昨日、8月25日に岩波書店から「ルポ職場流産~雇用崩壊後の妊娠・出産・育児」が無事に発刊されました。テーマ設定から3年。まさに産みの苦しみを味わいましたが、女性の働き方の問題だけでなく、社会全体の在り方を問うような内容として問題提起できるものとなったと思います。
働きながら産み育てる、そして、それを支える人、その両面を追っています。
社会の持続可能性にかかわる問題を改めて考える時にきているのではないかと思います。
http://www.iwanami.co.jp/shinkan/index.html
まえがき
I
第1章 生きるすべを失う――妊娠解雇
この子を殺したくない/権利が守られにくい女性非正社員/誰の「都合」なのか/「会社は責任もてないよ」/妊娠解雇を避けようと職場流産に/
第2章 雇用崩壊が生む悲劇――職場流産
深刻な現実/流産とはどのようなものなのか/家族を覆う悲しみ/無法地帯のような母性保護/労働負担が妊婦を襲う/職場流産の実態/キャリアのステップアップと重なる妊娠適齢期/寒空のもとで/不足する妊娠に関する情報/妊娠中の仕事でつらいこと/正しいWLBにむけて
第3章 子どもか,仕事か――迫られる選択
子をもつ世帯の厳しい家計/育児の苦労、仕事を失う危険/保育制度の矛盾/不育症と診断されて/育児休業切り/キャリアの道に立ちはだかる育児/犠牲になる「女性の雇用」/「夫の転勤」という問題/「女性が長く勤める」ことを前提とした企業戦略を/仕事と育児に加えて、さらには介護も/男性の育児退社
Ⅱ
第4章 悲劇の舞台裏――職場流産の背景と周産期医療の現実
ふたつの「事件」/急変しやすい妊婦/NICUが足りない/ドクターヘリを乗り継いで/見えない糸が守った命/医師と開業助産師の確執/急ピッチで進む対策/助産師の役割/助産師と医療の連携/地域でお産を支える/“まちの産科”の危機/助産師・看護師の労働実態/お産の場で起きる「職場流産」
第5章 いのちを預かる重み――保育所が抱える問題
国の政策にひそむ落とし穴/公立保育所の運営費と保育士の賃金/生活のために辞めざるを得ない現実/「官から民へ」がもたらしたもの/保育所運営の難しさ/学童も限界
Ⅲ
第6章 「支える人」を支える
Ⅲ部のねらい/見過ごされがちな看護師の働き方/病院自ら労働環境の改善へ/ライフステージの変化に合わせて/特徴ある病院作り/地域での医療連携/助産師と産科医によるチーム医療/介護師の職場環境を守る経営/ワーク・ライフ・バランスとケアの質の両立/保育の理念を大切に/余裕のない家庭を支える認可外保育所
第7章 ワーク・ライフ・バランスを実現する職場
イメージばかりが先行するワーク・ライフ・バランス/社員を大切にすることが顧客を大切にすることに/仕事のなかで子育て/ハンディを抱えた労働者をビジネスパートナーに/経営者と働く人の意識改革を/時間外正社員という選択肢/真の経営者は“血の通った関係”を築く/労使双方のメリットを
終 章 働き方,社会のあり方を問う
崩壊寸前のセーフティネット/医療労働を守るための財源確保/地域によりどころを作ることが医療費削減に/少子化の解決のために女性が働きやすい環境を/良いお産のために必要なこと/必要となる妊婦のメンタルケア/子どもができることを喜び合える社会へ
あとがき
コラム
働き方と妊娠・出産異常
死産や流産の定義
妊娠のメカニズム
見落とされやすい月経トラブル
妊産婦死亡