Progress

日々一歩ずつ前に進むために書き綴ろう…。自分の中のちょっとした変化を大切に…。

山折哲雄氏講演会『日本人のこころ』

2008-06-11 04:18:33 | 日記





昨日は、学校法人『慶應義塾』の社会人教育機関である慶應丸の内シティキャン
パスが実施している、サテライト通信の定例講演会”夕学五十講”に出席しまし
た。

今回は…山折哲雄氏(宗教学者)『日本人のこころ』


内容のポイントを要約すると…

●前畑秀子の時代は、”母””死””神様”という3つのキーワードを大切にし
 てきたが、今のオリンピック出場選手の心の支えとなる言葉は”自分らしさ”
 ”楽しさ””笑顔”
 ⇒70年の間にこれだけの価値観の変化が起こったことはショック。
  ただ、現代も厳しい練習の中で、”母””死””神様”を想起する場面があっ
  たのかも…と考えると、その3つのキーワードが言うことをためらう状況に
  なっていることが問題であり、日本の社会、マスコミ、大人が心の奥に耳を
  傾けることをしてこなかったのではないだろうか。

●極悪犯罪への極刑主義の声が高まっているが、日本人は本来、もう少し寛容だっ
 たはずである。そのことが失われてきていることに危機感を感ずる。

●”鬱”の時代へとなっている今の日本は、漠然とした殺意の蓄積が行われてき
 ている 
 ⇒その背景的問題として
  ①高齢化社会
   …長年かけて”人生50年”の人生モデルを確立してきたが(一言で言えば
    ”死生観”)、ここ数十年で急激に、”老い””病”の問題が入り込ん
    できた。
    また、それとともに、死の問題が心から離れつつある。
  ②人間関係がグラグラしてきた
   …横並び水平軸の関係だけでなく、師弟などの垂直軸の関係などを確立す
    るなど、縦横の人間関係を重視してきたものが、いつの間にか、平等主
    義により崩壊してきた。

●今の社会は”個”を重視する風潮
 ⇒そこには”個(人)”という輸入語を受容し、近代ヨーロッパの文脈の中で
  しか捉えてこなかった現実があり、日本の歴史の中で照らし合わせることを
  しなかったことが問題。
  日本には”ひとり”という言葉を多義的に捉える伝統があり、改めてそのこ
  とに立ち返って考えていくべきである。


”ひとり”という多義的な言葉を捉え直す…そのことによって、一神教による神
との垂直構造によって確立されてきた、近代ヨーロッパの”個人主義”にはない、
日本の構造が浮き彫りになってくるように思います。

例えば、

 ・集団主義・共同体を重視している
 ・忍耐心の原点に湿度との戦いが横たわっている
 ・宇宙、自然を征服するのではなく、対峙し調和する

など…。

そのような土壌に根ざした日本人の心を取り戻しながら、今の個の尊重の問題を
捉え直すべきですが、そのための一歩として事物、心の変化を”聴く”姿勢を大
事にしていかなければならないのかもしれません…。

Chabo!(チャボ)- 本で、もっと、世界にいいこと。

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
東京にいらしていたんですか? (風待人)
2008-06-16 12:46:52
とても、興味深いお話だったようですね!

”夕学五十講”について、調べてみましたら…

気になる方々のお話が予定されていました。

機会があったら、私も参加してみたいと想いました。

またお目にかかれたら、コロン様とお話させてくださいね!
返信する