8の字描いて転がって

くりかえすことのここちよさとつまらなさ

こわいこわいこわいわ!

2014-07-29 02:53:48 | 絵本
息子は大変なこわがりさんである。
電車も遠くで見ているぶんにはいいけれど、駅のフォームで間近に見ると「こわい!」と
後ずさり。
ミニトマトを口に入れ、プチンと弾けた瞬間「こわい」。
機関車トーマスに登場するゴードンを見た瞬間「目こわい!」と泣き出す始末。
カミナリがドーンゴロゴロと鳴った日には、恐怖で固まってしまって言葉も出ない。

そんな息子にピッタリな絵本を、久しぶりに会った中学時代の友人にもらった。
「ラチとらいおん」。

世界中でいちばん弱虫のラチという男の子は、みんなに仲間はずれにされて絵本ばかり見
ていた。
そんなある日、小さな赤いらいおんが現れ、共に過ごすうちにいつしか強い男の子に成長し、
らいおんは置き手紙を残してラチの元を去る。

黒・白・緑・黄色・オレンジだけを使って描かれた絵はとてもシンプルだけれど、ラチの気
持ちを想像できるだけの絶妙な余白があって、その余白にぼんやり見とれながらクスリと笑っ
たり、ジーンとしたり。

絵本に添えて、らいおんのぬいぐるみももらった。
物語の中で、ラチはこのらいおんを初めてみた時大笑いするのだけれど、息子は案の定
「こわい!」と怯えた。
やれやれ。
こんなこわがりさんが果たして、母の元から遠く離れて、強い男の子になる日がくるのだろ
うか。

もう一度、絵本を手に取り読んでみる。
ラチの元を去ったらいおんからの手紙のくだり。
なんだか胸がざわざわする。
そして思い至った。
これは私自身の物語でもある。

人に嫌われるのがこわくて人付き合いを避け、本ばかり読んでいた。
血を見るのがこわい、注射もこわい、痛いのもこわい。
変わっていくことがこわい、新しいことがこわい。

そんな自分の元に、ちいさなおくびょうらいおんがやってきた。
必死になってお世話をするうちに、次から次へと現れるこわいことをどんどこ乗り越えよう
やくここまでたどり着いた。強くなれたわけじゃ決して、ない。
こわいこわいこわいを抱えたまま、ただ、がむしゃらに進んできた。それだけ。

こわがりな息子に付き添ってきたように見えて、実は逆で、ほんとうはこわがりな母を支え
てくれていた息子。
「もう、ぼくがいなくてもだいじょうぶだよ」
と言って、母のそばを離れていく日がくるだろう。いつの日か。
二人仲良く「こわいこわいこわい」と色んなことに怯えながらおっかなびっくり生きていき
ましょう。いつかのその日がくるまで。
あともう少しだけ。
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正直な息子

2014-07-27 22:59:37 | こども
とある方から息子にと、たいそう分厚い本をいただいた。
『頭のいい子を育てるおはなし366』という読み聞かせの本で、
1年366日の日付ごとに1話ずつ短いお話がのっている。

息子と並んでソファに腰掛け、さっそく読んでみることに。
7月27日のお話は『七福神』。

「むかし、山城国に正直者の夫婦がありました。
 二人そろって正直で親切でしたが・・・」

そこまで読んだところで、息子がソファから降りてくてく歩き出したかと思うと、
クローゼットの前で立ち止まって
「ショウジキショウジキ(正直正直)!」と騒ぎはじめた。

しばしポカンとしていると、息子がクローゼットをガラガラガラ。

「ショウジキ!」
開けてびっくり、中には掃除機が。
たった1日分読んだだけなのに、天才になる日も近いか?




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72ROCK

2014-07-26 23:50:37 | バンド
その昔、本屋で誕生日事典を立ち読みした。
それによると、7月26日生まれの有名人は

▲ミック=ジャガー
▲カール=グスタフ=ユング
▲桜庭一樹 etc…

ほほう、なるほど、なるほど。

そうしてThe mushroom monkeyの『726』という曲が生まれた。

『ジャガーに乗ったミックとミミが
 アーステントまで ドライヴ中
 ユングの思想書 飲み干したい
 チェリーの息の根 止めてみたいな』

たいして意味の無いことばの羅列。
その中に、こっそりと7月26日生まれの人の名前を忍ばせた。

7月26日は、なにを隠そう私の誕生日である。

『血まみれのパジャマ 蝉の抜け殻
 からみつくチューブで 酸欠中
 ヴィヴィッドな世界 光射す方へ
 そんな所には 行きたくねえよ

 ハローワールド 

 コンニチハ世界 726 』
(The mushroom monkey『726』)

逆子だった自分は、左足からこの世に生まれ落ちたらしい。
母のへその緒が首にぐるぐる巻きついていたため、
出てきた瞬間うぶごえをあげることもなく
駆けつけたお医者さんにおしりをペンペン叩かれて
ようやく遅ればせながら「オギャー」と泣いた。

その日はあいにく新人看護師さんしかおらず、
こわがったその人は後ろを向いて固まってしまったため
母は分娩台ではなく、真っ平らなベッドの上で自力で私を生んだそうだ。
血まみれのパジャマを握りしめながら。
そんな話を、小さい頃によく聞かされた。

後ろ向きな性分は、お腹のなかにいる時からだろうか。

なま暖かくて居心地のいい場所にずっとずっととどまっていたい。
ざらざらした母の心音ノイズを爆音で聴きながら、
その心地よさを手放したくない一心でぐるりんと、
お腹の中を一回転したのかもしれない。

いつだって前へ前へと進むことを恐れ、今が一番だと現在に執着し、
みんなが頭から飛び込んでいくところを
恐る恐る様子を見ながら片足ずつ踏み込んでいく慎重派。
そのくせ始めてみたら人一倍気に入って、手放したくなくなって
ボロボロになってもずっと続けてしまう不器用さ。
それもこれも、さかさまの位置で外の世界を待っていたせいか。
なんてことをぼんやり想像してみる。

ドタバタしていて、今日が自分の誕生日であることを
心底、忘れていた。
息子が生まれてからは年々、自分の誕生日が記憶から薄れていく。
自分よりも大切なものができたからかな。
それとも、自分自身が子どもを生んだ出来事のほうが生々しく覚えているせいか。
前者であるといいな、と思う。

思いの外、たくさんの人から祝福の言葉をいただいた。
その全てに深く感謝しつつも、
たったひとりで出産に立ち向かってくれた母に、最大級の謝辞を。




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2014-07-01 21:30:09 | 日記
ひと駅先まで、自転車で珈琲豆を買いに行ったら、
開店時間を過ぎても店主が不在。

店の近くのベンチで息子と座って待っていたら
保険ウーマンに「一緒に働きませんか?」と勧誘を受け、
さらに保険の加入も併せて勧められる。

炎天下の帰り道、自転車で道に迷う。

冷や汗かきかき、汗だくになってようやく帰宅。
ベビーシートでうたたね中の息子を抱っこして
そのままベッドに寝かそうとしたら来客が。
ぱっちり目を覚ました息子はその後、お昼寝をすっ飛ばして遊び続ける。

いつもはお昼寝中に夕飯の支度をするところを、
今日は母にくっついて離れない息子をあやしながら
シューマイと味噌汁のみ、かろうじて作る。

明日のためにとバナナケーキを慌てて作ったら
砂糖を入れ忘れて甘しょっぱいケーキが完成。
しかも全くふくらまず。

お風呂からあがってすぐ、夜ごはんも食べず息子就寝。
がちょーん。
まさかのひとり飯。

すべての歯車が全然噛み合なくて、昨日の夜に立てた計画が水の泡。
悔しいやら、やるせないやら。

こんな時はなんて言えばいいのだろう。
コメント (2)
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