
新年度に入り、早くも4か月目を終えようとしています。エデュコ生たちは、それぞれの学年における学習スタイルを受容し、嬉々として通塾してきます。一人ひとりの「予習シリーズ学習ノート」、「改善記録ノート」などを授業前に確認していますが、皆さん、安定度を増してきているように感じます。
とはいえ、達成感は人それぞれですから、他者との比較ではなく、学習の方法(質)・学習の量において、不断の検証意識をもって伴走してまいりましょう。
本稿では、4年生から6年生前期に渡る「算数学習の要諦」を、時系列的に簡潔に述べてみることにします。エデュコが掲げる「勉強上手になろう!」は、点数評価ではなく、具体的な作業力の改善を目指すことですから、仮に「躓き」の様子が見られるなら、下記のようなポイントを再認識することをお勧めいたします。
では、きちんとクリアしていきたい項目を、ハードルにたとえて確認してみましょう。
① 第1のハードル…線分図(和と差、分配)
「真に有用な図を書けていない」
…中学受験学習において不可欠ともいえる作図は、4年生時の線分図から始まります。数量の和と差、倍数関係を見える形にしてその有用性を感じられる作業にこだわりましょう。数の大小・量の多少を意識して、より正確な図にすることです。等しい数値は等しい長さにして書かなければ、和と差の関係、倍数の関係などを捉えることはできません。
② 第2のハードル…約数・倍数(素数と合成数)
「理解したつもりでも、実際の問題で正答に辿り着けない」
…子どもたちにとってはやや難解な事柄になりますが、素数の掛け合わせで合成数が成り立っていることに気づいていない子が多いようです。つまり、例えば、最大公約数はこうやって、最小公倍数はこうやって…、という「やり方」を真似することはできても、原理的な理解が伴っていない場合が多いといえます。素因数分解を丁寧にして、最大公約数・最小公倍数の連除法の仕組みの理解にこだわりましょう。担当講師をしっかり味方につけてください(質問ですね)。
③ 第3のハードル…三角形の面積(垂直関係の2辺の意味を知らない)
「公式は知っていても、底辺が「下」、高さが「下から上の方向」でないとわからない」
…そもそも面積は、単位面積となる正方形を出発点としています。多角形の面積は「単位面積の何個分?」となるのですが、垂直関係の2辺から導く面積ルールを意識することなく、隣り合う辺の長さを平気で掛け合わせたりしてしまいます。直角記号にこだわる意識を強く持たせてください。「公式」よりも「垂直関係の発見」を心がけましょう。そのためにエデュコは、自分で作図するスタイルを推奨しています。
④ 第4のハードル…割合(売買損益・食塩水)
「(小さな数)÷(大きな数)=(小数・分数)を倍数とは思えない。」
…「~倍」といえば、大きくエキスパンドする印象を伴っているのが実際でしょう。さすがにこれは、慣れてもらう以外にありません。「~倍は小さくなる場合も含まれる」という経験を積ませましょう。つまり、エデュコがお勧めする、小数・分数を扱う計算教材で感覚を磨いてください。
また「抽象化された割合」と「具体的な数」の混合を整理できない、という「躓き」も多く見受けられます。この二つの数値を区別するために、割合数字には「倍数記号」をつけることを習慣にしましょう。
⑤ 第5のハードル…速さ(進行図・グラフ)
「速さの3公式は知っているのに、解けない」
…多角形の面積と同様に、単純な公式にあてはまる問題はないのが実態です。よく見受けられる「比例・反比例の簡便図」だけ示しても答えにはたどり着けないでしょう。問題文に示されたストーリーをしっかりくみ取ることが不可欠です。
そのためには、ストーリーを形にする「進行図」「グラフ」をより正確に描くことを心がけましょう。この効果は、ただ正確な問題把握に止まらず、「解法の糸口」に気づくことができるものです。授業の「(時系列記号を含む)実践的な作図の要領」を習得してください。
⑥ 第6のハードル…比(比をそろえる)
「どうすれば『比』をそろえられるかわからない」
…わからないから、とりあえず図や表を作成します。そうしてはじめて、比のそろえどころに気づかされます。和が一定、差が一定、どれかが共通、どれかとどれかの割合指示など、図や表にして比のそろえどころに気づくことになるでしょう。
⑦ 第7のハードル…比の応用(速さと比・図形と比)
「抽象的な比と具体的な数のすり合わせができない」
…これも第4のハードル(割合)と同様、解法記述に「比記号」が見られず、混乱していることが原因と言えます。一般的な解説書の式などには比記号などは書き込まれていませんから、「分からないまま物まねだけをしている」ノートを多く見受けます。進行図や図形の各辺に比記号を書き入れる習慣をつけましょう。つまり授業流です。
⑧ 第8のハードル…図形の移動・点の移動(直線的な移動と回転移動)
「図を書いても答えられない」
…最も多いケースは、図が正確でないことです。移動あるいは回転途中の図、結果の図、というように、「動き」を意識してください。正確な図を描いたうえで、規則を発見してグラフ化できたり、周期に気づいたりできるものです。
⑨ 第9のハードル…場合の数(場合分け)
「順列・組み合わせの違いは分かっていても、正答に至らない」
…中学受験の「場合の数」問題は、結構間違いやすいものです。単純な順列公式、組み合わせ公式で処理できる問題は皆無と言っていいでしょう。公式を理解・暗記する力ではなく、具体的な「場合分け」の思考を伴わない限り、問題解決にはつながりません。さらには、その場合分けも漏れのないように規則的に行うことを求められます。
まず具体的な場合分けで「調べ」を行い、理論で計算を完成させる手順を心がけてください。
以上、子どもたちが「躓き」がちな、主な個所をあげてみました。いずれも、当たり前なことですが、実践は簡単ではないように感じられることでしょう。
決して難しくはありません。「改善記録ノート」で授業解法を忠実に「再現」することで、上記のような解答スキルが自然に身につくと確信しています。「もう1回やったらできた!」ではなく、「その考え方分かった。その解き方再現できる!」と言えるようになることを狙いにしています。
いわゆる「演繹法(公式化された論を具体例へ適用)」ではなく、具体的な調べから規則・解法を見出す「帰納法(具体例から公式の意味理解)」的な学習で、子どもたちに「自信」を獲得させたいというのがエデュコ流です。