できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

ブロガーの受けた印象を分析する<21日の「きょうの出来事」

2005-02-23 10:30:30 | ライブドア関連
 昨日の記事の反響が大きいことには感謝したいのだが、読んだ人によってかなり印象が違うのが意外だった。

 そこで、トラックバックをたどったり、検索やRSSリーダーで、昨日私もたくさんコメントをいただいた、21日の「きょうの出来事」に対する印象を調べてみた。というのも、昨日堀江社長の「社長日記」のTBを貼るときにちらっと見えた他のブログの書き出しのほとんどが「堀江社長がんばれ系」だったからだ。そのときは、「こんな所にリンクを貼るんだから、まぁみんな堀江氏の信者(堀江氏を盲信する人々)だろうなぁ」と思っていた。

 ところが意外にも、社長日記にリンクを貼っていなくても、ほとんどのブログでは

①「ホリえもんがんばれ!」
②「堀江社長の態度も問題だが、『きょうの出来事』側のほうがおかしかった」
③「ホリえもん好き!」

のいずれかの方向で、感想なり印象なり主張なりが展開されていた。RSSリーダーで調べた、めぼしいページを貼り付けておくと以下のようなものである。この中には、昨日TBして頂いた方の該当記事も含まれている。

http://xxmuyaxx.exblog.jp/817090
http://hash200.cocolog-nifty.com/tokyo_decadence/2005/02/post_1.html
http://blog.livedoor.jp/enki_online/archives/14896991.html
http://nas0620.jugem.jp/?eid=225
http://ir-writeup.jp/shiraishi/page/2005/02/post_69.html
http://viva100s.seesaa.net/article/2089502.html
http://blog.livedoor.jp/casio/archives/14876435.html
http://blog.goo.ne.jp/yoshireen77/e/5f838ca35322ff8a58243ddcbd596d6c
http://t-panda.air-nifty.com/freedome/2005/02/post_12.html
http://obako.jugem.cc/?eid=225
http://blog.goo.ne.jp/noharm/e/053075ea91422dab4180e80581438bf7
http://blog.wat-151a.net/?eid=93956
http://www.doblog.com/weblog/myblog/12855/1048569#1048569
http://blog.goo.ne.jp/motomurataro/e/81779f34e45cda79ced3665ba4f6c8b0
http://blog.livedoor.jp/yswebsite/archives/14816533.html
http://blog.goo.ne.jp/lifebeats/e/41b10d1d82f93f74dc95c2db5a15645d
http://kenbou.no-blog.jp/soho/2005/02/post_3.html
http://blog.goo.ne.jp/no2_darling/e/e0891f3ff53a47a23002cddc2ef0c009

この中で、上記の①②③いずれの立場も取っていない記事は、

http://blog.goo.ne.jp/yoshireen77/e/5f838ca35322ff8a58243ddcbd596d6c
http://t-panda.air-nifty.com/freedome/2005/02/post_12.html
http://obako.jugem.cc/?eid=225
http://blog.livedoor.jp/yswebsite/archives/14816533.html
http://www.doblog.com/weblog/myblog/12855/1048569#1048569

この5つだけであった(18分の5、13:5)。あの番組における日テレの制作姿勢を批判したかどうかに関わらず、私のように、具体的に論点を挙げて堀江氏を批判しようとしたブログはなんとゼロ!であった。

 つまり、端的に言って、ブロガーの中では
堀江氏擁護派:批判派 = 2:1 と言えそうだ。
←私を入れれば13:6となるので。これは先週末のよみうりテレビ系「WAKE UP!」での電話投票と割合がほぼ一致する点で興味深い。

 …なるほど。私のような立場はネットではかなりの少数派であるわけだ。期せずして、堀江氏批判派(or懐疑派)の最右翼となっているわけか…そんなことは全然予想していなかった。。。ただ、意外であると同時に、好奇心をそそられる。なぜあの番組を見て、そのような印象が多数派を占めるのか?という点で。

 ブログの中でも目立つ記述が、司会者とコメンテーターの二人を一方的に責めようとする主旨のものである。中には、あたかも司会者たちが始めから、視聴者に堀江社長に対するネガティブなイメージを植え付けようとしているのでは?という記述もある。

>明らかに 堀江さんの意見を無視して、 悪いほう悪いほうにと向かわせようとする 視聴率狙いの番組構成。 (WAT BLOGさん)

>まず、キャスターのオグリイズミを始めとして局側の悪者堀江社長みたいな姿勢が丸出し!なぜ、あれほど堀江社長がバッシングを受けるのでしょうか?(moving_ma-kun!さん)

>あの訳のわからん評論家、相当イタい。(Don't think. Feel ! さん)

>にしてもそんな失礼な態度とってると日テレも買収されちゃぅぞ?(ぱんだのおしり...in shanghai...さん)

>あまりに腹立たしい内容で、キャスター2人もどうしようもなくって、
日テレってもう終わりかなって正直思った。(For the mindさん)

>司会のアナウンサーの方は、堀江社長の意見を全く聞かず同じ質問を繰り返す、質問の答えを話している最中に、次の質問を一方的に話し出す等、気になった点を挙げればキリがないほど、不快な番組でした。
(そーほー さん)

>しかし、昨夜は話している堀江氏のことばを無理やりさえぎり、局側の意向<堀江=ヒール>像をつくりだそうとしていました。まるで誘導尋問のようでした。(SLICE。 さん)

>日テレサイドとして最初からもって行きたい方向が見え見えで何だかなって感じ。(そんなもんだろう さん)

 ふむ。

 一方で、あの番組は、昨日レポートしたように、始めから堀江氏の方がケンカ腰(orインタビュアーの質問に正面から答えようとしない)であるように私は見えたのだが、その点に注目したブログは、このくらいであった。

>前半のニュースキャスターの質問も非常に自然なものだったと思うし、なんでキレてるのかわからなかったんだけど?ホリエモンも言ってることがコロコロ変わりすぎ。質問にロクに答えられないんだったら、テレビに出なければいいのに。(徒然なるにたろう さん)

>(堀江氏の)あの最初から喧嘩腰の高圧的な態度はあきれた。(メッタ斬りジャリズム さん)

 うーん、これだけ印象が違うと、議論の前提から整理しなければ、ここでの議論もどこまでもこじれそうだ。


 そんなわけで、私も反対意見に対して、書き捨てが多い掲示板のように悪態だけつくつもりはない。ここは冷静に、某経路で入手した(笑)21日の「きょうの出来事」のビデオファイルを、できるだけ丁寧に書き起こしてみる。

なお、 小栗:司会者(女性)、 高橋:日本総研理事(ゲスト、男性) である。

小栗:(フジテレビ日枝社長の話(社員もいやがってるようですよ、など)を受け) ということなんですけれども、会長の話を今ごらんになっていかがですか?

堀江:いや、もともとライバルじゃないですから。ライバルじゃないっていうのは、別に戦っているわけでも、

高橋:(遮るように)え?戦ってるんじゃないんですか?

堀江:いや、全然戦ってるんじゃないですよそれは誤解ですよ

高橋:でも敵対的買収かけてるじゃないですか

堀江:敵対的買収と我々は言ったつもりは最初っからないです。事業提携をしたいですと言っていますし、株を買うのは

高橋:(遮るように)相手がいやがるのを敵対的買収と

堀江:(遮るように)いや、いやがってるとかいやがってないで、いやがってるって誰がいやがってるんですか? 日枝さんがいやがってるんですか?

小栗:ええ、そうですねえ

堀江:いやがってるっておっしゃいましたか?

高橋:いやがってますよ、明らかに

堀江:(遮るように)そりゃわからないじゃないですか

(にょごにょご、3人同時にしゃべる。)

高橋:それは定義の問題ですからまあいいです

堀江:定義の問題ですよね?定義の問題ですから、我々は、最初っから敵対的だなんていう風には思ってないですし、そもそもそういうつもりはございません。

小栗:じゃあ、あのー社長にお聞きしたいんですけど、ニッポン放送株の過半数の取得、これには自信をお持ちですか。

堀江:自信を持つとか自信を持たないってことは、現状では言えません。だって、

小栗:(遮って)自信がないということですか。

堀江:いや、自信があるとかないとかっていう問題は関係ないです。

(長くなるので今日はこのくらいで)


 あらかじめ言っておくが、書き起こした文面だけを見ても全てを論じることができるわけではない。声のトーンなどもあるからだ。しかし、先ほど挙げたブロガーの印象と、書き起こしたやりとりを比べると、あることがわかってくる。つまり、対話のどの部分をネガティブにとらえたか、という点で印象が異なるということだ。

 堀江氏擁護派は、冒頭で高橋氏が話を遮ったり、「敵対的買収」という言葉についてつっこんだりする点をネガティブにとらえていることが予想できるし、

 堀江氏批判派は、ビデオを見れば日枝氏やフジテレビ社員がいやがっているように見えるのは自然なのに、堀江氏が「誰がいやがってるんですか?」などとこだわったり、敵対的買収という言葉にこだわったりするなど、口げんかにおける「理屈をこねる」様子に見える、と予想できる。

 もしかすると擁護派は、司会者などが話を遮るところにむかついたのかもしれないが、この書き起こしを見る限り、どちらも同じくらい話を遮っているのだ。←ここに「ルール」を持ち込む人もいるだろうが、それは別の機会に考えよう。

 では、そういう着眼点の違いはどこから生まれるのだろうか?それは、この番組を見る前の心の持ち方が大きく影響しているように思える。すなわち、

堀江氏を応援する気持ちで番組を見ていると、堀江氏が他人の話を遮るのは気にならないが、堀江氏が話を遮られるのはとても気になる。

また、

堀江氏を批判する気持ちで番組を見ていると、司会者たちのツッコミはごく当然のものに見える。話を遮るのは「どっちもやってるんじゃないの?」と流せる。

こういう違いが出てくるということだ。

 この仮説が正しいとすると、この番組は、擁護派を批判派に引き込んだり、その逆をしたりという効果がほとんどなく、どちら側の立場をも硬化させる役割しか果たさなかった、と総括できそうだ。その意味で、どちら側から見ても「なんじゃこの番組は?」という印象になるのは実によく納得できる。

 んなの当たり前だ!と怒るなかれ。良い討論・トーク番組では、その人についての今までとは違った側面や、反対側の意見が持つ意外な正しさに気づかせてくれることが多いのだ。その意味で、20日のアッコにおまかせ!では、堀江氏の考えを他の番組以上に詳しく聞くこともできたし、だからと言って周りの人は、堀江氏の言うこと全てを盲信しているような反応でもなかったので、番組自体の信頼度も高まった。だからこそ堀江氏の意見もより正確に聞けるようになるのだ。

 人の話を聞くときに、あらかじめ持っている立場のことを、ディベート用語でpresumption(プリザンプション)と呼ぶ。今回の一件で、議論におけるプリザンプションの重要性を私は再認識した。プリザンプションを意識せずに議論すると話がぐちゃぐちゃになることが多いし、逆に聴衆のプリザンプションを冷静につかみながら議論・スピーチすると、驚くほど説得がうまくいくことがあるのだ。←「いつもうまくいく」とは言っていない。

 ということで、外堀が埋まってきたので、昨日いただいたコメントなどを考慮して、さらに私の主張を検証していきたい。私の主張は、「上記のことをふまえても、堀江氏は視聴者をコケにしている」である。連日、長文を読んで頂いて感謝する。


2/28 追記、修正:各ページへリンクを貼っておきました。また、分析したブログの母数は17ではなく、18でした。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2005-02-26 11:38:30
う~ん、凄い考察力ですなぁ~。

素晴らしい。

私も今回のホリエモンには否定的なのですが、とは言えフジテレビに肩入れするつもりもなく、まあどっちもどっちですね、ここまで来ると。
返信する
ありがとうございます (白河)
2005-02-27 08:01:12
ありがとうございます(涙)



この記事は作るのにえらい手間と時間をかけたので、イチオシ!にしたいところなのですが、見た目ではあまり反響がないんですよね。まあ常識的な分析といえばそれまでなのですが。



それでも、ここのTBだけでなく、いくつかのしぶいページがリンクを貼って下さったので大変ありがたいです。



こういうテーマがネットだけでなく、大学生のレポートなどにも増えればいいなぁと思います。
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