ソンドハイム作のピューリッツァ賞を受賞しているミュージカル
宮本亜門演出「サンデーインザパークウィズジョージ日曜日にジョージと公園で」
の初日に行って来ました。
ネタバレありです。
幕が開くと、八百屋舞台になっていて、左右の壁も奥に行くほど狭まっているので
舞台中央奥に1枚の絵がかけられるほどの枠ができている感じ。
あのスーラの有名な絵
(「グランジャット島の日曜の午後」と言う題名だったのですね)
がモチーフになっていると言うことは知っていたので
舞台全体が、ちょっと厚みのある額に見えます。
石丸幹二さん扮するジョージ(ジョルジュ・スーラ)がシルエットで浮かび上がり
ミュージカルが始まりました。
すると、左右の壁や斜めになった床などがスクリーンなのか画面なのか
絵が描かれていきます。
この画面みたいなものが絵の世界と生身の舞台とをうまく絡ませています。
1幕目、石丸幹ちゃんはそんなに歌う場面はありません。
でも、恋人もほっぽらかして光を求め点描を追求する芸術家を
ちょっと陰のあるストイックな演技で描き出していて素晴らしかったです
ジョージの恋人であるドットの戸田恵子さんが、歌う、しゃべる、歌うと
たいへんです
ちょっと幹ちゃんとでは年齢差が・・・と思わせなくもないのですが
歌の上手さと圧倒的な存在感で、舞台に引き込まれます。
そして次々と出てくる絵の中の登場人物たちを演ずるのは
みんなミュージカル常連の役者さんばかり。
素晴らしい安定感です
初日だと言うのに、いつもの初日のそわそわドキドキ感をあまり感じないのは
この方たちのおかげでしょうか。
これらの登場人物たちは、みな問題や悩みを抱えていて
それらが一気に噴出して大混乱になります。
その時ジョージの「秩序を
」という一言で、
それぞれが理路整然と位置につくと「グランジャット島の日曜の午後」の絵に
なってしまうのです。
2幕目は、唐突に現代。
ジョージ(スーラ)のひ孫にあたる現代のジョージが作品を披露してる
美術館のレセプション会場となります。
スーラの娘であり現代のジョージの祖母にあたるマリーは
ジョージが、自分のビジョンが定まっていないことを不満に思っているようです。
そこで、スーラの恋人であり自分の母親であるドットが
赤い本に書き残したメモを読み聞かせようとします。
しかし世渡り上手なジョージは、レセプションに参加している人々との
社交的な付き合いのほうが大事なようで耳を貸しません。
ジョージとグランジャット島へ一緒に行く約束をしたマリーは
その夜亡くなってしまいます。
後日、仕事のパートナーとグランジャット島を訪れたジョージは
そのパートナーとも仕事の方向が違い別れることになります。
高層ビルが建ち並んでしまったグランジャット島で一人になったジョージは
マリーからもらったドットの赤い本を取り出し、メモを読み始めます。
そこへドットが現れ、曽祖父のジョージの求めたものを語ります。
それは、彼のこれからのビジョンの、人生のヒントになるものだったようです。
秩序・バランス・構図・そして光
すると舞台全体がまっ白に!
それは白いキャンパス。無限の可能性ということ。
スーラが一つの絵の中に描いたいろいろな人生が、
現代と絡まり、壮大な人生というのがこのミュージカルのテーマなんですね。
・・・なあんて書きましたけど、フライヤーやHPを読んで
ああ、そうなんだと気がついたってところです。
だって、実際に2幕目が唐突に現代になったのには戸惑いましたから。
でもでも
面白い上質なミュージカルなことは確かです