SEポートランド

ポートランド、川をわたればSE地区
レンガのアパート、ちいさな家、古着屋とカフェ
人・建物・緑がほどよく混ざる街

全米(以下略)ポートランドにいるおばけ -追記

2017-07-16 13:29:32 | 雑記
短髪のお姉さんたちのおばけが楽しげに食べていたドーナッツについて記す。
それは、ぼくが少しだけ鳥居の穴を掘った朝のできごと。

フォトジェニックな農場横にある食堂でコーヒーを飲む間もなく、ぼくは「天命」というよりは、日本的しがらみ、もしくは空気感にひっぱられて穴を掘ることになった。岡山の神主さん、信太郎さんは、もう一週間ちかく穴を掘り続けている。だから今日もかれの気持ちは清々として作業に向かっていたのだった。
にこやかなマットから道具を受け取り、ふたりでベイスギ林のなかの農場への入り口の現場へと急斜面の道を登っていく(そしていま、そこから始まる出会いを振り返ってみると、それこそが天命だったと知る)。

ぼくはまだ農場に思いが残っていた。イベント週間、一回ぐらいはガーデニングしてもいいんじゃない? って。

未練がましい気持ちが残っているぼくは、飲み残しのコーヒーを取りに食堂に戻る。まだちょっとぐらいゴージャスしてもいいじゃん? すると、机のうえに差し入れのドーナッツがある。プラスチック袋に入ったいかにもカロリーの高そうなジャンク・フードは、これから汗水かいて穴ほりする僕にはちょうど良い追加朝ごはんだった。信太郎さんに持っていこう、と思い立つ。

自分のぶんを口にくわえ食べ歩きしながら、鉢巻をまき、もうひとつのドーナッツを手に現場まで急坂を登り返す。そのときのぼくは、食堂ベンチに腰掛け、優雅にコーヒーを飲み、苦役へと向かう僕たちをほがらかに無視できる農場メンバーたちに、正直ムカついていた。
    「おれは19世紀のクーリーかはたまた金鉱労働者か」

    ・・・・

急坂の入り口までくると、お金持ちもしくは知的な雰囲気のある中年女性たち約5人ぐみと出会う。
天然風の素材感たっぷり、ドライクリーニングもしくは中性洗剤と仕上げ剤(注1)で清潔感もたっぷりのナチュラル系(これが英語で「オーガニック」か!)のやわらかい色調のアイテムを上品に組み合わせた服装、カジュアルだが農作業用ではない足元、手入れのよさそうなセミロングの髪型の彼女たちの一団だった。先頭を歩く少しだけ巻き毛のブロンド女性の第一声(高低差的にぼくを見下げながら)

    「アメリカの食べものは、いつもジャンクばっかりでごめんなさいネ」

なかなか気の利いたことを言ったつもりだったんだろうけど…
すぐにジョークとわかるように、知的で、一見やさしげに微笑みかける女性。
ぼくは、もぐもぐとドーナッツを食べながら、日本的にあいまいに微笑んだ程度だった(注:あまりにも恐ろしい追記)。


あとで光景を思い返せば返すほど、彼女の目は、急坂の高低差をはるかに超えて、哀れなものを見ていたのだ、と気づくしかない(注2)。
そして、最初にその言葉から感じたトゲは、当日のぼくのムカつきからでは無かった。
どんなに優しい人でも仕方ないねぇ。そういうのって一瞬の生理的感覚だから。おじさんが「クサイ」とやっぱ無理でしょ。そんな感じ。

    ・・・・

穴掘り人生が一段落した7月。アメリカの食文化について、少しだけネット情報を集めてみた(コレ日本でもできますよね。同僚に申し訳ないっす)。
すると、
    ・ダウンタウンの新住民は「自分たちに必要なスーパー」が近所になくて困っている。具体的事例としてはWA州バンクーバの請願運動
    ・反対に旧住民は「自分たちが買える食料品屋」が近所になくて困っている。
    ・高級料理屋の料理の分量は、なんであんなに小さいのか? というやっかみと怒り?
    ・反対にファーストフードの分量は、この20年で劇的に大きくなった。

そうか分極化とジェントリフィケーション(おされフードとそれ以外の差異化)のまっただなかに「食」がいま位置している。
どうりでホーソンのミレニアムたちは、音楽でも美術でもなくて、おされ食べ物に夢中なのか! ここが次の金鉱だね。一山当てるにはオーガニックと、写真うつりの良さが必須。

    ・・・・

食管法がまだ残っていたころ(もう形式化してたが)、輸入食品が身の回りにあふれる前、飢餓体験つきの母親に育てられたぼくには、ここで全米(略)「ホーソン食べ歩き」ブログを書く能力はない。
かわりに思い出すのは、農場でぼくが食べたドーナッツと、キャンプ場でおばけが食べたドーナッツのこと。シロップ漬け。ただひたすらに甘いドーナッツ。左記ドーナッツは、わたくしの考察において属性③となる。詳細を以下に示す;


①全米(略)のバブル都市にはやるドーナッツ屋
戦略としては、〇写真うつり、×オーガニック(だってドーナッツだもん!)、〇この20年の食べ物巨大化
これらのマーケティング的融合により生み出されたキメラ化した変形巨大ドーナッツ
ソレ食って何が楽しい?っていうフェイスブック向けのやつ。

②街角ではやるドーナッツ屋
小学校帰りの子どもがお父さん・お母さんと一緒に買いに行ってたべる。
大きくなった子どもは、またその子どもをつれて買いに行って食べる。
(※店もしくは家が運よく地上げされていない場合に限る)
当市はベイエリアみたいな都会じゃあないから、カンボジア系の店に行きたい、とは言わない。でも、残念ながら、ぼくと子どもの住むSEにはそんな店はない。だからNEか東の外れまで行かなくっちゃ。
軽くて、優しくて、甘いドーナッツ

②’フレッドメイヤーでうってる69セントのやつ
これはオマージュ。大量生産版の②だから軽くて甘いんだけど、なんか足りない。ぼくの味覚は鈍感なので、それは優しさだ、と適当に結論付けてみる。
日本のチェーン店でうってるのと同じタイプ。平均的な日本母子ならば、このドーナッツ食べてラブラブだよね。

③ターゲットで売ってるやつ
こちらも大量生産だが、最初から、軽さと優しさはあきらめている。どこまで甘くできるのか? というお菓子。その甘さとカロリー効率(Kcal/USD)はアメリカ近代科学の塊みたい。

    ・・・・

ぼくたちにはカロリーが必要だった。だからドーナッツの甘さ、とそれが含意するカロリーを喜んで食べた。これから労働だから。件の女性グループは、そんなドーナッツは決して食べないだろう。
でもきっと、おばけにはカロリーなんていう尺度は無い。だっておばけに身長はあるけど体重はないもん(注3)。だから、ただ甘いドーナッツ(カロリーなんてない)を、夜のおやつに楽しく食べたはずだ。

もう一度、現実に戻ろう。

うちの小学校に太ったお母さんは一人もいない。ほぼ白人だが、ドレッドのお母さんも、ヒスパニックっぽい褐色のお母さんも、もちろん僕らアジア人もだれも太っていない。
82ndを越えたあたりから、太った人が増えてくる。
夏休み、東ポートランドにあるプールに行くと、小学校高学年ぐらいなんだけど、一緒に滑り台ですべるとわが子を轢いてしまいそうなお姉ちゃんたちが遊んでいる。
(↑この文書には、ぼくの悪意がたっぷり入っています。件の「オーガニック」女性たちと一緒)

もちろん太りすぎは健康に良くない。と、太る前に糖尿病で死ぬ体質のぼくは思う。

そんななかQステーションで、超優秀ガイドの次郎さんが「これは新しい」っていうのを発見した。そのポスターを要約すれば、
   どんな人種だって
   どんな民族だって
   どんな国籍だって
   どんな宗教だって
   どんな信念だって
   どんな能力だって
     +
   どんな体重だって
みーんなウエルカムっていうこと。

カロリー(と、あとUSD)のある現実世界にすむぼくは、こっちもまだ少し考えたり、たたかったりしなくっちゃ。
<次回「ジャー・メイソンは、なぜ鉈をもちトマトを収穫するのか?」へとつづく>


注1
そういえば「オーガニック」スーパーには、柔軟剤とか中性洗剤とか乾燥機のニオイ除けとか、各種アメリカンなケミカル用品ってうってるのかな? ニュー・シーズンズに行ってみなくっちゃ。

注2
あとからなんどか考えて、彼女らはスポンサー(オーガニック野菜購入権つき)なのだな、と思い当たる。
そこからさかのぼると、あのとき坂の下でドーナッツをくわえながら、アメリカ人的には同意ととれる微笑で返したぼくは、歴史時代の苦汗労働者ではなく、いま現在いる合法・非合法の移民労働者のひとりのようだった。
もちろん彼女は、反トランプだろうし、地球温暖化に真剣に取り組むような人。そして、ぼくのステキなご近所さんにいそうな人なんだけど。

注3
おばけの体形が気になったので、さらに奥さんに質問した。すると、
   けして太ってはいないが、がっしりとした(というか横に大きい)若い女性
   その後ろに、いかにもおばけっぽく、年長の男性
2人組とのこと。
現実世界では節制のために食べなかったかもしれないドーナッツ③を、もういちどお父さんと一緒に食べたんだね。楽しいキャンプの夜のために、もって行ってよかった!


注4 おそろしい追記
今日(7/20)偶然彼女ともう一度会ってしまった。今日は平らな場所で。
   文章的に盛ってしまったことを反省します。本日のいでたちはスッキリした紺色のワンピ。サンダル履き。
   髪の毛の色はブルーネット。ところどころ脱色。セミロングというよりはショートに近い感じ。
   外見はよいとして、本日やっていたイベントと絡めると…とても恐ろしくて書けない。書かないほうがよさそう。
   いずれにせよ、先方には悪意は無かった、でも、言葉のトゲはまちがいなく感じた。という結論です。おーこわ。

☆☆☆☆特別ふろく☆☆☆☆
なじみのスーパーマーケットでわかるアメリカ人生ランキング

上    ニュー・シーズンズ
やや上  トレーダーズジョー、ホールフーズ・マーケット
  ↑↑↑超えられない「オーガニック」の壁(注2)↑↑↑

中    フレッッドマイヤー、セイフウェイ、ターゲット
下    ウォルマート、グロサリー・アウトレット、ダラーツリー(=日本の100均)

大切なのは「オーガニック」感ですよ!!
しかしながら、強烈なデフレ人生を歩むぼくの金銭感覚にピッタリあうのはウォルマート。
(みんなも100均すきでしょ?)しかし、5 for XX$ 攻撃とか、あのレジまわりの感じはきっついなぁ。ちょっと「足が出る」感があるんだけど、フレッドマイヤーがいいや。在りし日の故郷の西友をおもいだす。






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