SEポートランド

ポートランド、川をわたればSE地区
レンガのアパート、ちいさな家、古着屋とカフェ
人・建物・緑がほどよく混ざる街

理想の駅前を探して(付記)

2017-05-27 23:19:09 | 雑記
ちょうど昨日の記事を書いていたころ、ポートランドの電車で悲しい事件が起こりました。(注)ぼくが乗ったときとは反対の方向、反対のできごと。

ヒジャブの女子高生を守って亡くなられた方は、ヒゲのお兄さん、ツルツル短髪の若いおじさん。いずれも当市にたくさんいそうな、優しく正義感の強そうな人たち。

人生とは、どこから来たのか? じゃなくて、何をしてるか? なんだね。


注:昨日(金曜日)は、ホームレスネスのテント村ひっこり手伝いでバールを振り回し、本日(土曜日)は、コミュニティ果樹プロジェクトの農園で、猫車を押して過ごしていました。重大ニュースに気づいたのは、夕食後でした。

理想の駅前をさがして -part3

2017-05-26 17:54:20 | まちなみの由来
BLXカフェからの帰り道、ひとりMAXに乗ってSE43rdのアパートまで戻った。

帰りの電車は、ちょうど学校あがりの時間。
路面電車からバーンサイド・ストリート沿いが見える。とおりの真ん中に路面電車が走っているので、車窓風景は1車線とその向こうの家並みだけ。北米のスケールじゃないね。(僕は楽しいけど、この楽しさに気づく現地の人は少なそうだ?)
その歩道を行き来する子供・親・大人。これって「歩道のバレエ」なんじゃないかな。
高くも安くもなさそうな賃貸住宅、いまのところアメリカ的には十分安い=あんまり値上がりしそうも無い、んだけど。

電車は西に進む。

両手いっぱい食品・牛乳・ジュースをぶら下げた若者3人(西洋人女1、男2)が二駅のって降りていった(※解説)

20代の東洋人女性2人がぼくの席の後ろに乗ってくる。中国語?韓国語?かと思って聞き耳を立てると、モンゴル語かなにか中央アジアの言葉で談笑してる。

次の駅では、小学校3年生ぐらいの目がキラキラした黒人の女の子、お母さん、おばさんの3人連れ。
お母さんは、ぼくが市内で電車おりるまでピンと背筋を伸ばして娘さんの話を聞いている。まったく太ってはいないのだが、おしりが大きい体系のお母さんの背中は、ぼくが乗っている間は一度も背もたれに付かなかった。そして女の子は、そんな凛としたお母さんの目をまっすぐ見つめながら、真っ白な自分の歯について、おおきなハンバーガーについて、学校について…楽しそうに、そして母から期待されているとおりに理論整然と話をする。

100thをはるかに超えたポートランド東の果ては、ロサンゼルスでSojaが描いたような多民族の、付加価値があまり高くなさそうなサービス業or製造業の、そしてきっと新移民の街なみ。
ここまで来ると、月100ドルで乗り放題の路面電車は、いろんな人の生活を運ぶようになって「人にやさしいポートランド」の本領発揮だ。
よく晴れた今日の夕方、ここに住んで電車に乗る人たちは楽しそう。それが何年か何十年かそれが続いて、みんなが気づくころにはSmart Growthが当地に根付くのかもしれない。

そんなことを考えながら、高架橋むきだしのコンクリートの下にあるHollywood駅で電車をおり急な階段をあがって、すし屋とフィットネスクラブだけが入っている駅ビル(=金持ち以外は来るな)のまえでバスに乗り換えた。
ぼくの家族と、優しくて優雅な隣人たちが住む、すてきな街に戻るまで、もう少しの辛抱だ。


※解説
うらぶれた自転車でもなく、もちろん自動車でもなく、路面電車で食品を買いにいく人をはじめてみました! これなら雨の日でも、風の日でも楽しく買い物できるね。ありがとうTrimetのなかのひと。

理想の駅前をさがして -part2

2017-05-26 17:46:44 | まちなみの由来


前記事のつづき

ホクホクと自転車屋から出てくると、ヒゲのおじさんがこっちを見てる。
ポートランド風ヒゲというよりは、ちょっとやつれた感のあるおじさんで、最初は怪しい人かと思ってた。(すんませんデイビッド!)
店に入ろうとすると、はじめのうちは少し距離を置きながら、でもにこやかに声をかけてくれる。少しだけでも英会話しないと飲み物も食べ物の出てこないのはオレゴン風ですね。

まずコーヒーを頼むと「おなかすいてる?」と聞いてくる。最初は食べるつもりは無かったのだが、声をかけられたので黒キノコがのったピザのスライスを注文(コーヒーとピザで4ドル弱。安い)。店の超完璧な位置どりに感服しながら、ガラス窓から外の見える大きなテーブルでピザを食べる。※注



おいしー!!
では、すこしだけ店の紹介を、

【BLXカフェ】・・・・・・・
開店時間:朝6時~午後4時。月曜~金曜。
メニュー:コーヒー、お茶、うす焼きピザ、マフィン
場所:グレシャム・トランジットセンター駅のよこ
   ※Gresham Central Transit Center, Bike and Ride Garage 1階
    ↑ ほら、この建物に入っている段階で、超クールでしょ!!
・・・・・・・・・・・・・・

ピザを食べながらデイビッドがいるカウンターを観察していると、最初は子供3人連れの痩身白人の若いお母さん。次に、老夫婦が向かいの病院から入ってきた。最後に、今日が初来店らしき黒人のおじさん。デイビッドは「Thank you!」といったのだが、彼には一瞬聞こえなかったみたいで「What?」と問い返すと、にこやかかつ元気に「I said thank you~!」。最後は笑顔でこのおじさんも出て行った。
トイレもアメリカンで大きい。いごこちがよいと感じるのは、きっとぼくだけではないはず。

すこしデイビッドと話をした。ぼくの英語力のせいで、最初の会話は完全にすれ違ってしまったんだけど。
ぼくは、彼が都市型カフェを狙って作っていたのかと思って質問したのだが…彼の話はむしろその反対だった。
  ビールは出さない、夜は営業しない。
  月曜から金曜日
ノース・カロライナ出身の彼は、フット山にちかい長閑な(と彼が感じた)場所にカフェをつくったようだ。
都市の分極化とか、郊外電車とか、僕がミチミチ考えてることなんて全部ぶっ飛ばして、自分の店にやってくる近所の客に、だれかれとなくアメリカ風に気さくに声をかけて、接客する。空いた時間は、店の内装を仕上げて、ピザを焼く。

うんたらラテができるよりずっと前から、田舎でも、町でも、大都会でも、どんなアメリカの街角にもあったようなカフェだ。だからピザは都会の香りがするんだね。


注1
この位置どりに感服したのは、僕だけではなかったみたい。
facebookページには、同志(若いアメリカ女性)がもう一人いた。わかってるじゃん!

理想の駅前をさがして -part1

2017-05-25 20:23:51 | まちなみの由来

ポートランドは路面電車(MAX)で有名な「人にやさしい街」なはずなんだけど。東京そだちの自分としては、駅前に店舗どころかトイレもないのが物足りない。プロビデンス・スタジアムからの帰りは、静かに家に戻ってほしいみたい。
(半分ウソです。買い物は自動車で行く街だからね。郊外の商店街でも)

もちろん都市計画局も、交通局も、これじゃあまずいと知ってるはず。
カフェスタンドを作ったり(ゲートウエイTC)、西郊のほうでは「スマート・グロース」にあわせて商業施設つきのOrenco駅ちかくに高密度コンドや、Willow Creakにコミュニティカレッジのキャンパスを作ったりしている。
でもなあ、なんか「官主導」っぽいんだよね。(注1、2)
カフェスタンドにはトイレが無いし、コンドの街は映画のセットみたいに薄い(印象ではなくて形状)、徒歩距離でぎっちり開発が入れば、もう少し厚くなるはず。
いちおう専門をかじったことがあるので、これは「かりそめの(計画途上)姿」とは知っていても、駅前が街のひとちの生活に根付いていないなぁ、と感じる。


電車から降りた「街のひと」をうれしそうに待ち構える店。
これは伝統ある電車の街NYあたりじゃないとダメみたい。トイレは無いけど店があるだけマシ。ベイエリアだって、SFかイーストベイのダウンタウン(世紀末までに開発された?)を出て一駅、サウス・バークレーの駅前には思いっきり空き地が広がっている。そういえば、イーストベイのBART直結ショッピングセンターはどうなっちゃったんだろう。。。(注3)

・・・・

そんな駅前あるかな? と思い立ち、先日はMAXを東の果てまで乗ってみた。
よく道をとおる102丁目のあたりは、スマートなコンドが建っているし、バルコニーにはおされ自転車が置いてあるから、ちょっと雰囲気はある。でも商店がない。グロサリーすらない。このすぐ裏には、大きなショッピングセンターがあるからお、みんなそちらで買い物するんだろう。
もっと東へ。
180丁目ぐらい、ポートランド都市圏(オレゴン州法)のほぼ最果てに近づくと…あった! 駅横の交差点に、中華料理屋とメキシコ料理屋。終点グレシャムに近づくと、小さめのビッグボックスがならぶSCが駅から見える場所に。その周りには、線路から導線が見えてしまうようなアパート群が建っている。
ちなみに、線路建設前からバーンサイド沿いに建っていたであろう1970年代風の戸建ては、屋根の低いガレージつきの安価そうな郊外住宅。これはMaxの西側でも同じ光景だが、自動車が発達して以降は、大通り沿い、交通至便な場所のほうが格下、アメリカ人の大好きな丘べは高級、ということみたい。なんか名古屋郊外の車窓風景みたいだ。

最後に、グレシャムTCで電車を降りた。
駅前にはバス停と、自転車置き場。その中に、自転車やとカフェ!!があった。

まずは(仕事ですからコレ!)自転車屋を見る。
中に並んでいるのは、すぐ壊れるTARGET(車もってない人が乗る)よりも高くて、すぐ盗まれる市内の(お金あまってる人が風流の一環で買う)自転車屋より安い自転車。300ドル台の台湾製バイクが、全サイズおもいっきりならんでいる。そうか、これに乗って駅に通うんだね。っていうリアルな生活観。
少し楽しい気分になって出てくると、ひげのおじさんに声をかけられる。
(づづく)


注1
※2006年に初訪のときには、もう少しMAXの周りに店があったように記憶している。カスケードプラザ(道路を渡ったスタバ)や、ゲートウエイTCなど。いまでは、残念ながらほとんどの店がMAX側の入り口を閉鎖しているみたい(調査の必要あり)

注2
「スマートグロース反対」っていう書籍をなぜかgoodwillで手に入れた。読んだら書き足します。

注3
SFの日本語掲示板をみてたら、Targetまでどうやって歩いていく? っていうスレがあった。Bayfair SCは、キーテナントがデパート(Marshall?)からターゲットに変わっても、いまもまあ元気みたい。さすが大都市。



(雑記メモ)
・Bike Score, Walk Score みたいに Station Score があってもいいのにね。作るか。
・SORは、駅カフェ+トイレやるといいんじゃないかな?
・次記事、いちばんのカフェ(Gresham TC)、次点はAVA Roasteria(Orenco)こっちはチェーン店みたいだけど

まるバツバツバツ補足

2017-05-25 13:18:00 | 雑記

 

先日の記事について、補足

Sisters of the Road の説明会でのちょっとした違和感について記す;
(忘れないよう、早めに書いていますので、少々毒気が出てしまっているかもしれない。活動自体は120%応援しています)


結論から書くと、団体の人手はかなり足りている。

すばらしく組織化された団体という印象は、その後も変わらない。
ボラ説明会の担当お姉さんも、その後のパフォーマンスを評価されるのだろう。
こうやって選別された説得力のある人材が、外部広報チームとしてぼくたちの小学校にやって来たのだと思う。


団体が、ここまで人をひきつけるのはなぜか?

通りひとつ隔てれば、高級店がならぶ再開発地区。
その店とまったっく同じに作られた(同級生ですから)クラシック・ホテルの一階にあるSORカフェもまた、労働力=人の働きかたを高価にみせるコージーなつくりだ。すし屋とかと一緒だ。
そして、狙っているワケじゃあないだろうけど、ブログ向けの、オサレでおいしそうな食事。活動の写真をみると、だれだって、このコージーな場所に参加してみたい、と思うはず。
発足当初は違ったかもしれないけど。この10年弱、SORの活動は少なくとも視覚的にはジェントル化している。
「どうせボラするんだったら、ゴージャスなほうがいいじゃない?」
そうやって、つぎつぎと社交的な若者がたくさんやって来たのだろう。
自分の才覚を発揮すれば、クラシック・ホテルの階段のうえにある部屋にはいって、より本格的な社会奉仕活動だってできるんだし。


でも、なぜもっと人手が必要なのか?
説明を注意深く思い起こしていくと、人手が必要なのは、もともとホームレス=主要なカフェの参加者の労働力を前提として廻っているカフェチームではない。むしろ、その他の活動なんだろう。
そう考えていくと、SOR焦眉の活動は、食べることよりも、ほかの生活支援。
とりわけ、水周りが問題となっているようだ。
小学校の説明会から始まって、先週のボラ説明会でも、水周りへと向かう道筋が用意されていた。
最初の仕事は、ホールの案内、皿洗いなど厨房、そしてトイレお世話係(荷物をもってトイレに入らないようにする、5分以上使っている人がいたら声をかける、使った後の確認。そういえば、この仕事の説明だけ詳細だった!!)    

無料カフェには無料トイレ。全国どこのコンビニでも公園でもデパートでも、清潔なトイレが用意されているぼくたちには少々想像が付かない。でも、NYでもパリでもいったことのある人は、都市のトイレが大問題だっていうことは、知っているかと。じゃあなきゃ、あれだけスタバは流行らないだろう。
ごー

食べ物があふれている時代。
その気になれば、入り口=食べ物のシェアはわりと簡単かもしれない。もちろん、それはゴールデン・テンプルのカレーぐらいに崇高なことだけど。
東郊にあるモールから高速へのランプ。ぼくの一台手前の車が信号で止まる。いつもどおりホームレスが看板を持って近づいてくると、おばさんは笑顔で声をかけながらパン一斤をどん、と相手に持たせる。さっきまでのショッピングの延長のように自然だ。安くはなさそうなSUVにのって、金髪の若きおばさんは、自分ちの買い物と一緒に、いつもホームレスの分のパンを買うぐらい、筋金入りの「シェア」精神で生きているんだろう。

うんちはあふれても困るから、出口のシェアのほうが、ずっと難しい。
「全米一すみたいまち」だそうなこのポートランドでも路面電車の郊外駅では、うっすらと小便のにおいがするときがある。もちろん、誰だってそんな体験をしたくないから、高級自転車の人はなるべく電車に乗らないようにしているんだろう。それは、ブリュッセルや名古屋よりも、カルカッタにずっとにている。(カルカッタとポートランドの人ごめんなさい!)
便所のない街を、どんなにきれいにペイントしても、少なくともぼくはあんまり楽しくないなぁ。と、SW60丁目駅を降りるとき、よく日本で紹介されている「全米一すみたいまち」の写真を思い浮かべながら、と思った。ゴアはあんまり好きでないタイプです。