昨日は、学校法人『慶應義塾』の社会人教育機関である慶應丸の内シティキャン
パスが実施している、サテライト通信の定例講演会”夕学五十講”に出席しまし
た。
今回は…山折哲雄氏(宗教学者)『日本人のこころ』
内容のポイントを要約すると…
●前畑秀子の時代は、”母””死””神様”という3つのキーワードを大切にし
てきたが、今のオリンピック出場選手の心の支えとなる言葉は”自分らしさ”
”楽しさ””笑顔”
⇒70年の間にこれだけの価値観の変化が起こったことはショック。
ただ、現代も厳しい練習の中で、”母””死””神様”を想起する場面があっ
たのかも…と考えると、その3つのキーワードが言うことをためらう状況に
なっていることが問題であり、日本の社会、マスコミ、大人が心の奥に耳を
傾けることをしてこなかったのではないだろうか。
●極悪犯罪への極刑主義の声が高まっているが、日本人は本来、もう少し寛容だっ
たはずである。そのことが失われてきていることに危機感を感ずる。
●”鬱”の時代へとなっている今の日本は、漠然とした殺意の蓄積が行われてき
ている
⇒その背景的問題として
①高齢化社会
…長年かけて”人生50年”の人生モデルを確立してきたが(一言で言えば
”死生観”)、ここ数十年で急激に、”老い””病”の問題が入り込ん
できた。
また、それとともに、死の問題が心から離れつつある。
②人間関係がグラグラしてきた
…横並び水平軸の関係だけでなく、師弟などの垂直軸の関係などを確立す
るなど、縦横の人間関係を重視してきたものが、いつの間にか、平等主
義により崩壊してきた。
●今の社会は”個”を重視する風潮
⇒そこには”個(人)”という輸入語を受容し、近代ヨーロッパの文脈の中で
しか捉えてこなかった現実があり、日本の歴史の中で照らし合わせることを
しなかったことが問題。
日本には”ひとり”という言葉を多義的に捉える伝統があり、改めてそのこ
とに立ち返って考えていくべきである。
”ひとり”という多義的な言葉を捉え直す…そのことによって、一神教による神
との垂直構造によって確立されてきた、近代ヨーロッパの”個人主義”にはない、
日本の構造が浮き彫りになってくるように思います。
例えば、
・集団主義・共同体を重視している
・忍耐心の原点に湿度との戦いが横たわっている
・宇宙、自然を征服するのではなく、対峙し調和する
など…。
そのような土壌に根ざした日本人の心を取り戻しながら、今の個の尊重の問題を
捉え直すべきですが、そのための一歩として事物、心の変化を”聴く”姿勢を大
事にしていかなければならないのかもしれません…。
”夕学五十講”について、調べてみましたら…
気になる方々のお話が予定されていました。
機会があったら、私も参加してみたいと想いました。
またお目にかかれたら、コロン様とお話させてくださいね!