NPO法人さなぎ達ブログ

横浜市寿地区や近隣地域を中心に社会的生きづらさを抱えている人々を対象としながら活動を行っているNPO法人です。

病気なくなっちゃったみたいだ

2011年01月14日 | 日記
山中先生(さなぎ達の理事長兼ポーラのクリニックの院長)のエッセイをお届けします。

今回はSさんシリーズの第5弾です。
お読みでない方は、こちらもどうぞ。第1弾第2弾第3弾第4弾






病気なくなっちゃったみたいだ

今日はKMVP川崎さんの訪問初日。
二人は一緒にクリニックまであるいてきた。
実はSさんはKMVP2回目である。
一回目は2008/11/4。
近隣のA病院に、手足ぱんぱんに腫れて一週間入院。
当時の医者の処方に眠剤がはいってなくて、眠れないから近くのローソンへ行って焼酎買って病室で飲んでたら即退院。
退院時、心不全だからとポーラのクリニックを紹介された。
当時のカルテに、Sさんの毎日の食事を詳しく聴取記載。

自分の部屋で支度する。さかな ニラレバ が中心。
食事は1日2回自炊。
だいたいご飯とみそ汁に焼き魚かレバニラを食べる。
買ってきた焼き魚に塩をかけて食べる。
漬け物なんかは食べない。
アルコールも今は飲んでない。
3食とも自分の部屋で独りで食べてる。
買ってきた物をおかずにメシを食う。

心不全患者にとって、食事療法は薬物療法よりもはるかに重要だ。
A病院整形外科から出されていた痛み止め中止を指示。
痛み止めと内科治療は実に相性が悪い。
特に心不全・腎不全に痛み止めを漫然と使用していると、ひどく増悪する。
食事生活と服薬・睡眠の観察目的にKMVPを出動させた。

心不全は、原因心疾患にもよるが、慢性心不全ならば生活習慣改善が著効する場合が多い。
Sさんは説明すればよーく理解できる人。
ちょっとした食事の指導でみるみるよくなり、KMVPを卒業するまでになった。
以来、2年間、入院することもなく元気元気。
寿には珍しい紳士風貌と時にはクールにみえる穏やかさも手伝って、2歳年下のT嬢のハートを射止めたようである。
T嬢はSさんと知り合ってから、精神科の薬が半減、30本吸ってたタバコもやめ、かつて多摩川に入水したような不安定感は全く治ってしまった。
ちなみにT嬢はSさんの今回の病状は知らない。 
理由は、怖くて告げられない。
本人には告知できても、T嬢には無理、絶対に不安定となるから。

Sさんと川崎に今日のレントゲンを見せながら説明。
「これが以前の。こっちが今回の。」
「全く変わってきてないです。左の胸水は貯まってきてないよ」と説明すると、Sさん珍しくが軽口を。
「治っちゃったみたいだ・・」
山中は返答に困って、「だといいね・・」しか言えなかった。 
言ってしまってから、もう少し気の利いた言葉をかけてあげられないもんかね、と反省。

KMVPが入れば安心。
現在週一で訪問看護、他に毎日ヘルパー、Sさんの居るきれいな“どや”には介護会社も間借りで入ってる。
だから無縁社会ではない。
毎週通院を2週間毎に切り替えた。
通院時間や待ち時間を、KMVPメンバーと山下公園で港をみたり三渓園の梅を楽しんだりする時間に使ってほしいからである。






Sさんシリーズ次回もお楽しみに



「さなぎ達通信」ですが、本来の12月号の発行が遅れ1月号として現在印刷中です。
(過去に発行した通信はこちらからご覧いただけます)
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