【涼宮ハルヒの憂鬱】佐々木ss保管庫

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佐々木スレ8-474 旧約萌書比翼の章より

2007-05-17 | その他

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/18(金) 20:46:32 ID:J7AWN8KD


 寒さに震える我が同胞よ。その涙を拭け。うつむくな。上を見るんだ。
 あの山を見ろ。あれが天に最も近き場所。すなわち神の頂である。
 我らが恋焦がれてきた夢の結晶たちは、全てあの頭頂を目指し険しき獣道を登り続けてきたのだ。たとえその道すがら砕け散ったとしても後続は歩むことを止めない。幾千幾万が砕け散ったことか。ただひたすら頭頂を目指し……
 その姿は一つの意思を持った行進である。果てしない登頂。それが夢の結晶の宿命である。
 しかし先達が切り拓いてきた道は、皮肉なことに彼ら自身の砕け散った欠片によって塞がれてしまった。後続は偉大すぎる先達の欠片に足を傷つけられ歩みを止め、そして自身も砕け散る。
 ああ、遥かなるかな頂よ!
 ……残ったのは、夢の残滓だけ。夢の残滓だけだ。
 しかしだ! しかし、であるぞ諸君!
 あの光を見ろ! あれこそ現世に降臨した光だ。彼女こそ最も美しき結晶になりうる存在。
 彼女の背中には翼がある。欠片の道を越え頂を目指せる翼が。
 その翼の片方は彼女自身のもの。そしてもう片方は、彼女の思い人が与えてくれる翼。
 誇るがいい。今我々は一つの伝説を目撃しているのだ。頂へと到達する存在が現れたのだ。
 比翼の少女。
 彼女こそ新世紀の女神であるのだ。



旧約萌書比翼の章より