Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

Vol.481:「投げたブーメランが返ってくる」

2013年06月16日 | アラサー教員奮戦記


今年の梅雨は、なかなか雨が降らないですが、それでも蒸し暑い日々が続い
ています。晴れていて良いなという人もいれば、雨が降って欲しいという方
もいるでしょうし、天候というのは何が「良い」か分かりません。ちなみに、
我がキャンパスのそばにあります大山というのは「あふり山」ともいい、大
山阿夫利神社は、雨乞いの対象としても有名です。秋の紅葉もきれいですが、
夏の青々として景色も風情があります。春夏秋冬、それぞれの様子を楽しむ
のも、田舎の特権かと思いますし、精神的にも落ち着いて居られる気がしま
す。

さて、今日は「ブーメラン」についてお届けします。
ブーメランとは、投げると弧を描いて戻ってくるあのブーメランです。ある
年齢以上の方は、西城秀樹をイメージされるでしょうか。

このブーメランですが、ネット用語として「他人への批判が自分自身にも当
てはっている(http://goo.gl/S8lji)」という使われ方をします。

事例として、匿名での批判を匿名で行っている事などが挙げられています。
このブーメランについては、よくよく考えなければならないなと痛感してい
ます。それは、教師という立場として、「注意する機会」が他の職業と比べ
多いという事が影響しています。読者の方々も先輩として、上司として、あ
るいは親として等々、少なからず経験があるかと思います。

例えば、「遅刻するな」と言っておきながら、自分が遅刻しているというよ
うな事は、あり得ない事です。まさにブーメランとなって突き刺さってきま
す。遅刻するなと言われた側から「お前から言われたくはないわ」という印
象を与えると同時に、言う側としても「ああ、自分もできていないにも関わ
らず、こんな事を言ってしまって恥ずかしい」という思いを持ってしまい、
結果的に言うべき事が言い切れないことにつながるからです。

「こんな事は当たり前だ」とのお叱りを受けるかと思います。当たり前の話
であります。それでも、気を付けていないとあたかも自分が聖人君子にでも
なったかのような大いなる勘違いをしてしまいがちです。自分は全て完璧で、
注意をしてやっているんだと。特に、優秀な学生、優秀な部下を持った場合
には、「素直に聞いてくれる」でしょうから、その勘違いに拍車を掛けてし
まうリスクがあります。これは、ほぼ100%勘違いであります。

さて、それ以外にもブーメランが飛んでくる事があります。それは、安全地
帯から批判をしていたつもりが、いつの間にか後頭部に突き刺さっていると
言うような場面です。あたかも時空を超えて、昔投げたブーメランが返って
くるのです。

例えば、若かりし頃に上司に向かって壮絶にかみついていた人が、部下から
かみつかれた際に逆ギレして怒鳴り散らしてしまうだとか、リーダーの事を
リーダーシップが足りないと言っておきながら、自分がリーダーになった際
に常時弱音を吐くだとか、そういった類いのものです。

きっと皆さん多かれ少なかれそういった経験をお持ちではないかと思います。
そして、大概の場合には複数のブーメランが投げられており、返ってきてい
る最中だったりします。天候不良時の空港上空のように。
私も、最近こういった形でブーメランが返ってきつつあります。例えば学生
時代に「あの先生は授業がつまらない」とか言っていた事を思い出します。
それは、自分が今どれだけ面白い授業ができているのだろうか、という形で
返ってきています。教師以外の仕事であれば、社内研修での講義などの際に
返ってくるのではないかと思います。

投げたブーメランに当たると、思いの外痛いです。よくも思い切り投げられ
たものだと思ったりします。結果として、自分に返ってくるのが怖くなり、
批判しなくなっていくものではないでしょうか。つまり、ブーメランを投げ
なくなるのです。ある意味では、「大人になる」という事かも知れません。

一方で、ブーメランと分かっていながら投げなければならない、つまり批判
や注意をしなければならない時もあると思います。言うことが仕事であり、
優しさであるというケースです。そういったときには、ブーメランである事
を認識した上で、お前に言われたくないという目線に耐えながら、できてい
ない自分を噛みしめながら注意する事も必要なのではないでしょうか。教師
としては、後頭部にずしりと刺さる事を意識しながらも、思いっきりブーメ
ランを投げる人間でありたいとも思います。そして、刺さったブーメランと
共に一歩一歩歩んでいくのも悪くないかなと思います。

さて、今日もブーメランを投げ、そしてブーメランが返ってきています。傷
だらけであります。
<文責 ハシモト>

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