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北朝鮮の核実験に対する正しいリアクションは、「日本も核を持つぞ」

2016年01月26日 00時00分00秒 | 政治・拡散記事・報道・海外
By. 呉 亮錫2016/01/21    17:46

北朝鮮の核実験に対する正しいリアクションは、

「日本も核を持つぞ」

拉致問題が進展しないことは、とてもいらだたしい。それは、北朝鮮の体制に「誠意」などというものを求めることが、とうてい、無理な注文であることが分かっていても、だ。拉致被害者やそのご家族の苦しみは、「想像を絶する」という言葉どおり、どれほどのものなのか実感を持つことさえ難しい。
 
そう考えれば、問題が一向に解決しない中で、「拉致問題が最優先」と言っている政治家が出世していくことが、「政治利用」に見えることも、理解できない話ではない。しかし、かといって、「拉致被害者の奪還」を何が何でも実現すると言って、北朝鮮にお金を渡すことが正しい道であるかは疑問だ。
 
蓮池薫さんの兄である透さんが昨年行った講演の要約を読んだ時に、私が違和感を持ったのは、その部分である。

北朝鮮は唯一合法的に経済援助なり、お金を得られるのは日本からだけだと思っています。それは日朝平壌宣言にも書かれていますので事実だと思います。そういう意味ではやはり過去の清算というものをてこに、拉致問題についてギブ・アンド・テークという形で、同時行動でこの問題を動かしていくしかないのではないかというのが、端的にいえば私の考え方です。

(産経新聞 「『安倍首相のやり方ではうまくいかない』蓮池透さん 昨年の講演内容詳報」 2016/01/13)

ここで述べられているのは、端的に言えば、北朝鮮に「戦後賠償」というかたちでお金を払ってでも、拉致被害者を取り戻すべきだということだろう。確かに、拉致問題の解決を外交の最優先のゴールにすれば、当然、そうした選択肢もでてくる。
 
しかし、それでは根本の問題は解決しない。それは、次に拉致事件が起きないように、どのような手を打つかという問題だ。お金を払うだけでは、誘拐犯に身代金を払うのと、まったく同じ話になる。お金をもらえるなら、拉致は再び繰り返されるかもしれない。
 
拉致問題を根本から解決するためには、日本が国防力を強化していくしかない。本来なら、他国の国民を拉致して連れ去るというのは、戦争が起きても不思議がないくらいの犯罪である。突き詰めて言えば、万が一の際には戦争も辞さないという意思を見せなければ、究極的にこの問題が解決することはないのではないだろうか。だが、日本ではこの問題が「疑惑」と言われて、長年、放置されてきたほど、危機感の低い状態が続いてきた。自衛隊は被害者の救出作戦を行うことさえできない。拉致問題についての認知はかなり進んできたが、このことが国防の問題だという認識は、どれだけ広まっているだろうか。
 
危機感の低さは、先日の北朝鮮による核実験に対する対応にも見てとれる。万が一、北朝鮮がミサイルを撃つような時には、日本から自衛のための先制攻撃も辞さないという議論は出ないのだろうか。あるいは、北朝鮮がアメリカを脅せるだけの核兵器をもって、日米同盟を無力化しようとしているなら、日本もいずれ核武装を考えなければいけないという議論は、出てこないのだろうか。
 
もっとも、これまで「非核三原則」を維持してきた日本が、すぐに核武装に一足飛びに進むことは考えづらい。「核不拡散」を外交のテーマに掲げる同盟国アメリカとの関係もある。しかし、北朝鮮が核実験を繰り返して、着々と核兵力を整えようとしているのに、日本で核をめぐる議論が出ないのは、ある意味で不思議に見える(韓国では核保有論が出ている)。議論だけでもしてみればいい。そうしたシグナルを送ることが、北朝鮮にとっては一番、怖い話かもしれないのだから。
 
「核廃絶は人類の悲願」であり「唯一の被爆国である日本には、核廃絶を推進する使命がある」という理想については、私も賛成だ。核兵器が残虐な兵器であることは、日本では義務教育でもしっかり教えられている常識である。しかし、私は、「人類の理想」を何が何でも推し進めるという考え方よりは、国を守ることが大切であるし、そのためには核についての議論も避けて通れないと思う。なぜなら、「人類の理想」のために日本だけが核を放棄していても、北朝鮮が核兵器をもって日本を脅したり、実際に核兵器を使ったりするような真似をするなら、まるで本末転倒だからだ。
 
拉致問題をめぐっては、被害者をいかに帰還させるかが当然ながら焦点になっている。そのために、制裁をどうするか、向こうが被害者を帰した見返りはどうするのかが、議論になる。しかし、本質的には、日本が自分の国を自分で守るという体制をつくれるかどうかが、根本解決の糸口だろう。


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