銭湯OL日誌~銭湯ガイドマイスターへの道~

お風呂。特に銭湯が好きです。現在「銭湯検定3級」を持ち、次回の2級に向けて勉強中。【関連】銭湯OL、銭湯、銭湯検定、

【東京銭湯】三河島 帝国湯

2017-07-23 04:26:31 | 銭湯レポート
〜故早川絵師様のペンキ絵の気迫と共存する、入り口から脱衣所の並々ならぬマイナスイオン〜 

ペンキ絵、立派な格天井、立派な破風・・・これらが揃っている銭湯は、レトロ銭湯と呼ばれる事が多く、その様な銭湯には多くの人が懐かしさを感じます。

帝国湯さんは実は、そのレトロ銭湯の域を超えて、
愛おしい、優しい・・そんな気持ちがこみ上げてくる銭湯です。

今回、取材の同行(ナビゲータ)をして許可をいただけたので写真と共にご紹介させていただきます。


〜早川絵師さんの絵を愛する気持ち〜
女将さんは故早川絵師さんのペンキ絵が大好きだそうです。
といっても個人的愛着だけではなく、そのペンキ絵の大事さをちゃんとご存知である女将さん。

ちゃんと劣化防止の加工を施したそう。今時点でも多少の剥がれはあるけれども、今より著しい劣化は免れる事ができる状態になっています。さすが。

「うちのペンキ絵には、にんじんロケットがあるのよ」
富士の峰等を一緒に眺めた後、ちょっと嬉しそうだった女将さん。
どうやら女将さんが「女湯は子供とくるお母さんもいるから、何か泣き止める様なかわいいものを入れてる事は可能でしょうか?」とご相談したそう。
早川絵師さんとの関係値がお伺いできるお話ですね。
実は銭湯マニア内では、この帝国湯さんの「にんじんに乗ったウサギが富士山付近を飛ぶ」ビジュアルがレアなので愛されています。
でもこんな思い出がちゃんとあるパーツなら、もっと好きになってしまいます。

他にも美術的パーツで言うと、ペンキ絵下の鯉タイルも鮮やかです。

男湯脱衣所には鯉も泳いでいるから、余計空間としての統一感を感じちゃいますね。
それに小さな富士山溶岩や岩が、浴槽に沿う様に山になってお湯がコポコポ出ているのも浴槽から鯉タイルそしてペンキ絵への続く景観をより引き立てています。
なんかもうこれ以上ってないですね。


〜浴槽から見上げるは富士山と日差しと緑と〜
早速ペンキ絵から続いて浴槽のお話をします。帝国湯さんのお湯は薪で沸かした柔らかいお湯。

温度は熱湯と言われる事もある帝国湯さんですが、薬湯の浴槽は結構ぬるめ。
夜に行くと結構なぬるさです。でも女将さん自身も「1つの浴槽はぬるくするのは仕方ないよね」との事。(熱湯の浴槽は薄めないほうがいいと思います。)
なので初めての方も安心してお越し下さい!


〜女将が手入れをする、野鳥も愛する庭園〜
さてここまで記載した早川絵師さんのペンキ絵のある浴室も素晴しいのですが、
タイトルにある様に帝国湯さんはペンキ絵以外の空間創りも抜群に素晴しいです。

まず、お庭。お話を聞く迄知らなかったです・・・この庭園が女将さんが全て手入れされている事を。

いつも季節の花々が咲き誇り、緑は綺麗に整理されている。これはどれだけの庭師さんを入れているのだろう、と思った事が情けない位です。
開店前は夏は開け放った窓際に野鳥がくるそうです。
「動物も ここだけは安全ってわかっているみたい」
それはすごく納得でした。

ちなみに女将様は写真がご趣味みたいで、ちゃんと季節の花々の様子をプリントされています。たまに趣味のお写真を飾る浴場さんもあるので、是非飾って欲しいと話したら、笑われてしまいました。
今生きている自然が、手入れされている自然が目の前にある、今をちゃんと見つめる事でも十分なのかもしれないと心の中で反省。

ちなみに男湯の縁側は1辺多く、鯉がいる事も判明。

縁側の広さに対応して調度と呼びたくなる様な木のテーブルと椅子も発見。
ん〜、一度観てしまうと 男湯がうらやましすぎる・・と思って女湯に行くと、それはそれで美しいから躍起にはなりません笑。
多分、帝国湯のお庭が「量」では勝負していないからかな。


〜窓と日差しに惚れるなんてさ〜
あと、私は帝国湯さんの脱衣所の天井の窓が大好きです。ここから入る日差しが。

初めて訪れた時、慌ただしく服を畳んでいたら「ハッ」としたんです。
すごく天気が良い訳でも無い日なのに、窓から日差しが柔らかに差していたんです。
しかもフレームは木枠。そしてちょっと複雑な木枠は古風な洒落さを出していました。

そして更に、縁側の戸のガラスも細かい縁取りが有るガラスだったりして。

女将様の庭園がより優しく見えるのは、最後にこの窓の演出があるからなんだな・・と思うとため息ものです。
この窓、限られた職人さんじゃないと直せないそうです。この間のひょうが降った際、大丈夫だったでしょうか。。。

思い切ってフレームだけは金属にしているレトロ銭湯も多いなか、
ちゃんと職人さんを探し、この姿を保っている帝国湯さん。
これもまた益々この窓から入る日差しが愛おしくなってしまうではないですか。


***帝国湯さんは、ペンキ絵にしても、脱衣所にしても、入り口にしても、とにかく全部を愛しすぎています。
もちろん他の浴場さんもそうなのだけど、少しでも受け継いだ創りを生かそうとする意識が高くって、だからこんなに愛おしくなる空間なのだと納得しました。


*番台式
*ケロリン桶あり
*ドライヤーは御釜式



やすこ。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
帝国湯 (あひる隊長)
2017-07-26 14:44:56
ここはまず暖簾が立派です
鯉は『客が来い』と言う、縁起担ぎで銭湯では結構あります
熱~い風呂上がりに、ラムネ片手に外へ。灰皿もあり、喫煙者の私にはとても嬉しいです😁
近くには雲翠泉もおすすめです
昨日行きました (川口博冨)
2017-07-29 17:18:15
昨日行きました。ひと月に2回ほど行きます。上がった後はいつもの華花で、韓国風料理(湯豆腐、センマイ、あさり)とホッピーです。
実は、帝国湯は普段運営しているご夫婦の奥さんが、1月に亡くなりました。働き者の奥さんで、数年前に庭のLED照明がつく前は、雨・風の日以外は灯篭に毎晩灯明を入れてくれていました。素晴らしい光景でした。旦那さんは最近になってやっと元気になりました。番台の女将さんはオーナーです。
この場所を借りた斎藤湯の「ながし」さんのビデオが現在でもYoutubeで見れます。Last Sansukeとかいうタイトルです。
Re:帝国湯 (sentou-yasuko)
2017-07-30 14:35:39
あひる隊長さま
コメントありがとうございます!
私もあの大判の暖簾が大好きです。天気がいい日は気持ちよくなびいていますよね。先代の旦那様の書とお伺いしました。
雲翠泉さんはまだ1度しか訪れていません。また近々お伺いしたいです。このあたりは本当に良い銭湯が集まっているんですね。しみじみします。。
やすこ。
Re:昨日行きました (sentou-yasuko)
2017-08-03 22:24:09
川口様

ご無沙汰しております!コメントいただき、ありがとうございます。

近くに中華の美味しいお店があるんですね!私は近所の大学芋屋さんに寄ってそのまま帰宅が多いのですが笑、是非是非行ってみたいです^^

そして旦那様、、夜いらっしゃる方ですね。そうとは知らずでございました。私の印象では、いつも明るくて、優しくて、、近しい川口様だからこそ知りうるお話ですね。

川口様のお話聞いたら、また帝国湯に行きたくなってきました。月2回、もし偶然にもお会いできたら、私も中華に行きたいです笑。

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