不法入国目的か ビザ取得で不審な申請相次ぐ NHKニュース
日本で開催される「国際会議」への参加を名目に、ビザを取得しようとする不審な申請がアフリカ諸国などから相次ぎ、去年1年間に合わせて400件余りに上ることがNHKの取材で分かりました。実際に国際会議のためのビザで入国し、不法滞在しているケースも出ていて、専門家は「就労目的だけでなく、凶悪犯罪やテロにつながるおそれもある」と警戒を呼びかけています。
日本で学会やセミナーなどの「国際会議」が開かれる際、主催者は海外の参加者に「招へい状」を送り、参加者はそれを大使館などに提出して日本に入国するためのビザの発給を受けます。
会議の関係者によりますと、このところ「招へい状」を求める不審な申請が主にアフリカ諸国から相次いでいるということです。
中には、申請者が所属するとした組織に在籍していないケースや複数の申請者の生年月日やパスポートの番号がすべて同じケースなどがあったということです。
NHKが、去年1年間に開かれた220余りの国際会議について取材したところ、こうした不審な申請が少なくとも35の会議で、およそ430件あることが分かりました。
去年10月に高松市で開催された国際会議では、ナイジェリアの政府機関の職員を名乗る人物から申請があり、主催者が都内の大使館に確認したところ「不正の疑いがある」と回答があったということです。主催者は「招へい状を悪用して日本に不正に入国しようとしたのではないか」と話しています。
また、おととし首都圏で開催された国際会議では、招へい状を受け取り、国際会議のためのビザで入国したガーナ人が会議には参加せず、不法滞在を続けているケースも確認されました。ガーナ人はNHKの取材に対し「招へい状は仲間のリーダーが入手した。渡航費用もスポンサーが出してくれた。日本で平穏に暮らしたい」と話しています。
専門家は「国際会議への参加という信用度の高い入国方法を装い組織的に手配している。就労目的だけでなく、凶悪犯罪やテロにつながるおそれもある」と指摘しています。入国管理局は、不法入国の手口が巧妙化しているとして、空港や港での審査を厳格に行うなど警戒を強めています。