緋野晴子の部屋

「たった一つの抱擁」「沙羅と明日香の夏」「青い鳥のロンド」「時鳥たちの宴」のご紹介と、小説書きの独り言を綴っています。

また、いただきました。「青い鳥のロンド」レヴュー

2017-09-07 19:16:18 | 青い鳥のロンド
大学時代の同窓生、同じ専攻だったAさんからもお手紙をいただきました。ほんとうにありがたいことです。
本の感想に関わる部分だけ抜粋して掲載させていただきます。
 
 
 大変遅ればせながら・・・・この夏、「沙羅と明日香の夏」 と 「青い鳥のロンド」 を読みました。いずれにも、作者の生きることに対する真摯な姿勢を強く感じました。
 
 今年出版された 「青い鳥のロンド」 では、子育て中のもやもやした気分を思い出しました。
手伝っている、恐妻家だといった夫の言葉にいちいちいらだち、子どもに対しては急かしてばかり、座る間も惜しんで一生懸命やっているつもりでも、自分の時間が持てるのは夜中で、それから仕事の準備をするものの、いつのまにかうつらうつら。
子育ても不十分、仕事も不十分、なのに夫は仕事で忙しいと休みも不在・・・。 
 
我が家の場合、夫の態度が変わったきっかけは、夫の両親が倒れたことでした。土日を利用して、しばしば遠方まで帰ったりする中で、家族のこと、夫婦の事、色々思うところがあったのでしょう。
子どもの反抗期も重なり、家族の形が揺らぐ中で、それまでよりも積極的に家事を担おうとするようになりました。
と、小説に触発されて、来し方を振り返ってしまいました。
 
 上の息子は結婚し、お嫁さんは今は家にいます。息子がそちらを望んだようです。でも、休みの日には食事の準備をしたり、育児休暇を1か月取ったりと、子育てにおおいに参画しているようです。
また、私の職場はしっかりした女性が多く、主要な部署で女性が力を発揮しています。公務員が恵まれているという点はあるでしょうが、男女を問わず力があれば影響力を発揮できる環境は、少しずつ整ってきていることは確かだと思います。
 
 二作を読んで、結末の部分が素敵だなと思いました。理想論に縛られず、今の自分の条件の中で、より良い方向を目指す努力を続ける。そのことをうまく描いていると思いました。
私の両親は今、認知症が進んできています。何事もすっきり解決できる問題はありませんね。いつも片付かない状態です。 でもその中で、自分の人生を大切にすることを諦めてはいけないなと思います。 「幸福」 の問題は、一生のものですね。
 
 少し気になったところが二点ありました。
 ・「看護師」 ではなく 「看護婦」 なのは、何か訳があるのでしょうか。
 ・難読語が使われていますが、読者を選ぶ意図が無いならルビが付されているほうが親切ではないでしょうか。
 
 
A さん、ありがとうございました。そして、さすがですね。文学からは少し離れたお仕事をされるようになりましたけれど、目は確かでいらっしゃる。
 
ご指摘の点、ごもっともです。私の両親は山奥と言っていいほどの田舎に住んでいて、病院に連れていくたびに、患者さんたちの誰もが(看護師さんたち自身も)、「看護婦さん」 と呼ぶのをずっと聞いていましたので、言葉に鈍くなってしまっていました。「看護師」と書くべきであり、私の不注意でした。
 
また、難読語とは、たぶん登場人物の名前のことではないでしょうか? そこも気配りが足りませんでした。書き直しを通して自分で何度も彼らの名前を呼んでいるうちに、そう読むことが自然になってしまっていました。読者の皆様、読者を選ぼうなどという意図は、私はこれっぽっちも持ってはいません。ただ単に、迂闊だっただけです。 ご不自由をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
今さらですが、いちおう
 
菜摘子 (なつこ)   翔子 (しょうこ)   百音 (もね)   麗 (れい)  
護 (まもる)   菜摘子の姉・遥 (はるか)
 
のつもりです。すでに独自の読み方をされた方は、それでも何の問題もありません。そのままの呼び方で、記憶に残していただければと思います。
 
 
「青い鳥のロンド」 緋野晴子著
         (リトル・ガリヴァー社) 1200円
   
就職氷河期の中でなんとか思いどおりの道を切り開き、仕事も結婚も手に入れた4人の勝ち組女たち。 夢を追う菜摘子を取り巻く人々、ある日忽然と現れた栄の魔女夢子さん。30歳を迎えた彼女たちを待っていたものは・・・。
 
今を生きる男女に、幸福の真の意味を問う現代小説。 
                   (舞台は 名古屋市 栄)                              
                                                                                    
 
     あなたは青い鳥が見えますか?
 
「一番好きだった人と、幸せの奪い合いをしている」     菜摘子

 「心の震えは何物にも代え難いわ。ああ、生きている」    百音                                           
 
「他の人たちにも何か不幸があったらいいのに……」      夢子
 
「何だかんだ言っても、私たちはそれでも勝ち組なのよ」     翔子                                     
                               
「オマエは空っぽだって、喉の奥から嫌な声を出して笑うの」    麗                      
 
「フッ、フッ、夢は掴んだとたんに消えてなくなるシャボン玉」栄の魔女                         
 
「暗闇の中で、君と僕のことを想って泣いた」                        護 
 
 
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