Sandy Cowgirl

植田昌宏。在阪奄美人。座右の銘は、「死ぬまで生きる。」

ゴールデンスランバー

2017-06-11 18:46:13 | 書評


日曜日の夕刻。
6月の長い日暮れ。
買い物を終えて家路につくとき、
週末が終わってしまう寂しさで胸がきゅんと締め付けられる。
でも、思い返してみると、明日から仕事がない、という状況だった私には、
こういうのがたまらなく欲しくてたまらなかったわけだから、
全力で、いとおしいと思う。

なのに、今日のオヤジからの電話は、
わざわざドラムスクールが始まる前にかかってきて、何事かと思えば、
ピタゴラスの定理の話と、痴漢の冤罪にあったときの対処法だった。


というわけで、そうだ、冤罪の話だ、伊坂 幸太郎 さんの ゴールデンスランバー をご紹介します。

おそらく、ですが、伊坂 幸太郎 さんの作品として、知っている限り、最も取っ付きやすい名作です!
めんどくさい紹介ですが、よくある話で、これ、めっちゃおもろいねん、と言って,
なに、これ?
と思われがちなのが、伊坂 幸太郎 さんの作品で、
でも、たぶん、これは、鉄板です!

語り手と、時間が様々に移ろいますが、徹底して主人公は、青柳です。
真相は、はっきりいってどうでもいいが、
それを明らかにすることなんかどうでもいい、
シニカルだが、事実で、警察は認知した事件を検挙する、という検挙率にやっきになるのだ。
だから、犯人なのかどうかなのかは関係ない。
重大事件が起きれば、誰かを挙げなければメンツに関わるわけだ。
そして、捜査といっても組織で行われるわけで、
特定されたら、その身柄を拘束するのが使命なのだ、真実かウソかは関係ないのだ。

じゃあ、その対象にになったらどうする?

逃げろ!

これが、その作品のテーマです。

要するに、なんで、事件が起きたか、とか、事件の本質は何か、なんていうのはどうでもいいのです。
どう逃げるか、ただ、それだけ。

これだけ、シンプルで面白い設定はない。

何が彼を救うのか。

そこが見所だ。

個人的には、元カノが、カワイクて、カワイクて、仕方がない。
轟さんの花火大会の回想がたまらなくむずがゆい。
元カノの娘もカワイイ。





あなたには、今でも、頼れる人がいますか?
昔の友を助けてあげられますか?


そんな問いかけ。
そんな作品。



今週もがんばっていきまっしょい!