君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 (閑話)「ホワイトディ」2※BL風味

2012-03-16 22:51:54 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
 五章「時の在り処 」 (閑話)※BL風味

「ホワイトディ」くじ引きの続き。「小説家になろう」での「海をみたかい」の主人公、秋月海の名前を入れてみた所、見事に(?)彼を引いてしまいました…。
自分自身どうなるのかわからない展開です…(オイ…)
では、ここでしか書かないCPをほんの少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
☆カイは普通?の高校生ですので、自分と置き換える(ドリーム)として読めるかもしれない。かも。

「ホワイトディ」2
※時間軸なし 場所設定なし、関連性も全くなし。
CP-ジョミーと秋月 海(カイ)

「はじめまして」
名前は秋月海、16歳、高校1年。
カイでいいです。と、俺は自己紹介をした。
目の前の金髪の青年は、ちょっと考えてから、
「ジョミーです」と言って右手を差し出した。
このわけのわからない、未来(?)な世界でも、こういう握手する習慣はあるのかと俺は緊張しながら
彼の手を握った。
彼はにっこり笑った。
笑うとちょっと幼くなったが、二十歳歳くらいのふわっと優しい印象だった。
簡単な挨拶が終わると彼は俺を見て
「お互い、困った事になったね」と言った。
どうやら僕らは同じ心境のようだ。
いきなりくじで決まったから、と、○○してきて。と言われたのだ。
拒否は許されなく、俺は仕方なくここまで来た。
だから、もしかしたら、これは無しってなるのかもしれない。
そんな事を考えていると「君って、初めてなんでしょ?」と彼が聞いてきた。
こんな状況で見栄を張る事は一つも得は無いと思いつつ、それでも「あなたは?」と聞いてみた。
落ち着いてる感じからしても、それなりに経験があるのはわかるが…。
「あるけど…。くじだと僕が攻めなんだよねぇ。君、初めてじゃ嫌だよね?」
 と、彼が「困った」と言っていたのは、ソコか?
 にわかにこれは、ヤバイかも?と思えてきた。
「あの。見栄も意地も張りません。すみません。俺には出来ません。あ、あの、男がだからとかじゃ無くて、たとえあなたが女性でも。こういう事って、俺は、愛が…。あの…愛する人でないと…その…出来ません」と俺は頭を下げた。
「そっか、じゃ。一方的になるけど筆下ろしでもする?」
「な、なんで…そうなるんです」
 俺のさっきの恥ずかしい発言はスルーなのか?って、筆下ろしって。恋愛未経験の俺でもわかるぞ。
 このSFっぽいこの男は…。
 そんな事を考えている間に、ジョミーはこっちに向かって歩いてくる。
 もう、頭で考える暇なんてない。
 逃げよう。と身を翻すと、俺は腕を掴まれてベッドに投げられた。
「???」
 投げられた?投げられてない。
 手を掴まれて抱きかかえられて運ばれたんだ。
 それは瞬間だった。
 俺はベッドの上で、彼は俺の上に跨っていた。
 今のは何だ?と思ったが、そんな場合じゃない。
 ともかく彼の下のこの状態を何とかしないと!
 俺は彼の下から逃げつつ、こう言った。
「あの、あの。シャワーにいってきます!」

 で、俺は今、シャワー室の中だ。
「こんな所に逃げたって…何にもならない…」
 ここにはベッドルームとシャワー室しか無い。
 出て行けるようなドアも窓も無かった。
 うなだれていると、コンコンとノックされた。
「は、はい」
「あのさ、君はシャワーの使い方がわからないよね?」
 と入ってくる。
「ここに服を入れると洗濯してくれるから、それで、ここのボタンを押すとシャワーが出る。温度とかは調節されてるけど、強弱はここで。そのままで五分たつとシャワーが温風に変わって、乾かしてくれる。シャワーを延長したければ、もう1回押すと五分、また押すと五分伸びるんだ。体が乾いたら、さっきのここを開けたらガウンが入っているからね」と彼は丁寧に説明して出て行った。
 やっぱり悪い人ではないようなんだけど…。
 説明をされる間、俺は彼を観察していたが、他には何も得られるものは無かった。
 服を言われた所に放り込み。
 シャワーを浴びた。

 カイがシャワーを使い出して十分、十五分、二十分…三十分がたった。
 ジョミーは立ち上がりシャワー室をノックする。
「はい」と返事が返ってきた。
「どうしたの?」
「シャワーが止まらなくて…」とカイは言ったが、彼が自分で延長を押し続けているのは明らかだった。
「入るよ」とシャワー室のドアを開けた。
「止めるのはここに」と彼はマントの付いたコスプレみたいな服が濡れるのも構わずに、少しかがんでシャワーを止めた。
 止まってすぐに温風が四方から出てくる。
「タオルも入ってるからね」
 身体を起こした彼は、そんなに濡れていなかったのかすぐに乾いた彼の髪が、温風に煽られていた。
 明るい金髪が目の前でサラサラと揺れる様はとてもきれいだった。
「?」
 と僕の不躾な視線に気が付いたジョミーは、
「温風も五分、延長したかったら同じだから」と言って出ていった。
 俺が出るに出られずいたのは見透かされていたのだ。
 だから、三分程で乾いた体にガウンを着込むと出て行く事にした。

 シャワー室から出ると、部屋がさっきより薄暗くなっていた。
 彼はどこに?
 と見るとベッドの反対側の壁の前にガウンに着て立っていた。
 濡れたので着替えたのだろう。だけど、脱いだ彼の服はどこにも見あたらなかった。
 彼は壁を見たまま「ここに来てごらん」と言った。
「?」
 俺が壁の前まで来ると、急に壁が明るくなった。
 暗闇に慣れかけた目にはとても眩しかった。
「この壁はね。ちょうど君がいる頃の地球を見せてくれるんだ」
「……」
「僕はこれが好き」
 そう言って出したのは、海だった。
 コバルトブルーの海、悠々と泳ぐイルカの群れ。
 ゆらゆらと部屋中が海の中のようになった。
「カイ。君にもっと時間があったなら僕の船に案内してあげられるのに。僕の船はイルカの名前が付
 いているんだ」
 そう言ってジョミーが壁に触ると白イルカの群れに変わった。
「ベルーガ」と俺が呟くと、とても嬉しそうに微笑んだ。
「僕らは実物を知らないけどね」とジョミーが言った。
「……」
「君は何が見たい?」
「え、これでいいです」と答えたが
「草原とかが似合いそうだね」
 ジョミーは映像をどこまでも続く緑の草原に変えた。
 その時、俺の頭には故郷の山と川と広い水田が浮かんで居たので、彼の感じた緑の海原は俺の思いその
ままだった。
 俺はしばらくその映像を見ていた。

 そんな俺を見ていたジョミーが「君は?君の後ろに何か…見える」と言った。
 俺は思わず振り返った。
 その拍子に俺の手が壁に触れて、壁が白い雪の舞う雪原になった。
「あぁ、そんなに構えないで、はっきり見えている訳じゃないから」
「だけど…」
「君は、人じゃないモノが見えるの?」
「いえ…」
「見えるのでしょう?大丈夫だから」
「……」
 俺は何が大丈夫なんだ。何が言いたいんだ。と思ったが言い返しはしなかった。
 俺は彼を見た。
 彼は俺を見つめてこう言った。
「いい?見たいなら見てもいい。だけど、ゆっくりと僕を視てごらん。いいかい?しっかりと視てはいけないよ。そして、すぐに戻ってくるんだ」
「?」
 そう言われて、俺はジョミーの背後を探るように見つめた。
「……」
「戻って!カイ」
 俺は腕を引っ張られた。
 目の前にはジョミーがいた。
「本当にちゃんと視えるんだね。君は」とジョミーは言った。
「い…今のは何?」
「何が見えた?」
「死者の魂。沢山の…気が遠くなる程の人が…」
「そっか…」
 俺はこれ程の人を背負った人間を見た事が無かった。
 こいつは何をして生きてきて、これから何をしてゆくのだろう。
「僕が怖い?」
「いや、だけど…歯の根が合わない」
 俺は霊気に当てられて震えた。
「ごめんね。見せた僕がいけないんだ。どうか怖がらないで、こうすればもう怖くなくなるからね」
 と言って俺の手を取った。
 そして、ジョミーが目を閉じた瞬間、彼を中心に明るいオレンジ色の光が何重にも輪になって広がって
いった。
 部屋の色が、明るくなったような気がした。
 壁の映像は一面のひまわり畑になっていた。
 俺はもう震えていなかった。
 俺の後ろにいたモノも消えていた。
「…祓った…のか…?」
「ううん」
 ちょっと次元をずらしただけ。と、とんでもない事を言った。
「………」
 何だかよくはわからないが会った時から俺は彼を人ではないと思っていた。
 だけど、人じゃないモノのスケールが違い過ぎるようだ。
 俺は笑えてきてしまった。
 それで思わす俺は「ジョミーって、人ではないよね?」と聞いていた。
「んー、人だけど、ミュウと呼ばれる能力者なんだ」
 とジョミーが答えた。
「能力者…、それって怖がられてません?」
「畏れられて嫌われて排除されてたよ」
「そうですか…俺が視えるのは幽霊とか人じゃないモノで、他の皆は見えないから、ずっと気味悪がられてるんです…」
「それなのに君はその者たちを嫌ってはいないんだね」
「嫌ってましたよ。こんな力なんていらないし、見えたっていい事なんて無いって思ってた」
「何かあったの?」
「この力で友人を救う事が出来たんです。この力が無かったら、あの時、皆どうなっていたかわからない」
「救えた事が嬉しいんだ」
「後で叱られたり、前よりもっと酷い噂がたったりしたけど、ただ救えたのが嬉しいんです」
「君は優しくて、いい子だね」
 ジョミーは優しく微笑んだ。

 僕は忘れていたのかもしれないな。
 カイのような純粋な心を…。

「優しい君にご褒美をあげよう」とジョミーが俺を抱きしめた。
「ちょっ…」
「くじの事忘れてあげようかと思ったけど、君があまりにいい子だったから構いたくなっちゃった」
「くじ!忘れててください。かまわなくていい」
「でもさ、カイ、君は僕でも良いと思い始めているよね?」
「…え?」
「さっき、君の後ろに居たモノに君は僕への攻撃をしないように言ったよね?」
「!」
「僕が人じゃないとわかっているのにね」と笑う。
 ジョミーの笑顔は俺を慌てさせた。
「じゃ、あ、くじが問題で、何にかしないといけないならキスだけってどうです?…ダメですか…」
「キスしていいの?」
 そう言って笑ったジョミーから妖しい感じがしてきた。
 こ、これは、もしかしたらヤバイ事を提案してしまったのだろうかと思った。
「…キスだけなら。…ですけど」
 俺が返事をした瞬間にまた前のように俺はベッドに飛ばされていた。
 それで、彼も同じように俺に跨っていた。
「何?何で、ベッドに寝…」
「キスしていいんでしょ?」
「だから、ベッドじゃなくて…」
「ここでしか出来ないキスもあるし」

 ない。ない。そんなの、あっても…。
 俺は知らない……。
 ジョミーの声が聞こえてくる。
(キスだけじゃ…物足らなくない?)
(足りなくないですーーー)



「ねえ。カイ。ホワイトディって、バレンタインのお礼をする日なんでしょ?」
「そうですが…あ」
「気が付いた?僕達は今日初めて会ったんだから、お礼をする事なんて無い。僕達が何かをしなければいけないって理由は最初っから無いんだ」
 と、ジョミーは微笑んだ。


 ひまわりを見るときっと彼を思い出すのだろうな…。
 そう思いつつ優しい空気に包まれ二人は眠った。




  終
  



☆普通の少年のカイの性格がジョミーの手に掛かるとこうなってしまうのか…。と面白おかしく書くことが出来ました。ですが、知らないのが相手ですみませんでした。
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