ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

220612「京の伝統野菜調査」⑪石割さん

2010年09月07日 | 保存会の現地研修会
今回の研修は盛りだくさんで終わりました。
他にオプションも用意されていたのですが、ちょっと収拾が付かなくなり、オプションなしで解散しました。
ちょっとコーヒーでもしてくつろげたらよかったんですけどね。。。

帰りかげ、山根さんから「石割さんに前のお礼(姫路で京都の伝統野菜に学ぶを開催したときに講師として来ていただいた)に行くぞ」と携帯。。。

いきなりだったのでご本人はいらっしゃらなかったのですが、畑の一部を見学させていただきました。写真だけアップします。
(山根さん一行はそのあとも石割さん宅に居続け、ご本人にお会いし、お礼をおっしゃったそうです。)










220612「京の伝統野菜調査」⑩堀川ごぼうの大谷さん

2010年09月05日 | 保存会の現地研修会
 「堀川ごぼうの種子はどうなさっているのですか?」との質問には、
 大谷さん
 「種はJA京都市が準備しています。種から始めるときは2月に播いて、トンネルで作って、それを起こして6月に植える。」とのこと。
 京都の伝統野菜は、種を管理する人が他にいらっしゃるから、小規模の営農でも経済的に成り立っているのでしょう。

 「どんなごぼうが美味しいのですか」
 「植える牛蒡は太くて短いものが良いと言うわけではない。スッ腕のようなものがいい。最終的には製品としては5~6センチの太さのものが好まれています。昔は7~8センチくらいだったけど、お正月のお重が小さくなったこともあってか、太いのは好まれないねぇ。」

 「販売はどうされているんですか}
 大谷さん
 「市場に出荷すると二束三文だから、今は市場出荷はやめてます。丹後、舞鶴、新潟、香川・・・全国で堀川ごぼうが作られて値が出ませんわ。昔は1箱12本で3500~7000円位したけどね・・・。今はがた落ち。」

 「難しいところはどんなところでしょうか」
 大谷さん
 「連作障害やね。一度作ると7年は作れない。無理してつくると肌が黒くなる。だからどこに植えるか悩みどころ。そんなこともあって、今年植えるのは500本くらい。全て料理屋向け。今からする植え方についても、浅く植えると肌が焼けて黒うなってしまうしね。」

 なるほど。
 堀川ごぼうは特殊なごぼうで食べ方には相当な知恵が想像されますが、産地側でも限られた畑の面積に連作障害という中で料理屋等の要望に答えていくという、生産者が知恵を絞って作り続けてきた歴史の作品です。

220612「京の伝統野菜調査」⑨堀川ごぼうの大谷さん

2010年09月02日 | 保存会の現地研修会
 堀川ごぼうはそもそも「聚楽牛蒡」と呼ばれ、聚楽第で豊臣秀吉が作らせていました。その後、堀川に植えられ、堀川ごぼうとなったようです。」
 う~ん・・・なんとも全く・・・京都というのはすごい話になりますな。。。なるのですが、このあたりはネットでたくさん話が出ていますのでココではカツアイ!!。
各自検索!!!

 大谷さんは、
 「ごぼうの良し悪しは肌のきれいさで左右されます。太くても炊いたときにやらこいのが特徴。泥と砂の混ざった土質がいいのだろうと思いますわ。」と、優しい丁寧な口調で教えてくださいます。
 「肥料も植える前にリンカーン(有機土壌改良剤)と苦土石灰だけであまりやりません。肌が汚くなります。植え方は1.2m幅の畝に40センチ間隔の2条植えです。こんなふうに・・・」
と、クワを使って実際の植え方を教えてくださいます。

 お聞きすると、あれ?苗を使ってらっしゃる。
 私がよく聞いたのは、もともと堀川のゴミ置き場に食べきれずに捨てられたごぼうが、そのまま生長した。横向きのままだったので、長さは伸びずに太くなった・・・と聞いていたので、植えて1年たったものを掘り起こし、それを翌年、横向きに植えて2年目に掘り起こすと思っていましたが・・・少し違うようです。

 大谷さん
 「JAから70センチ程度ものが届きます。これを少し切って、60センチくらいにして斜めに植えていきます。次のを植えると先がさっき植えたののお尻と少し重なるくらいですかね。だから株間40センチくらいになって、10アールで4000本くらい植えます。今(6月)植えると11月から掘り始めますね。」


220612「京の伝統野菜調査」⑧堀川ごぼうの大谷さん

2010年08月31日 | 保存会の現地研修会
3 大谷さんの堀川ごぼう

 次に堀川ごぼうの大谷さんを訪れました。

 樋口さんの鷹が峯唐辛子→大野さんの賀茂ナス→そして大谷さんの堀川ごぼうは左京区一乗寺。ということは、今回の研修は、京都市街地の北部を西から東へ平行移動しているようなもんですね。
(個人的なことですが、私は高校以上大学未満の1年をこのあたりで過ごしました。)

 携帯で電話して向かうと、待ち合わせ場所に大谷さんがいらっしゃいました。
 早速畑に・・・・やっぱり住宅地内でした。マンションや学校が並ぶ中、確かに畑があります。さすがに広い道路沿いはありませんが、少し中に入ると、畑自体は大きくはないものの、結構、数は多く残っています。
 神戸も垂水区には田畑が残っていますが、年々どんどん住宅にかわって、「10年一昔」の様相です。でも京都を良く知る小林さん曰く「京都は昔から混在。多分10年後も今と大きくは変わらない。」らしいです。
 今日は朝からこんな光景ばかりなんで、少々慣れてきましたが、これが京都の人の生活バランスなんでしょうかね。

 さて、大谷さんの畑に降りて、お話を伺います。
 大谷さんは京都市バスの運転手をされ、定年後に本格的に農業の世界を継がれたそうです。
 堀川牛蒡はこれから植えられるそうで、丁度、畑がきれいに耕された後でした。


《「京都の伝統野菜に学ぶ」で展示していた堀川ごぼう》


220612「京の伝統野菜調査」⑦賀茂ナスの大野さん

2010年08月28日 | 保存会の現地研修会
そして肝心の種の話。
「種は我々のグループに種の会があって、そこの役員さんが種をとる役になっています。役は固定ではなく、2~3年に一度、皆に順番が廻ってくるけどね。そして青枯れ病がでるのでトレバム(青枯病に強い台木)に接いでもらってます。」
「昔の賀茂なすはもっと固かったとか言われてる。今は固すぎるものは好まれないので、少し軟らかいものが主流です。」

最後に「後継者は・・・」と会員さんが心配そうに訊ねると・・
「他の伝統野菜に比べて賀茂ナス作っている農家は若い者が多いですね。
夏に賀茂ナス作って、冬にはすぐき。これだとあまり競争が無いのである程度、収益性はあると思いますね。」
若い方が多いんですね。まだまだ賀茂ナスは安泰です。
(だいたい大野さんが若いですよね。イケメンやし、案内しなかったこと玉さんに怒られるわ。。)

ちなみに大野さんは樋口さんに紹介していただきました。

(次回から堀川ごぼうの大谷さんです)





220612「京の伝統野菜調査」⑥賀茂ナスの大野さん

2010年08月24日 | 保存会の現地研修会
会員さんの「出荷先は?」の質問に、
「出荷先は全国の料理屋ですわ。賀茂なすは市場に出しても、あまりいい値段は付きません。契約栽培(出荷)が中心になっています。今ならいろいろ平均すると1個3~400円ってところですかね。売れるかどうかっていうのは観光客の数によって変わってきますからね。京都によう来ちゃってください。(笑)」とタイガースの藤川のような笑顔。

大野さん http://www.kyoto-food.jp/item/kamonasu.php

さらに「肥料とかは・・」「「水やりは・・」との質問に
「肥料は多くやっていますよ。千両(よく出回っているナス)よりかなり多いですね。水も2日に1回はしっかりやっている。なんせ手間かけてます。」
「賀茂なすはすぐぼけてしまうんですわ。(ぼける・・・ナスの実の表面のつやが無くなる。暑くなるなど水分の蒸散に根からの水吸収が追いつかないと発生する)温度、水分、暑さ・・・いろいろ難しいです。このハウスも梅雨明けるとビニールとりますわ。露地になります。」

「ぼけなす」の語源ですわな。。。


220612「京の伝統野菜調査」⑤賀茂ナスの大野さん

2010年08月21日 | 保存会の現地研修会
2 大野農園の加茂なす
 次は同じ北区ですが上賀茂神社の北の方、こちらも住宅地です。完全に迷ってしまい、大野さんに迎えに来ていただきました。
大野さん http://www.kyoto-food.jp/item/kamonasu.php

賀茂なすのほ場に向かい途中で軒下にたまねぎの干したのを見ました。こっちでは葉をつけたまま干すんですね。すだれのようで美しいです。



さて、ほ場です。結構大きなハウスです。それも大掛かりに上から吊ってあるところをみるとかなり上まで伸びるんですね。
「仕立て方は人によりいろいろ。私は主枝と測枝2本の計3本。一文字にしているけど、V字の人も多いかな。だいたい12段くらいとります。3本仕立てだから計算上、1本で36個ってことになりますけど、なかなかきっちり生らせるのは難しいです。『秀』なんて何個かしかとれませんね。」と大野さん。
「今は15aの栽培しています。出荷できるのは直径11.5センチ以上となっています。なかなか大きくならない品種ですわ。」と、周りの賀茂ナスを見ながら「これはまだ小さいです。これももう少し・・」とチェック。2日に一回程度収穫して出荷されているとのこと。

220612「京の伝統野菜調査」④鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年08月04日 | 保存会の現地研修会

鷹峯とうがらしの他に採種されているのは、鹿ヶ谷かぼちゃ、九条ねぎ、えんどう豆、茎だいこん・・・鷹峯だいこんなんているもの昔はあったそうです。

「最近は温暖化で、10月1日に種播けばよかったものが、10月10日になってきよる。」と、単に続けることだけでも駄目だとおっしゃっています。

研修のときの資料にも
「生産量を増やすために風土に合う合わないにかかわらず品種改良した『伝統野菜』と称するものが出回っている。」
「単価が高いというだけで栽培している人は適期も知らないため、本来の伝統野菜ができない。」
「伝統野菜の品質が落ちればブームも去る。」
「そうならないためにも、先人の思いを理解し、技術を学びたいと言う若手農家を疎抱けること。そして地元の子供たちにその土地で採れたおいしい在来野菜の味を知ってもらうことが、また、若手農家を育てることにつながっている。」

(全くの偶然ですが、世話人の小林さんと一緒に調査している途中、西宮で「樋口さん知ってる。小学校のときに野菜の説明してた。地元の有名人。」と鷹峯小学校出身者とお会いしました。「おばあちゃんの売っている野菜が美味しくて。」と。)

帰りに九条ネギの採種ほ場もみさせていただきました。丁度種採り時期ですね。忙しいときに大勢でおしかけ、すいませんでした。

鷹峯の最後に・・・
鷹峯は住宅地ですが、すぐ裏はこんな美しい風景が広がっています。
(一緒に行った方、見学したハウスの向こう側にこんな世界がありました!)


(次は加茂ナスの大野農園です)

220612「京の伝統野菜調査」③鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年08月01日 | 保存会の現地研修会
さて、樋口さんのハウスを見させていただいている時、樋口さんがいきなり支柱をとりだし、ハウスの地面に突き刺し、「グサッ!! ぐーーーーーっ  」。 えー?! 支柱が全部土に入ってしまう!! なんと深耕1メートルだそうです。

「やっぱ土づくりが大事やな。藁や土づくり資材やいろんなもん入れていろいろやってる。お金かけないとお金は返ってこない。深耕も大事や。おやじが昔から『深く掘れ』って言ってたけど、確かに深耕するほど収穫の息が長い。息子と実感しとる。今、ユンボで1ハウス1週間かけて掘って土づくりしとるけど、将来は1.5メートルくらいの深さをしたいな。」
なんですとー!? プールができますよー。



樋口昌孝さんは14代目。13代目の親父さんは20年ほど前に他界されたそうですが、今でも親父さんの日記を参考に作業されているそうです。(続く)






220612「京の伝統野菜調査」②鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年07月29日 | 保存会の現地研修会
 振り売りのトマトやえんどうを見た後、樋口家の細い路地を入っていくとビニールハウスが並んでいました。そして樋口さん登場です。山根さんとじゃれあった後、ハウスの前で仁王立ちで説明です。



昔からある鷹峰とうがらしは、肉厚で辛いのが出ない美味しいとうがらしであり、周辺に他のとうがらしをつくらないようにして昔からこの地で採種を続けられているそうです。暑くなると尻腐れがでたり、なりがわるくなったり・・・だからといって温度を下げるように遮光すると果肉が薄くなる・・・つくりにくいとうがらしのようです。
「適当にかじって」、とのうれしい言葉に早速かじってみると、肉厚! 万願寺よりかなり小さいのに万願寺並みに厚いですね。辛くない。最近の品種は肉厚が多いけど、この造形美、野趣、今でもありですね。これらを特A、A、B、C・・・とかランク分けして種を残してらっしゃるそうです。というのも、最近、万願寺や他のものがかかったような大型のものがみられ、本来の鷹峯じゃない血が入っているようである、と。「元々、少々かわったものが多いが、ほんまもんはもう少し小さい。ししとうを少し大きくした程度。先は尖がらず肩がくびれない。ほんまもんを知っている人は少ないので、私が20年で元に戻す。」とすばらしい発言。これには大変な手間ですが、「種を守ると経営は別。」とおっしゃるのも、在来種の維持ということを考えると、「隔離栽培」や「採種」、「選別」などの手間は経営上成り立たない。実際、京都で伝統野菜が残っているのも、野菜農家皆が採種してきたのではなく、京都に採種を請け負う人がいたからである。樋口さんのお父さんも京都市からお願いされて種を守ってきた一人だそうである。「自家採種を当たり前とする父の背中を見て、自分もこの種子を伝承していこうと強く思った」そうである。



「種は必要な量の3倍はとらんとあかん」、「使うときは新種と古種を半々にして播く」、「種場は危険分散せんとあかん」、「種採るほどしんどいことはない」、「種採ったことの無い奴が一人前にしゃべるな」、「守らんなん!」・・・・素晴らしい!樋口語録だけで酒が呑める!
ハウス内のとうがらしを案内していただいている間も、「あの株のはええなぁ。これはちょっとあかん。」と既に選別作業は始まっています。(続く)




220612「京の伝統野菜調査」①鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年07月26日 | 保存会の現地研修会
最近、保存会の活動は県内に留まりません。「ひょうごの」って付いているのに、「近隣産地を勉強して県内の在来種を・・・」と言って動き回っています。前には「なにわの伝統野菜」を見に行ったし、お米の勉強会と一緒に京都北部の西村先生を訪ねました。今回は伝統野菜という言い方をすれば知名度の本丸、京都の伝統野菜をおじゃましました。

「上賀茂神社前に10時集合」という暴力的なスケジュールで始まった研修なのに、なんと集まった会員は27名。豊岡の北村わさびさんもいるではないか!5時代には家を出なくては着けないはず。
「(今日の研修先は)なかなかみれない方ですから、わさびは親に任せてきました。」とテンションがあがっています。そうですよね、私も樋口さんはテレビや雑誌、ネットで何度も見ましたが、ご本人直接は初めてです。
集合場所の上賀茂神社周辺を回ってみると、主要道路(北山通りか)の両側はマンションやビル。中に入ると住宅地。「かつて伝統野菜の産地だった」というところか・・・と思うと、住宅地の中に「賀茂なす」のノボリがある。見回すと、ところどころですが、家と家の間にビニールハウスや畑があります。ビニールハウス内はきっちり美しく野菜をつくっておられて、未だ現役産地なんですね。。

さて、早速樋口さんのところに向かいます。
同じような住宅地。さっきと違うのはちょっと坂を上ってきたことと、さっきより道が狭く、静かになり「住宅地度合」が高まりました。
すると、あーテレビで見た野菜の振り売りが! 樋口さんの家の前です。



1 樋口昌孝さん(鷹峯とうがらし)
京都府のホームページには「鷹峯とうがらしは、京都市北区鷹峯で昭和18年頃から栽培が始められました。伏見とうがらしより太く、万願寺とうがらしとも少し形の違う、辛みがなく、肉厚で大変美味しいとうがらしです」とあります。また、いろいろなHPに、「昭和18年頃、北区鷹ヶ峰の島本啓一氏が、知人から譲り受けた品質の良いとうがらしを栽培、選抜し、固定種を育成したもの」とあり、この鷹峯地域が発祥の地ということでした。
実は私の知人がかつて京都府庁に勤めており、「いろいろ京都にあるけど、鷹峯とうがらしはすごく美味しい」と、万願寺や伏見なら未だしも、手に入れることが出来ない私を前に自慢したとうがらしであり、本当に楽しみにしていました。(続く)






09.11.14~15 今年の現地研修会但馬へ②【北村わさび】

2010年01月22日 | 保存会の現地研修会
続いて、北村わさびです。
豊岡市日高町、神鍋高原に向う途中、十戸(じゅうご)にあります。


全く以って、美しい園。
人の手が加えられた美しさが広がります。
厳しく雄大な自然の中で、極め続ける技と惜しげもなくかける手間との長い歴史によりつくられた作品。

でも園主(北村宣弘さん)は、「自然の恩恵のおかげ」と繰り返す。

http://kitamura-wasabi.com/