Exactly.

2015-07-01 11:00:00 | 物語。
ご無沙汰しております。
皆様、お変わりありませんでしょうか。

私はと言いますと、目の方はまだ
治療中です。
ま。こればっかりは、長期的に
みないといけないようですので、
焦らずにいようと思っています。
物語も少しずつですが、書いていますので、
不定期ですが、更新できればと
思っております。








それでは、いつものようにいつもの言葉を。









相変わらずの、
妄想なあたしの世界です。
妄想な世界なんて、と思う方は、
お読みになりませんように。


そして、
クレーム、苦情、ツッコミなどは、
ご遠慮下さいませ。

お互いに、
いい気分にはなりませんし、
私も凹みますから。。。
ご勘弁下さいませ。











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Exactly. そのとおり。











変わりないですか。
こちらは変わりないです。
いつでも、戻ってこいよ。

そんな文面が、あの人のきれいな字で
綴られている。

あたしは、あなたの懐かしい文字を
なぞってみた。

今はもう、大人の青年になって
変わってしまったであろう
あの人の面影を思い出しつつ。

そのとおり。
あたしは本当は、戻りたくって
仕方がない。
でも、それは駄目。
そう思っているから、懸命に
こらえている。

もう一度、あの人の文字をなぞって
あたしは、季節ごとに送られてくる
カードを閉じた。

そうカード。
引っ越しを何度しても、
3ヶ月を過ぎると送られてくる。

あの人に見守られている。
いや、気にかけられている。
それだけでいい。
そう思って生活している。

美作さん。
あたしね。本当は会いたい。
本当は、話したい。
本当は、ひと目だけでも、
見かけたら駆け寄ってしまいそうで
怖い。

だからね。
今はまだ駄目。
あたしの気持ちが、落ち着くまでは
戻るわけにもいかないのよ。

それは多分。
一生こないんじゃないかって
今は思ってる。
仕方がないよね。
好きになってしまったんだから。
その気持を封印して、一生独身で
生きていくって今は決めてる。
覚悟もできてる。

でもね。
離れていてもあたしは思うんだ。
人を愛する喜びを、
人に対する優しさを教えてくれたのは、
あなただから。
だから、感謝してるんだ。

あなたが牧野ってあたしを呼ぶ声が、
心のなかに残っていて、
携帯の留守電に入ってたあなたの声が
あたしの宝物で。

時折、経済誌を見に本屋に行って、
本当に、立派になったあなたのインタビュー
記事を見て。
ただ、それだけがあたしの楽しみで。

あなたが、いつの日か、誰かを
選ぶ日がこようとも。
あたしの気持ちは変わらないから。
色んな街を転々としながら、
暮らしていくんだろうなと。
そう思っていた。。。

あたしの誕生日に、
あなたが現れる前までは…。
家のアパートの前に、
似つかわない高級車が停まって
いたとき、あたしは、回れ右した。

インターネットカフェで時間を
潰して、夜遅くに戻っても、
そこには、その車があって。。。
あたしは、覚悟しなきゃいけなくなった。

その高級車の横を通りすぎて、
カンカンカンと階段をあがる。
バックの中から鍵を取り出し、
開けようとした時、あたしの手は
あなたの大きな手に包まれた。

「こんな遅くまで何してた。女の子が、
暗がりを一人で歩くなんて、駄目なんだぞ。」
「・・・。」
「牧野。」

あなたの声は怒っている。
あたしは、どう反応すればいいの。

「あたしにはあたしの生活があるの。
今日は、インターネットカフェに行ってたから
遅くなっただけ。それより何か用なの?」

あたしの雑多な声に美作さんは、
いささか驚いたようだったが、
気を取り直して話しかけてきた。

「迎えに来た。」
「へ?」
「そろそろ、俺の我慢も限界。」

何を言ってるのかわかってるのかこの人は。

「もちろんわかってるよ。
全部、整理して。全部、用意して。
用意が整ったから迎えに来た。」
「・・・。」

何を言ってらっしゃるやら。

「もう夜も遅いですし、お帰りになって
下さい。そして、二度ときませんように。」
「牧野。もういいんだ。」
「何がいいんですか。」
「もう、俺達は、我慢しなくていい。」

そこであたしはようやく、美作さんに
目を合わせた。
そこには、大好きな会いたかった目があった。

「牧野。会いたかった。」

そう美作さんは言ったと思ったら、
あたしはもう、美作さんの腕の中に
引き寄せられていた。。

「美作さん?1」
「言ったろ。我慢の限界がきたって。」
「や、でも。」
「今まで、離れて我慢してた分、
補充させて。」
「こ、困ります。」
「じゃあ、このまま連れ去って、
俺の腕の中で眠りにつくのとどっちがいい?」

あたしは、目を白黒させて、美作さんの
腕の中でようやく力を抜いた。

結局、あたしはなんだったのよ。

「ごめんな。」

そうよ。色んな思いをしたっていうのに。

「申し訳ない。」

美作さんの抱きしめる力が、ギュッと
力強くなった。

「その分、これからは一緒だから。」
「これからずっと?」
「ああ。その通り。これからずっと。」

あたしは、ようやく安堵の息をもらした。
そして、今まで入っていた力が、抜けていく
のを感じていた。

「美作さん。あたしね。」
「ん?」
「ずっと一人で生きていくんだと
思ってた。」
「牧野?」
「誰かさんが結婚しても、一人で
生きていく覚悟はできてたんだよ。」

「牧野。待たせたな。」
「うん。」
「もう、待たないでいいから。」
「うん。」
「牧野。」
「美作さん。ウチに入って。」
「いいのか?」

こんな遅くにという意味なんだろうけれど、
あたしは、腕の中で頷いて美作さんの背中を
軽くポンポンとした。
美作さんはやっと、手をほどいてくれる。

鍵をバックから出して、開けた。

「沢山、話したいことがある。」
「うん。さ。入って。暖かくなって、
沢山はなそう。」

すぐに暖房を全開にして、
ヤカンを火にかけた。
その夜は、いつまでも、つくしの部屋の
明かりがついていた。
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