久しぶりの「仮名手本忠臣蔵」通し狂言で、忠臣蔵を堪能してきました。
と言っても、今回の平成中村座はA~Dプログラムあって
今日私が見てきたのはBプログラム《五段目、六段目、七段目、十一段目》です。
『五段目』山崎街道の場、けっこう好きな段です。
初代中村仲蔵が考案したという定九郎の扮装。
本当に悪いやつなんだけど、色っぽいんですよね~。
そして勘平の悲劇。
現在でも山奥に入れば夜中には明かりなどありませんが
この頃は夜道を歩くとしたら提灯しかないのですから、
雨で消えてしまったらもう真っ暗闇ですよね。
役者が無言の動きで表現する真っ暗闇が悲劇を生み
『六段目』おかるが遊女として連れて行かれ、勘平が切腹することになります。
すべて忠義心と家族愛ですね。
おかると勘平の別れの場面、泣けます。
千崎弥五郎に渡した金が大星由良之助から差し戻されたと知って失望し、
その金を作ってくれた舅を殺してしまった苦悩から切腹する勘平。
勘三郎が勘平の悲しい運命を素晴らしく表しています。
『七段目』お目当ての仁左衛門の大星由良之助
有名な、由良之助が本心を隠して一力茶屋で遊興にふける場面です。
仁左衛門さん、素敵
色っぽい
おかるが顔世御前からの手紙を盗み読んでしまったことを知って
おかるを殺そうと思います(怖い!でもこれも忠義心)。
あの方に、身請け話をするから二階からはしごで降りて来いと言われれば
もう危ないとか思っても、そそくさと降りてしまいそうです。
孝太郎のおかる、橋之助の足軽寺岡平右衛門(おかるの兄)
二人のやり取りも良かったですね。
『十一段目』討ち入りです。
ここでの見ものは、勘太郎の小林平八郎と七之助の竹森喜多八のすごい立ち回り。
若い二人と言ってしまえばそれまでですが、
動きが速く激しいです。
普通、歌舞伎での立ち回りは、二人がけっこう間合いを取っていて
型を見せることが多いですよね。
それが、あんなに二人の間隔が狭い切り合いって、すごいです
狭い間隔で素早い切り合いなので、刀の先が顔に当たらないかとか
ハラハラしてしまいました
大詰め、ついに師直を倒し勝鬨を上げ引き上げていく浪士たち。
最後に残った大星由良之助が万感の思いで花道を去って行って幕です。
浅草寺境内に建てられたこの「平成中村座」良い雰囲気なんですよね~。
歌舞伎の世界に入り込んだような、お芝居が身近に感じられるんです。
そしてなにより、中村屋の歌舞伎に対する情熱が伝わってきます
2000年の隅田川河畔から、国内の平成中村座はすべて見ています。
松竹さんも観客も慣れてきたのでしょうか、
初めのころに比べ、何事もスムーズになった気がします。
こんな劇場、お芝居がいろんなところで見られるようになると
もっと歌舞伎が隆盛してくれると思います。