよりははるかにましだ。そもそも、どうしても本試験を受けられなかった受験生のために、一週間後に『追試験』という『別の試験問題』が存在する。試験問題が別なだけで公平性が保てないのならば、そもそもセンター試験追試験という制度自体が批判されるべきであろう」と答えたい。

 

 

 

  話は変わるが、ニュースで見た、「センター試験を受けた女子高生の声」として出てきた生徒は最悪だったな。

 

「使い方全然わからなかった。」と逆ギレ口調とは…。

 

 自分が受ける試験なんだからさ、少しはあらかじめ先生に聞くなり、大学入試センターのホムペなりを調べろよ。ここに、丁寧な操作ガイドが用意されているんだしさ。

 

 基本的には、電源ボタンと、再生ボタンと、ボリュームつまみしかないだろ?そのどこが「全然わかんない」んだ?そういう生徒は、リスニング以前に「機械操作能力0点」として全員落としてもいいくらいだと思うが(苦笑)。

 

毎年の成人式に関する「荒れる新成人」系のニュースだけじゃなくて、受験会場での「王様気取りの受験生」ネタも、これから毎年の風物詩になるのかも知れないな。情けないことだ。

 

 

 試験を受ける側も、受けさせる側も、どんどん幼児化していくのか。「幼児化のスパイラル」である。

 



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