oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

ビジネスにおける「中道」

2005-12-11 | 消費文化
先日、『「輪」という概念』で紹介した起業家、Tom Chapellさん(写真左)。自然原料のみを使用する歯磨き粉、石鹸、シャンプーなどを製造・販売する会社(1970年創業)のCEOであるChapellさん。彼が「輪」という概念を重んじるように、企業と社会の利益は一致するべき、というのが彼の考え。だからこそ、動物実験をしない、子どもを持つ従業員が、男女を問わず、働きやすい環境を整える、売り上げの10%を、環境保護団体をはじめとする非営利団体に寄付する、顧客と同じように従業員に対しても尊敬と感謝の念を持って接するなど、既存の企業文化の価値観を覆すビジネス環境を築いてきたようです。

Chapellさんは、会社を起業して20年近くたってから、神学を学ぶためにハーブァード大学大学院に進学した変り種。普通だったらMBAとかですよね?ちなみに、学士号は英文学で取得。元々聖公会(日本では立教大学)の会員であり信心深いChapellさんは、「ニュー・エイジ(New Age)」と呼ばれる一種の宗教運動の影響を受けているように思われます。ニュー・エイジについて、わたしはあやふやな知識しかないのですが、特定の聖典や中枢組織、会員、牧師や教義、宗派などを持たず、 よって、特定のどの宗教にも当てはまらない宗教運動のようです。つまり、自分の価値観にあえば、どの宗派や宗教の教義を取り入れてもいいようです。アメリカでこの運動が始まったのは1970年代?よく知りませんが。

Chapellさんは、企業と公共の利益を同時に追求するための手段として、「中道(Middle Way)」という行動理念を仏教から取り入れています。中道とは、お互い相容れない価値観(仏教の場合は般若と慈悲)を分けている線のこと。Chapellさんにとってビジネスとは、個人の金儲けのために商売をするのか、それとも公共の利益のためだけに商売をするのか、という二者択一ではなく、両方を同時にやること。それを実行することがむずかしいことは本人も認めており、試行錯誤してきたようです。

客にはぺこぺこするけど、従業員には尊大に構える経営者。「客へのサービス」という名目の下に、過剰包装、過剰冷房・暖房をする日本のデパート。ビジネスにおける「中道」とは何かを考えてみる時期に来ているようですね。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
従業員あっての (蘭丸)
2005-12-11 14:01:10
会社ですよね。

朝早くから夜遅くまで

年中無休で営業しているお店をみると

従業員の生活はどうなってるんだろう?って思います。

社会にも消費者にも従業員にも優しい会社、

日本でも増えていくと良いなって思います。
「輪」の精神で (しんのすけ)
2005-12-11 14:41:50
客のためなら従業員はどうでも、などという「二項対立」の考え方は、改めたいですね。
中道、、、なるほどぉ (平和@へぽい)
2006-01-24 19:34:34
 どちらかではなく、同時に両方。『両方をバランスよく進める』とは、また少し意味が違うようにも感じますね>,< 両方を織り交ぜるような、第三の選択、、、とも違うような、、、。

 本当に難しそうなことのように感じますが、『共存共栄、思いやり』な社会を実現する基本的な形のように感じました。
中道 (しんのすけ)
2006-01-25 10:02:04
両方を50%ずつではなく、両方とも100%やるって感じみたいですよ。もちろん、簡単ではないでしょうけどね・・・。

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