名曲「I'd Love to Change the World」が大好きだったから、僕が初めて買ったテンイヤーズアフターのアルバムは、1971年発表のこのアルバム。所属レーベルがデラムからクリサリスに変わり(日本では販売元は同じキングレコードだった)、6枚目にして彼等の音楽性もハードなものからアコースティックギターを多用したソフト路線に変化した。そういう意味ではエポックメイキングな作品と言える。
1. One of These Days
2. Here They Come
3. I'd Love to Change the World
4. Over the Hill
5. Baby Won't You Let Me Rock 'n' Roll You
6. Once There Was a Time
7. Let the Sky Fall
8. Hard Monkeys
9. I've Been There Too
10.Uncle Jam
1曲目の「One of These Days」は従来路線を継承したブルージーなナンバー。続く「Here They Come」はアコースティックな曲だが、イントロのUFOが飛来しているような効果音は何だ?ひょっとしてアルバムタイトルの"Space"ってそういう"スペイシーなサウンド"を指しているのかい?シンセサイザーというおもちゃを手に入れて嬉々として遊んでいる構図が目に浮かんでしまうが、こんなこと仕掛けたのはチック・チャーチル(key)だろうか、それともアルヴィン・リー(g,vo)なのだろうか。
この曲に限らず他にも「Over the Hill」や「Let the Sky Fall」のエンディングとか、意味のない過剰なアレンジが随所に見られて、ちょっと興醒めしてしまう。そんな中でもラジオの選局チューニング音から始まる「Baby Won't You Let Me Rock 'n' Roll You」はまだ少しは気が利いているけど、ダイヤル式のチューニングを知らない世代には一体何のギミックなのか理解できないだろうな。
「I'd Love to Change the World」は大昔にこの曲についての記事を書いたことがあるので今回は言及しないが、この他にはアコースティックなブルースナンバー「I've Been There Too」がとても良い。波の音から静かに始まり、じわじわと熱く盛り上がる。
良い曲もあるけれど、アルバム全体としてはなんだか中途半端な感じは否めない。
アルヴィン・リーが亡くなってもう早十年。才能ある人だったと思うけど、バンドの看板を彼一人で背負っていたのも重荷だったろうし、彼自身はけっこう歌ごころもあってメロディアスな指向を持っていただろうにバンドがハードなブルースロックで売れてしまったから、その矛盾にも悩んだかも知れないし。でもそんな風に想像して同情するのは却って不遜だろうか。
(かみ)
最新の画像もっと見る
最近の「Album Review」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事