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さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

TVタックルでは「東電が電気料金値上げとはとんでもない!原発再稼働もとんでもない!!」と

2012-03-19 22:28:04 | Weblog

うーん。原油価格も天然ガス価格も上昇し続ける中で、できるだけ原発に頼らないようなエネルギーを志向するのなら、むしろ電気料金値上げは当たり前すぎるほど当たり前なのだが。

 

以前も貼ったが、「世界経済のネタ帳」より。

 

 

 

どちらも2008年後半にどかーんと下がったのはリーマンショックの影響で、投機マネーが一時的に原油・天然ガスから引いたためかと。しかしそのショックが落ち着くと、また世界規模で余ったカネが石油・天然ガスに流れて行きつつあることはよーくわかる。しかも、自然エネルギーをすでに有効活用している「はず」の欧州でも、天然ガス価格は着実に上がっていることもわかる。売る側と投資する側は、それだけ、天然ガスの需要は低くならないという自信があるということなのだろう。

 

だとすると、できるだけ原発に依存しないようなエネルギー政策を行うのであれば、東電だろうがどこの発電所だろうが、電気を化石燃料で作る以上はコストが上がるということだ。したがって問題は、どのくらい上げることが、「妥当」であるか、という、立派な程度問題のはずなのだが、TVタックルではそういう話は一切出なかった。日本共産党の穀田は

「盗人猛々しいという言葉に尽きる」

と繰り返し、東電を盗人呼ばわりすることで、その盗人が電気料金値上げを要求することはありえない、というイメージ刷り込みにいそしむ。

 

しかしだ。化石燃料がこれだけ上昇している中で、原発を再稼働せずに、電気料金を「値下げ」することは、どうやったらできるのかね?誰が「これが東電のムダだ」と判定する資格と能力と信用があるのか、という根本的な問題に行き着くしかないし、その問題に行き着いたとしても、その答えは誰も持っていないだろう。あれだけアンチ(笑)がいる石原慎太郎が仕切っている東京都の試算なら信用できるとでも言うのだろうか?赤旗の講読料金を政党活動費に平気で流用している日本共産党の試算なら信用できるとでも??

 

結局、この問題で幅を効かせているのは、とにかく感情的に騒ぐ「大衆」を「煽り」によって作り出し、さんざん「ガス抜き」をした後で、

「結局、値上げは仕方がないんじゃない?」

という空気作りで、最終的には東電の言うがままに値上げを承認しようとする政府+東電側の「謀略」しか思い浮かばないのだが(笑)。それがいやなら、具体的な程度問題として、原油と天然ガスの料金がそれぞれいくらなら電気料金がどれくらい上がるのかという試算を、東電とそれ以外の組織の、少なくとも二つ以上の組織に行わせ、その妥当性を冷静に検討するしかないということである。しかもそれを早く行わないことには、またすぐに夏が来るし、夏が来る前に急に暑くなる可能性だって誰も否定ができない。

最悪の場合、「電気は本当は足りている」神話によって、実際にある地域で停電が生じ、その停電のせいで人工呼吸器などが止まり、実際に病院などで死者が出ることだ。今東電を叩いてご満悦になっている頭の悪い紅衛兵(笑)の諸君は、そういう死者が仮に出たとしても、責任を取るつもりは全くないだろうし、逆に、

「わざとこういう事態を引き起こして、電力会社は『電気が足りない』ということをアピールしているのだ!!」

とまで言いかねない。

 

だったら、自分で発電機を買って、東電との契約をやめ、自家発電で自宅のエネルギーを全て賄いなよ。

 

あとさ、周りに煽られていつの間にかスマホに変えている、流行に敏感な諸君。ケータイより確実に電気を食う機械を買っておいて、その口で平気で

「原発反対!」

などとでも言うつもりなのだろうか(笑)。鼻で笑うしかない。

 

 

というわけで、重要なことだからもう一回言っておこう。問題は「電気料金を上げるかどうか」ではなく、「いくら上げるのかが妥当か」である。ものごとの本質を見誤ってはならない。

 



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1 コメント

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Unknown (ぶぶ)
2012-03-22 14:26:13
・韓国の電力事情では、停電が起きて当たり前
http://chinshi.blog102.fc2.com/blog-entry-86.html

『利益が出るどころか赤字で電気を売らなければならない韓国電力がどうなるか。赤字を小さくするには〝できるだけ発電しない〟ことしかありません。余分な発電施設はできるだけもたないことです。電力の安定供給に対する負のインセンティブが働いていました』

電気新聞などの記事も調べてられて、丁寧に作られているブログだと思います。

電力会社に負担を強いて疲弊させると、実は困るのは国民です。

電力会社の独占状態が批判されていますが、経営が安定しているがゆえに余分な発電施設を持つ余裕ができ、電力供給の安定化につながっていた面もあります。

他の記事にはアメリカの発送電分離の実態も書かれていますね。


ドイツが太陽光政策に見切りをつけつつある記事もありました。ドイツやスペインが補助金を削減していること、全量買取制度を修正・廃止・停止していること。マスコミは伝えません。

・風力や太陽光による電力系統の不安定化と、再生可能エネルギー法の課題http://chinshi.blog102.fc2.com/blog-entry-72.html
『風力や太陽光の発電量の変化を放っておくと、電力の需要と供給のバランスが崩れます。発電量が少なすぎれば停電の確率が上昇し、発電量が多すぎても送電網など設備が損傷します。
安定化のために、他の発電所の発電量を上げ下げする。将来的には蓄電技術が活かせる可能性はあるが、現在はあまりに高価で十分な容量も確保できないため、火力発電や水力発電などの出力を調整するのが基本になります』


欧州の送電系統はつながっているため、風力や太陽光の割合を増やすことが可能でしたが、それも限界がきており、電力系統安定化のためには数十兆円規模で整備する必要があるとか。

飯田哲也や孫正義などは知っているのか言わないだけなのか・・・

・おひさまファンドに利益を誘導する、飯田哲也氏の我電引水
http://chinshi.blog102.fc2.com/blog-entry-51.html

「自然エネルギーは安全、エコ」「お金よりも命!」と主張する人たちは、「命、安全を得るためにはお金も必要」ということが根本的にわかっていないのだと思います。
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